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ケアマネと管理者の兼務はきつい?フル担当のまま管理者をやった僕の本音

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「管理者、やってくれないか」

ある日突然、上司からそう打診されて、この記事にたどり着いた方も多いんじゃないでしょうか。

ネットで「ケアマネ 管理者 兼務」と検索すると、出てくるのは制度の解説記事と、掲示板に並ぶ不安の声ばかり。「実際やってみてどうだったのか」を語っている記事は、ほとんど見つかりません。

僕は雇われケアマネ時代に、2つの職場で管理者兼務を経験しました。担当は35件前後を持ったまま。そして今は独立して、一人ケアマネとして管理者兼務の「最終形」をやっています。

先に本音を言ってしまうと、僕は兼務を「きつい」と感じたことが、正直ありませんでした。

ただしそれは、僕が特別だったからではありません。振り返ってみると、僕の兼務には「回る条件」が揃っていたんです。逆に言えば、条件が揃っていない兼務は、誰がやっても回りません。

この記事では、僕の兼務のリアルを包み隠さずお伝えしたうえで、「回る兼務」と「回らない兼務」の分かれ目を整理します。打診を受けるかどうか迷っている方が、自分の職場で判定できるようになることがゴールです。

そもそもケアマネと管理者は兼務できるの?【制度の話は最小限に】

まず前提だけ短く整理します。ここは制度の話なので、すでにご存じの方はジャンプしてもらって大丈夫です。

居宅介護支援事業所の管理者は、その事業所のケアマネ(介護支援専門員)と兼務することが認められています。というより、実際の現場では管理者がプレイングマネージャーとしてケアマネ業務を持っているケースがほとんどです。

押さえておきたいポイントは2つです。

  • 管理者要件は「主任ケアマネ」:居宅介護支援事業所の管理者は、原則として主任介護支援専門員であることが要件です(2021年3月末以前から主任以外の方が管理者を続けている事業所には、2027年3月末までの経過措置があります)。つまり管理者の打診は、主任ケアマネ(またはその候補)への打診とセットで来ることが多いはずです。
  • 2024年度の改定で兼務の範囲が広がった:これまで管理者が他の事業所と兼務できるのは「同一敷地内」に限られていましたが、2024年度の介護報酬改定で、管理業務に支障がなければ同一法人内の他事業所などとの兼務も認められるようになりました。

ちなみに、管理者との兼務期間は、主任ケアマネ研修の受講要件「専任5年」にそのまま算定できます(国の要綱に明記されています)。「兼務しながら主任の要件を満たせるのか」が気になる方は、要件の数え方をこちらにまとめています。

主任ケアマネの要件とは?「専任5年」の数え方と、転職2回でも取れた僕の実例

つまり制度上は「兼務できるか?」の答えはシンプルに「できる」です。問題は、あなたの職場の兼務が「回る兼務」かどうか。ここからが本題です。

35件前後を担当したまま管理者をやった僕のリアル

僕が管理者兼務をしていたのは、訪問介護併設の居宅と、訪問看護併設の居宅の2つの職場です。どちらも部下のケアマネは2人。担当は35件前後を持ったまま、管理者を兼務していました。

ちなみに当時の逓減制(担当件数が一定を超えると報酬が減額される仕組み)は、40件が減算ラインの時代です。35件前後というのは、減算にかからない範囲で、ほぼ満杯まで担当を持っていた水準だと思ってください。「管理者になったから件数を減らしてもらった」ということは、ありませんでした。

経緯は、会社からの打診です。カッコいい理由があったわけではなく、シンプルに「適任がほかにいなかった」から。前向きに手を挙げたわけでも、断れずに押し付けられたわけでもなく、「まあ、僕がやるのが自然だよね」という流れでした。兼務手当・役職手当はきちんと付きました。

それで、実際どうだったのか。

この記事を書くにあたって当時を振り返ったとき、僕は正直、困りました。「管理業務がきつかった記憶」を探しても、思い当たらないんです。それどころか、「そもそも管理業務って何をやっていたっけ?」と考え込んでしまったくらいです。

兼務に悩んでいる方からすると、拍子抜けする話かもしれません。でも、この「思い当たらない」にこそ、兼務の本質が隠れていました。次の章で分解します。

実際にやった管理業務は3つだけだった

「管理業務が思い当たらない」と書きましたが、記憶を掘り起こして整理してみると、僕が管理者としてやっていたことは、実質この3つに集約されます。

①部下のケアプラン・記録の点検

部下2人のケアプランや支援経過に目を通して、必要があれば助言する。これは管理者の仕事というより、主任ケアマネの指導業務そのものです。普段のケアマネ業務で自分のプランを組み立てている頭をそのまま使うので、「新しい仕事が増えた」という感覚はほとんどありませんでした。

経験の浅いメンバーがいた時期は、点検や同行に多少時間を取られることはありました。ただ、それも「苦」と感じるほどのものではなく、育成の一環として自然にやれる範囲でした。

②実地指導・監査への対応

管理者の仕事として身構えられがちなのが実地指導(運営指導)です。でも冷静に考えると、実地指導で見られるのはケアプランと記録の整合性、つまり普段のケアマネ業務の品質そのものです。

日頃から自分と部下の書類を整えていれば、実地指導のためだけの特別な業務はほとんど発生しません。①の点検業務が、そのまま監査対策になっていたイメージです。

③苦情・事故対応の窓口

利用者やご家族からの苦情、サービス中の事故。こうした場面で最終的な窓口に立つのは管理者の役割です。

ただ、これも考えてみてください。ケアマネは普段から、困難ケースや家族間の調整、サービス事業所とのトラブル対応をやっています。苦情対応で使うスキルは、ケアマネとして毎日使っているスキルと同じなんです。「管理者だから」と特別な能力を要求された記憶はありません。

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気づいてほしいこと:3つとも「ケアマネの延長線」

ここで気づいてほしいのは、この3つに共通する性質です。

プラン点検も、監査対応も、苦情窓口も、全部「ケアマネとしてすでに持っているスキルの応用」なんです。管理者になったからといって、まったく新しい能力をゼロから身につける必要はありませんでした。

「いや、それはあなたの職場が恵まれていただけでは?」と思うかもしれません。僕も最初はそう考えました。勤怠管理・給与計算・国保連請求みたいな事務仕事が、たまたま僕のところに来なかっただけなんじゃないかと。

でも調べてみると、そうではありませんでした。そもそも制度上、管理者の役割は「職員と業務の管理」と「運営基準を守らせること」であって、給与計算や請求業務は管理者の仕事として定義されていないんです。ある程度の規模の法人なら、こうした事務は本部や事務方が担うのが標準的な形。僕の環境が特別だったわけではなく、それが普通なんです。

※ただし例外はあります。事務員を置けない小規模な事業所では、請求業務などが管理者に乗ってくるケースが実際にあります。ここは後の「分かれ目」で整理します。

じゃあ「兼務はきつい」の正体は何なのか

業務の実体を分解すると「ケアマネの延長線」しか残らない。事務仕事は本来、管理者の仕事ですらない。それなのに、なぜ掲示板には兼務への不安があふれているのか。

僕の答えはこうです。多くの人は、業務量にではなく「管理者」という役職の名前に構えてしまっている。

「管理者=何かあったら全責任を負う人」「管理者=マネジメント能力を試される人」。そういうイメージが先に立って、中身を分解する前に気持ちが重くなる。でも実際に蓋を開けてみれば、やることは昨日までのケアマネ業務と地続きです。少なくとも僕は、2つの職場でそうでした。

もちろん、本当にきつい兼務も存在します。名前の問題ではなく、構造の問題で回らない兼務です。次の章で、その分かれ目を整理します。

回る兼務と回らない兼務の分かれ目【3つのチェックポイント】

僕の兼務が回った理由と、リサーチした制度上の管理者の役割を突き合わせると、兼務を受ける前に確認すべきポイントは3つに絞れます。打診されている方は、自分の職場を当てはめながら読んでみてください。

チェック①:「現場業務」が乗った3役になっていないか

僕の兼務は「管理者×ケアマネ」の2役でした。ここに現場業務が加わって3役になると、話はまったく変わります。

誤解のないように言うと、居宅の管理者兼務ケアマネが訪問介護のヘルパー業務まで担う、というケースはまずありません。制度の解釈でも、管理者が訪問サービスに従事することは基本的に「管理業務に支障がある」と整理されています。

現場業務が乗ってくるのは、主に次の2つのパターンです。

  • 施設系のケアマネ:特養やグループホームなどでは、ケアマネが入浴介助や施設のイベント対応、ときには当直まで担うことがあります。僕も特養で働いていたので、この感覚はよくわかります。
  • 小規模事業所のケアマネ×ヘルパー兼務:人手が足りない小規模の事業所で、ケアマネがヘルパー業務を兼ねるケース。「仕事が終わらない」という相談が実際にQ&Aサイトに寄せられているのは、主にこのパターンです。

ケアマネ業務はスケジュールを自分でコントロールできる仕事です。一方、現場業務はシフトや利用者の生活時間に縛られます。自分で時間を動かせる仕事と、動かせない仕事の組み合わせは、構造的に破綻しやすいんです。

今あなたが受けている打診が「管理者×ケアマネ」の2役なのか、現場業務まで含んだ実質3役なのか。ここは最初に確認してください。2役なら、少なくとも構造面のハードルは1つクリアです。

チェック②:請求・労務などの事務が乗ってくる体制ではないか

前の章で書いた通り、給与計算や国保連請求は本来、管理者の法定業務ではありません。ある程度の規模の法人なら、本部や事務方が担うのが標準です。

ただし、事務員を置けない小規模な事業所では、こうした事務が管理者に乗ってくるケースが現実にあります。確認方法はシンプルで、「今の管理者(または前任者)が請求業務をやっていたかどうか」を見ることです。前任者がやっていたなら、あなたにも乗ってきます。

2役のままでも、事務が乗る体制なら業務量は確実に増えます。ここが増えるなら、手当の額と見合うかを冷静に比べてください。

チェック③:業務ではなく「名前」に構えていないか

①と②をクリアしているなら、あなたの職場の兼務は、業務の実体としては「回る兼務」の可能性が高いです。

それでも迷うとしたら、その迷いの正体は業務量ではなく、「管理者」という役職名の重さかもしれません。責任を負う立場になる怖さ、マネジメントを試される不安。気持ちはよくわかります。

でも思い出してください。実際にやることは、プランの点検、監査への備え、苦情の窓口。どれも、あなたがケアマネとして今日までやってきたことの延長線です。少なくとも業務の中身は、名前が与える印象よりずっと地味で、ずっと地続きです。

判定まとめ

  • 2役 × 事務は本部持ち → 回る兼務。手当が付くなら受ける価値は十分あります
  • 3役 or 事務が乗る体制 → 業務量が実際に増える兼務。手当と体力を天秤にかけて判断を
  • 構造は問題ないのに迷っている → 名前に構えているだけかもしれません。中身を分解してみてください

兼務を打診されたときの迷いどころ5つに、僕の経験から答えます

ここからは、兼務の打診を受けた人が実際に迷うポイントを、Q&A形式で潰していきます。掲示板や検索でよく見かける不安と、僕が2つの職場で兼務して感じたリアルを突き合わせました。

Q1. 手当は業務量に見合う?

僕の場合は、兼務手当・役職手当がきちんと付きました。そして前の章までで書いた通り、実際に増えた業務は「ケアマネの延長線」の範囲。体感の業務増に対して手当が付くなら、率直に言って悪くない取引でした。

確認すべきは金額そのものより、「手当が何の対価か」です。2役で事務は本部持ちの体制なら、手当はほぼ「責任料」。一方、請求業務まで乗る体制なら、手当は「実務の追加報酬」になり、時給換算で考えると割に合わないケースが出てきます。額面ではなく、増える業務の中身と照らして判断してください。

Q2. 自分の担当ケースが回らなくなるのでは?

僕は35件前後を担当したまま兼務しましたが、担当ケースが回らなくなった経験はありません。理由はシンプルで、管理業務(点検・監査・苦情)は自分でタイミングを選べる仕事だからです。モニタリング訪問の合間、書類作成の切れ目に組み込めます。

ただしこれは2役だから言えること。現場業務が乗る3役は、時間の主導権を失うので、この限りではありません。

Q3. 監査や事故で「矢面に立つ」のが怖い

わかります。でも冷静に分解すると、実地指導で問われるのは日々の書類と運営の適正さで、これは管理者一人が急に背負うものではなく、日常業務の品質がそのまま答えになるものです。

苦情・事故対応も、最終窓口にはなりますが、ケアマネとして困難ケースや事業所間トラブルを調整してきた経験があれば、使うスキルは同じです。「矢面」という言葉のイメージほど、特別な場面は起きません。少なくとも僕は、管理者だから特別に追い詰められた、という経験はありませんでした。

Q4. 昨日までの同僚が部下になるのが気まずい

僕の場合、部下は各職場2人。この規模だと「マネジメント」というより「一緒に働く先輩」の延長です。プランの点検も、上から評価するというより、主任ケアマネとして相談に乗る形で自然に回ります。

気まずさが現実問題になるのは、大所帯で利害調整が発生する場合です。部下が2〜3人の小規模なら、関係性は兼務の前後でほとんど変わらない、というのが僕の実感です。

Q5. 断ったら評価が下がる?

これは職場によるとしか言えませんが、1つ視点を出させてください。僕が打診を受けた理由は「適任がほかにいなかった」からです。つまり打診とは、あなたが職場で代わりの利かない存在になっているサインでもあります。

その上で、ここまでのチェックポイントに照らして「回らない兼務」だと判断したなら、断る選択は十分に合理的です。そして、断りづらい空気の職場でストレスを感じているなら――そもそも職場ごと見直す選択肢もあります。次の章で触れます。

「回らない兼務」を打診されたら、無理に受けなくていい

ここまでのチェックポイントに当てはめて、あなたの職場の兼務が「3役だ」「事務まで乗ってくる」という構造の問題を抱えているなら――それは、あなたの能力や覚悟で乗り越える話ではありません。構造で回らない兼務は、誰がやっても回りません。

そして、断りづらい空気の中で回らない兼務を引き受けて消耗するくらいなら、「兼務の条件がいい職場に移る」というのも、立派な選択肢です。

実際、僕は複数の職場を経験して、同じ「居宅のケアマネ」でも、職場の体制によって働き方がまるで違うことを体感してきました。単独型か、訪問介護併設か、訪問看護併設か。法人の規模、事務方の有無。詳しくは別の記事にまとめているので、職場選びの視点はこちらを読んでみてください。

訪問介護併設・訪問看護併設・独立、ケアマネ3つの職場で気づいたこと

「そもそも今の職場、兼務以前にしんどい」という方は、こちらもどうぞ。

ケアマネを辞めたい?僕が辞めたかったのは「ケアマネ」ではなく「職場」だった

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兼務の条件(2役か3役か・事務体制・手当の扱い)は、求人票だけでは見えにくい部分です。転職エージェントを使えば、こうした内部体制を応募前に確認してもらえます。僕が比較した転職サイトのレビューはケアマネ転職サイトおすすめ3選の記事にまとめています。

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ちなみに、兼務の最終形は「一人ケアマネ」でした

最後に、少し先の話をさせてください。

僕は今、独立して一人で居宅介護支援事業所を運営しています。つまり「管理者×ケアマネ」兼務の最終形です。部下はいません。管理する相手は自分だけ。

雇われ時代の兼務と何が違うか。一番大きいのは、あのとき法人本部が吸収してくれていた事務・経営が、全部自分に来たことです。国保連請求、収支の管理、各種届出。「管理者の仕事じゃない」と書いてきた業務たちが、独立すると「経営者の仕事」として一式降ってきます。

じゃあ後悔しているかというと、まったくしていません。人の管理はゼロになり、事業の管理は増えた。その代わり、働く時間も、担当件数も、事業の方向性も、全部自分で決められる。雇われ兼務で「管理者としてやっていけるか」を確かめられたことが、独立への足場になりました。

もしあなたが今、兼務の打診を受けているなら、こう考えてみてください。2役の兼務が回せるなら、あなたには独立の適性が半分備わっています。残り半分(事務・経営)をどう埋めるかは、この記事に全部書きました。

ケアマネが独立するために必要なこと【完全ガイド】

まとめ:兼務の中身を分解すれば、答えは出る

最後に、この記事の要点をまとめます。

  • 僕は2つの職場で、35件前後を担当したまま管理者を兼務した。正直、きつくなかった
  • 実際にやった管理業務は「プラン点検・監査対応・苦情窓口」の3つだけ。全部ケアマネの延長線だった
  • 給与計算や請求は、そもそも管理者の法定業務ではない。規模のある法人なら事務方が担うのが標準
  • 受ける前のチェックは3つ:①現場業務が乗る3役ではないか ②事務まで乗る体制ではないか ③「管理者」という名前に構えているだけではないか
  • 構造で回らない兼務は、断っていい。職場を変える選択肢も、一人でやる選択肢もある

「管理者」という言葉は重く聞こえます。でも、蓋を開けてみれば、その中身はあなたが今日までやってきた仕事の延長線かもしれません。

打診されたということは、あなたは職場で代わりの利かない存在だということ。だからこそ、雰囲気で受けるのでも、怖さで断るのでもなく、中身を分解して、自分で決めてください。この記事がその材料になれば嬉しいです。

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