「ケアマネの更新制、ついに廃止されるらしいよ」
2026年6月、この話題が現場を駆け巡りました。SNSでも「やっと解放される」「遅すぎた」という声で溢れています。
僕は主任ケアマネとして独立して働いていますが、実務研修に始まり、更新研修は88時間コースも32時間コースも受け、主任研修も修了してきました。ケアマネの法定研修とは、キャリアを通じてずっと付き合ってきた立場です。
だからこそ、この記事では制度の解説だけで終わらせません。「そもそもあの研修に意味はあったのか?」を、受け続けた僕が本音で仕分けします。
先に立場を言っておくと、僕の結論は「ほとんど無駄だった。でも一部だけ、確かに意味があった」です。
この記事でわかること:
- 更新制廃止で何が変わり、何が変わらないのか(いつからかも含めて)
- 法定研修を受け続けてきた僕が感じた「無駄な研修」と「意味のある研修」の違い
- 国が示す負担軽減(分割受講・オンライン)は、本当に楽になるのか
- 研修費用は誰が払うべきかという、あまり語られない論点
- 今回の改正で職場選びの基準がどう変わるか
結論:更新制は廃止。でも「研修」は残ります
まず事実関係を整理します。ここを誤解している人が本当に多いので、正確にいきます。
2026年6月19日、改正介護保険法を含む「社会福祉法等の一部を改正する法律」が国会で成立しました。これにより、ケアマネジャー資格の更新制廃止が正式に決定しています。
何が変わって、何が変わらないのか
| 項目 | これまで | これから |
|---|---|---|
| 資格の有効期間 | 5年ごとに更新 | 廃止(事実上の生涯資格に) |
| 更新研修 | 受けないと実務に就けない | 更新の仕組みごと廃止 |
| 研修の受講 | 更新の要件 | 法律上の義務として継続 |
| 受講しない場合 | 期限が来ると資格証が失効し実務不可 | 自動的な失効はなくなる。ただし知事の受講命令→従わなければ最長1年の業務従事禁止 |
| 事業者の役割 | 特に規定なし | 受講機会の確保が義務化 |
ポイントを整理します。今まではケアマネ資格を「更新」するために、研修を受けなくてはいけませんでした。今回の改正で、この「更新」という概念そのものがなくなります。でも、「研修を受ける義務」そのものは残るということです。
ここは誤解が起きやすいところなので、丁寧に書きます。消えるのは「期限が来たら自動で資格を失う」という仕組みです。厚生労働省の資料も、研修を受講しないことで直ちに資格を失い、ケアマネジャーの業務ができなくなるといった取扱いがなくなる、という書き方をしています。
一方で、研修の受講そのものは法令上の義務になります。改正法では介護保険法第69条の34に、介護支援専門員は資質の保持及び向上を図るため、都道府県知事が行う研修を受けるものとする、という項が追加されます。
そのうえで、第69条の38に2つの項が足されます。正当な理由なく研修を受けていないと認めるときは知事が受講を命じることができる、そしてその命令に従わない場合は1年以内の期間を定めて業務を行うことを禁止できる、という規定です。
言い換えると、期日で縛るやり方から、業務の実態を見るやり方への置き換えです。期限を管理されるのではなく、義務を果たしているかどうかで見られるようになります。
実務的な意味はこうなります。更新申請の期日をうっかり過ぎて資格が飛ぶ、という種類の恐怖はなくなります。ただし「もう研修を受けなくていい」わけでもありません。
いつから?→期限は2027年12月25日。有力なのは2027年4月
改正法(社会福祉法等の一部を改正する法律・令和8年法律第51号)が公布されたのは、2026年6月25日です。更新制の廃止が施行されるのは「公布後1年6月以内に政令で定める日」なので、期限は2027年12月25日。この日までには必ず施行されます。
ただし、その中のどの日になるかは政令待ちで、まだ決まっていません。有力とみられているのは、第10期介護保険事業計画が始まる2027年4月です。
もうひとつ補足しておくと、この改正法は全体としては令和9年(2027年)4月1日施行が原則ですが、ケアマネの更新制廃止だけは「公布後1年6月以内」という別扱いになっています。改正のすべてが2027年4月に一斉に変わるわけではない、ということです。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律案の概要」(施行期日・研修の見直し内容)
そして、ここが一番大事なところです。
施行されるまでは、現行の更新制がそのまま続きます。直近で有効期間の満了が来る人は、今まで通り更新研修を受けないと実務に就けなくなります。「どうせ廃止されるから」と放置するのは危険です。自分の期限を必ず確認してください。

では、残る研修はどうなるのか。現行の更新研修(2回目以降)は、介護保険制度と地域包括ケアシステムの展開が3時間、実践における倫理が2時間、リハビリテーションと福祉用具の活用が2時間、そして実践事例の研究・発表が25時間で、合計32時間。これを決められた日に、概ね4〜9日前後かけて受けます。
見直し後のイメージとして国が示しているのは、この「決められた日に通う」形をやめることです。一定期間(5年間等)のあいだに、任意のタイミングで分割して受講できるようにする。時間数についても、可能な限り縮減することを検討するとされています。
あわせて、全国で統一的に扱うことが望ましい内容は国が教材を一元的に作成し、オンライン受講も推進する方針です。科目や時間数の確定は今後の省令待ちですが、方向としては「日程を空けて通う」から「空いた時間に少しずつ」への組み替えです。
ただ、この組み替えが全員にとって軽くなるのかというと、僕は少し違う実感を持っています。それは後半で書きます。
制度の詳細を自分の目で確認したい方は、厚生労働省の案内資料をどうぞ。ケアマネの更新制廃止については、資料内のスライド13(PDFの14ページ目)「2.(3)ケアマネジャー(介護支援専門員)の更新制の廃止・研修の見直し」にまとまっています。
出典:厚生労働省「社会福祉法等の一部を改正する法律の広報資料について」(スライド13)
僕が受けてきた研修
制度の話はここまでにして、ここからは体験談です。
冒頭でも書いた通り、僕はケアマネの法定研修をずっと受け続けてきました。実務研修に始まり、更新研修は88時間コースも32時間コースも経験済み。その後、主任研修を受けて主任ケアマネになりました。主任の更新研修はまだ受けていないので、正確には「あとワンピース残し」ですが、ケアマネ側の研修はひと通り体験しています。
つまり、ケアマネの研修制度に文句を言う資格だけは、人一倍あると思っています。
更新申請の期限を1日過ぎた話
失効恐怖のリアルとして、ひとつ恥ずかしい話をします。
僕は一度、更新申請の提出期限を1日過ぎてしまったことがあります。気づいた瞬間、血の気が引きました。
慌てて窓口に電話をかけて、「今日、速達で送りますからお願いします!」と頼み込みました。結果的に受理してもらえて、無事に更新できたのですが、あの冷や汗は今でも覚えています。
今は笑い話にできますが、これが更新制の怖いところです。ケアマネジメントの質とは何の関係もない「事務手続きの期日」が、資格と生活を人質に取っていたんです。繁忙期に更新期限が重なって退職を考えた、という話が現場のあちこちにあるのも当然だと思います。
本音を言うと、ほとんどの時間は無駄
では研修の中身はどうだったのか。
正直に言います。大半の時間は、無駄でした。
ネットで見かける現役ケアマネの不満は、ほぼすべて僕も体験した事実です。
- 時間をかけて作った事前課題が、当日ほとんど使われない
- 何年経っても代わり映えのしない資料と講義
- 休憩時間は電話対応に追われ、研修日に限って担当利用者のトラブルが起きる
僕自身、事前課題の資料を仕事の合間に作り、それでも間に合わず休日を返上して仕上げたこともあります。数万円の受講料を払い、貴重な営業日を潰して席に座り、「この時間でアセスメント作りたいな〜」と思いながら講義を聞く。あの感覚は、受けた人ならみんな共感できるはずです。
「期限で縛ること」と「質を担保すること」は別物
ここで、少し引いた視点から言わせてください。
研修を受けさせてケアマネジメントの質を担保する。そこに期限を設ける。この2つはセットで語られてきましたが、理にかなっているようで、実は全然違う話です。期限はただ縛っていただけで、質の担保には何も貢献していませんでした。
その証拠に、受講者から「また受けたい」と思われる研修に、まったくなっていない。これは運営側の怠慢だと僕は思っています。本来なら、現場のニーズから逆算して、調査をして、足りないスキルやノウハウを特定して研修を設計するべきです。それをせずに、失効の恐怖だけで人を集め続けたのが、この制度の実態でした。
それでも「事例検討」だけは意味がありました
ここまでボロクソに書きましたが、僕は「研修全部無意味」派ではありません。
これまで受けてきた研修の中で、これだけは確かに意味があったと言えるものがあります。それは事例検討です。
研修で持ち寄られる事例は、みんなが本当に困っている事例です。継続中の案件もあれば、すでに終了した案件もある。それを複数のケアマネで囲んで、支援の考え方、制度の解釈、アセスメントの観点を話し合う。この時間だけは、自分のノウハウが確実にアップデートされる感覚がありました。
ケアマネは「介護観」をアップデートし続ける必要がある
なぜ事例検討に意味があるのか。僕なりの答えはこうです。
医師や看護師が医療の知識をアップデートし続けるように、僕らケアマネは「介護観」「ケアマネ観」とでも呼ぶべきものをアップデートし続ける必要があるからです。
ケアマネという仕事は、専門性が言語化されにくい職種です。基礎資格も経歴もバラバラで、良くも悪くも個人の感性に頼って支援を組み立てている部分が大きい。放っておくと、自分の感性だけで固まっていきます。
だからこそ、他のケアマネの視点に触れて、自分の支援の癖や思い込みに気づく機会が必要なんです。事例検討はその機会として機能していました。
問題は、その貴重な時間が、失効の恐怖とセットでしか提供されてこなかったことです。更新制がなくなるこれからは、「縛られて受ける研修」から「必要だから受ける研修」に変わっていけるか。そこが本当の勝負だと思います。
分割受講より、オンラインのほうが助かりました
国が示している負担軽減の柱は2つあります。5年間等のあいだに分割して受講できるようにすることと、オンライン受講を推進すること。
このうち、僕に効いたのはオンラインでした。実際に受けてみて、はっきり楽になりました。
一方の分割受講は、正直そこまでありがたくありません。まとめて1回で終わらせたい、というのが本音です。研修に行くたびに、担当利用者の予定を組み替える段取りが発生します。それを何回もやるほうが、僕には面倒です。
もうひとつ、研修の日程がぶつかる相手についても書いておきます。給付管理や請求の時期と重なるのが一番きついだろう、と思われるかもしれません。実際は違いました。仕事の予定は、理由を伝えれば利用者も事業所も理解してくれて、日程を組み直してもらえます。ぶつかって本当に困ったのは、子どもの学校行事でした。
家族の予定は動かせません。そして分割受講は、日程を細かくする分だけ、その動かせない予定に当たる回数が増えます。
もちろん、連続で何日も空けられない立場の人には分割がありがたいはずです。子育ての事情がある人や、パートで勤務している人なら答えは逆になると思います。僕の答えが「まとめて1回」だ、という話でしかありません。
研修費用は誰が払うべき?僕は「自腹が当たり前」派です
ここで、あまり語られない論点にも触れておきます。研修費用は誰が払うべきなのか、という話です。
ネット上では「数万円の受講料を自腹で払わされた」「会社が出すべきだ」という声をよく見かけます。受講料の高さや、読み返さないテキストを買わされることへの不満は、僕も完全に同意です。あのお金がどこに流れているのかは、正直今でも謎だと思っています。
でも、「じゃあ会社が払うべきか」と聞かれたら、僕の答えは違います。
ケアマネ資格の更新費用は、自腹が当たり前。僕はずっと自分で払ってきましたし、それで正しいと思っています。
理由はシンプルで、ケアマネの資格は個人のものだからです。僕らはみんな、自分でケアマネ資格を取って、その資格を持って「ここで働かせてください」と面接を受けています。資格は会社から与えられたものではなく、自分のキャリアの持ち物です。その維持費を会社に求めるのは、筋が違うと僕は考えています。
ただし、主任ケアマネは話が別
一方で、主任ケアマネの研修費用は、事情によって答えが変わります。
ポイントは「誰が望んで取る資格なのか」です。
- 自分がキャリアアップのために取りたい→自分で払うべき
- 会社が「管理者をやってほしいから主任を取ってほしい」とお願いしてきた→会社が払うべき
居宅介護支援事業所の管理者要件に主任ケアマネが据えられている以上、後者のケースは実際に多くあります。会社の事業継続のために必要な資格なら、その費用は会社が負担するのが道理です。
ここを曖昧にしたまま「取っておいてね」と言われてモヤモヤしている人は、費用負担と取得後の処遇を、条件として先に提示してもらうべきです。お金の話を曖昧にする職場は、他の条件も曖昧なことが多いですから。
なお、主任研修には「専任のケアマネとして通算5年」という受講要件があります。打診を受けて「そもそも自分は要件を満たしているのか」から確認したい方は、数え方(兼務・転職・パート期間の扱い)をこちらにまとめています。
▶ 主任ケアマネの要件とは?「専任5年」の数え方と、転職2回でも取れた僕の実例
今回の改正の本質は「個人の縛り」から「法人の責務」への転換
さて、費用の話をしたところで、今回の改正のもうひとつの重要ポイントに戻ります。
実は今回の法改正、単に「更新制をなくした」だけではありません。研修の管理責任を、ケアマネ個人から法人側にも広げたんです。
改正法では、事業者に対して、雇用するケアマネが研修を受講できるよう必要な措置を講じる義務が課されました。具体的な中身は今後の省令で決まりますが、受講時間の確保や、未受講者への指導・指示などが想定されています。そして、これに違反した事業者には、知事による勧告や命令、事業者名の公表といった措置まで規定されています。
これまでの構図はこうでした。研修を受けられなかったら、資格を失って困るのはケアマネ個人。会社は「研修?自分でなんとかしてね」で済んでいた。
これからは違います。自分のところのケアマネに研修を受けさせられない法人は、行政から指導される側になるんです。失効の恐怖でケアマネ個人を縛る時代から、法人が研修環境を整える責任を負う時代への転換。これが今回の改正の狙いだと僕は見ています。

これからは「研修にどう向き合う法人か」が職場の質の指標になる
そう考えると、これからのケアマネの職場選びに、新しいチェックポイントが生まれます。
「この法人は、ケアマネ研修にどう向き合っているか?」
僕は居宅の単独型、訪問介護併設、訪問看護併設と、複数のタイプの職場で働いてきましたが、研修への向き合い方は職場によって天と地ほど違いました。同じ「研修に行ってきます」でも、職場によってこれだけ差があります。
- 受講日を勤務扱いにしてくれる職場か、公休を潰させる職場か
- 研修期間中の担当利用者を、チームでフォローする体制があるか
- 研修費用のルール(誰がいつ何を負担するか)が明文化されているか
- 主任取得を打診するとき、費用と処遇をセットで提示してくれるか
今までは、この差は「良い職場かどうか」の話でした。でもこれからは違います。研修の受講機会の確保が法律上の義務になる以上、ここを整備できない法人は、法令遵守の意識そのものが低い法人だと判断できるようになります。面接で研修への対応を聞くことが、そのままブラック度チェックになるんです。
もしいまの職場が、研修を「個人の問題」として突き放すタイプなら。そして制度が変わってもその姿勢が変わりそうにないなら。環境を変えることも、選択肢として持っておいていいと思います。研修対応が整っている職場の探し方は、こちらの記事で詳しく書いています。
→ ケアマネ向け転職サイトを現役主任ケアマネが本音で比較した記事はこちら
「そもそも研修どうこうの前に、もう続けられる気がしない」という人は、まずこちらをどうぞ。
まとめ:制度は良くなる。でも自分の環境は自分で選ぶ
最後に、この記事の要点をまとめます。
- ケアマネの更新制廃止は2026年6月に正式決定。ただし施行までは現行制度が続くので、直近で期限が来る人は今まで通り更新が必要
- 「更新」は消えるが「研修を受ける義務」は残る。受けなくていいわけではない
- 研修の大半は無駄だった。でも事例検討には、ケアマネの「介護観」をアップデートする価値が確かにあった
- 更新費用は自腹が筋。ただし会社都合の主任取得なら、費用は会社が持つべき
- 今回の改正で、研修の管理責任は法人にも及ぶ。研修への向き合い方が、職場の質を測る新しい物差しになる
更新制の廃止は、間違いなく前進です。あの失効の恐怖から解放されるだけで、ケアマネを続けやすくなる人は確実に増えます。
でも、制度が良くなっても、あなたの毎日を作っているのは制度ではなく職場です。制度の追い風を活かせる環境にいるかどうか。それを見極めるのは、僕たち自身です。
ケアマネのままで、自由に生きるために。制度の変わり目は、自分の働き方を見直すチャンスでもあります。