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区分変更は、実はそんなに頻繁にある業務ではありません。僕は要介護35件前後(要支援も含めると約60人)を担当していますが、区分変更は3か月に1回あるかないか。重なるときは重なりますが、毎月コンスタントに発生する仕事ではないんです。でも、少し迷う時もあります。
本人や家族から「介護度を上げてほしい」と言われたとき、出すべきか、様子を見るべきか。そして出すとして、今のプランをどこまで動かすのか。先に結論を言うと、「申請するか」と「プランを動かすか」は別の判断です。ここを分けて考えられるようになると、区分変更を進めるときのなんか面倒でよくわからない感じが、ぐっと少なくなります。
この記事では、独立3年目の主任ケアマネで、認定調査員もやっている僕が、出す・出さないの判断基準、調査の場で損をしないための準備、申請から結果までの段取り、そして想定外が起きたときの立て直し方まで、実例ベースでお話しします。
区分変更とは——更新との違いだけ押さえれば十分です
区分変更は、認定有効期間の途中で心身の状態が変わったときに、要介護度の見直しを求める申請です。有効期間の満了に合わせて行うのが更新認定、期間の途中で行うのが区分変更、という整理だけでまずは十分です。
根拠は介護保険法の第29条(要介護の方)と第33条の2(要支援の方)。申請は本人や家族もできますし、ケアマネが代行することもできます。
ここで一つ、実務で知っておきたいのが要支援の方のケースです。要支援の方が要介護を見込んで申請する場合、窓口では区分変更の様式を使うことがありますが、制度上は新規の要介護認定申請として扱われます。第29条も第33条の2も要支援から要介護への変更はカバーしていないためです。したがって認定後の有効期間も、更新の12か月ではなく新規の枠(原則6か月、保険者の判断で3〜12か月)で設定されます。
正しく説明をするため、難しい言い回しになりましたが、様式の運用は保険者によって違うので、迷ったら市町村に確認すれば間違いありません。
出典:厚生労働省「要介護認定に係る法令」/e-Gov法令検索「介護保険法」
出す?出さない?——判断の軸は2つ
大前提として、区分変更を検討するのは、体調や生活の様子が変わったときです。状態が変わっていないのに、介護度だけを上げることはできません。ここは動かせない前提として押さえてください。
そのうえで、僕が区分変更で見ているのは、次の2つです。
1つ目は、サービスを変える必要があるか(ケアマネとしての見立て)。2つ目は、本人・家族が変更を望んでいるか(意向)。この2軸で整理すると、対応は4パターンに分かれます。

| 本人・家族が希望している | 希望していない | |
|---|---|---|
| サービスを変える必要がある | 迷わず申請します | 根拠を示して説明します。経験上、ここで納得されないことはほとんどありません |
| サービスを変える必要はない | 手間と費用を説明したうえで、それでも希望されるなら申請を進めます | 現状維持。次回の更新で対応します |
迷いやすいのは左下、「ケアマネの見立てでは必要ないけれど、家族は希望している」というパターンです。実際にあった例で説明します。
要支援2の方で、家族から「要介護にしてほしい」と希望がありました。僕の見立てでは、要介護1は出ない。それでも、申請は進めました。申請するかどうかを決める権限は、ケアマネにはありません。申請権は本人と家族のものです。それに、調査を受けて結果を見ること自体が、家族の納得につながることもあります。
ただし、プランは動かしませんでした。理由は、僕の見立てでは要介護1は出ないと考えていたからです。だから暫定プランの一式は組まず、現行のプランのまま結果を待つ形にしました。
もちろん、もし要介護1が出れば話は別です。サービス内容を変えないとしても、要支援から要介護に変われば予防給付から介護給付への切り替えになるので、新規契約からアセスメント、プラン作成、担当者会議までの一連が必要になります。
そこは「要介護1が出たら、すぐ動けるようにしておく」という形で頭の中に準備しておきました(流れの詳細はこのあとの段取りのところでお話しします)。「申請するか」と「プランを動かすか」は別の判断、というのはこういうことです。
一方で、見送りに落ち着くこともあります。僕がよく使う説明はこうです。
「サービスを増やしたり減らしたりしないのであれば、区分変更をしても、認定調査の日程調整と立ち会いの手間がかかって、デイサービスの利用料が上がるだけなんです」
ここまで具体的に伝えると、「じゃあ今回はやめておきます」と納得される家族は実際に多いです。逆に、こちらが必要だと見立てているのに家族が乗り気でないケースは、根拠を示して説明すればほぼ通ります。判断に迷ったら、この2軸に戻ってきてください。
調査の場で損をしない——認定調査員がやっている「聞き方」
区分変更で一番もったいないのは、実態より軽く調査結果が出てしまうことです。僕は認定調査員もやっているので、調査する側から見えている風景をお話しします。
調査の場で「最近、介助は多いですか?増えましたか?」と聞かれて、正確に答えられる家族はほとんどいません。「多い」「増えた」は人によって基準が違うので、答えようがないんです。
だから僕が調査員として聞くときは、「週7回のうち、何回ですか?」という形に直します。週3回なら少ない、4回なら多い、という判断の軸が持てるからです。「体調が悪いときだけ介助しています」という答えも、「それは週に3回くらいですか、4回くらいですか」と週換算に直して聞きます。
特記事項も同じで、「以前は自分でできていたが、今は半分ほど。介助が1日1回から2回に増えた」のように、回数や頻度の変化で書かれた特記は審査会に伝わります。逆に「大変になってきた」だけでは、判定の材料になりにくいんです。
ここからがケアマネ側への転用です。調査の立ち会い前に、家族と一緒に「週何回か」を整理しておいてください。転倒は月に何回か、夜間のトイレ介助は週に何回か。数字にしておくだけで、調査の場で家族が答えられるようになり、実態がそのまま特記に載ります。準備はこれだけで十分です。
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申請当日から結果まで——段取りと暫定プランの考え方
流れ自体はシンプルです。
- 申請(本人・家族、またはケアマネ代行)
- 認定調査(日程調整と立ち会い)
- 主治医意見書(申請を受けて市町村から主治医に依頼されます。直近の受診状況を確認し、必要なら受診の声かけをしておくとスムーズです)
- 介護認定審査会
- 結果通知(原則30日以内)
ケアマネとして考えることは、この間のプランをどうするかです。よく「区分変更=暫定プラン」とセットで語られますが、僕は必ずしもそうは考えていません。サービス内容を変える見立てがないなら、暫定プランは組まず、現行プランのまま結果を待ってかまいません。暫定プランが必要なのは、結果を待たずにサービスを動かす必要があるときです。
先ほどの要支援2の方の例で言うと、僕が準備していたのは「要介護1が出たらすぐ動けるようにしておくこと」でした。中身は判断の軸のところでお話ししたとおり、予防給付から介護給付への切り替えに伴う新規契約からの一連です。結果判明後すみやかに動けるよう頭の中で組んでおけば、どちらの結果が出ても慌てません。
なお、要介護が出ても「プランは変えない」という選択をする方もいれば、「出たら変えたい」という方もいます。結果が出る前に、この分岐まで本人・家族と話しておくと、結果通知後の動きが速くなります。
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月途中の区分変更と請求まわり
請求で押さえるのは3点です。
まず、認定の効力は申請日にさかのぼります。結果が出るまでに提供したサービスも、新しい要介護度を前提に整理されることになります。
次に、月の途中で要介護度が変わった月の区分支給限度基準額は、重いほうの要介護度のものを適用するのが基本です。
そして、要支援と要介護をまたぐ切り替えの月は、予防給付と介護給付の請求が絡んで複雑になります。ここは保険者と国保連のルールを確認しながら進めるのが確実です。給付管理で迷ったら、自己判断せず保険者に聞く。区分変更の請求は、それくらいの慎重さでちょうどいいと思っています。
却下・想定外のときにどう動くか
区分変更は、希望どおりの結果が出るとは限りません。同じ区分のまま変わらないこともあれば、下がることもあります。だからこそ、判断の軸のところでお話しした「調査を受けても上がらない可能性」の見通しを申請前に伝えておくことが、いちばんの備えになります。結果が想定内なら、家族の落胆はぐっと小さくなります。
結果に納得できない場合、制度上は都道府県の介護保険審査会への審査請求という道がありますが、時間がかかります。実務では、状態の変化を踏まえてあらためて区分変更を申請する対応を検討することが多いです。
【実例】更新のつもりが、区分変更になっていた話
一つ、僕のヒヤリとした話をします。更新認定のつもりで家族に申請をお願いしたら、家族が申請書の区分変更の欄にチェックを入れて提出していたことがありました。発覚したのは調査当日。申請の種別は、出したあとから変更できません。
そこからの立て直しはこうです。調査の立ち会い日をそのままアセスメント日にして、各事業所へ照会を送付。申請中のプランを作成し、日付は立ち会い日、サービス期間は申請日からとしました。保険者の指導班にも経緯を説明し、支援経過に一連を記録して決着しています。
教訓はシンプルで、家族に申請をお願いするときは、チェック欄まで一緒に確認する。これだけです。想定外が起きても、記録と保険者への確認で立て直せます。慌てなくて大丈夫です。
まとめ——申請するかどうかと、プランを動かすかどうかは別
- 区分変更は有効期間の途中で介護度の見直しを求める申請。要支援→要介護は制度上、新規申請の扱いになる
- 判断の軸は「サービスを変える必要があるか」×「本人・家族の意向」の2つ。申請権は本人・家族のもの
- 「申請するか」と「プランを動かすか」は別の判断。変える見立てがなければ現行プランのまま結果を待っていい
- 調査の立ち会い前に、家族と「週何回か」を整理しておくと実態が特記事項に載る
- 想定外が起きても、記録と保険者への確認で立て直せる
区分変更は3か月に1回あるかないかの仕事だからこそ、型を持っておくと迷いが減ります。次に相談が来たら、まず2つの軸に戻ってみてください。
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区分変更のような「たまにしか来ないのに判断が重い仕事」は、気軽に相談できる相手が職場にいるかどうかで、負担がまるで違います。もし今、一人で抱えている感覚が強いなら、どんな職場が合うのかを知ることから始めてみるのも一つです。
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