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新人の頃、アセスメントが苦手でした。
理由は2つです。ひとつは、何を聞けばいいのか分からなかったこと。もうひとつは、お金や家族関係といった、踏み込みにくいことが聞けなかったことです。本人たちを前に固まって、聞き漏らしに後から気づいて、アセスメントを埋められない。次回の訪問で確認する。そんなことを繰り返していました。
あなたにも、思い当たるところがあるかもしれません。
独立して3年目、いまの僕は、契約の日にアセスメントまで一気に取り切ります。かかる時間は30分から1時間。特別な聞き方をしているわけではなく、型があるだけです。
この記事では、シートの順番どおりに聞かない理由、包括のインテークを切り口にするやり方、その場で介護ソフトに入れる時間の使い方、そして意外と迷う「いつやるか(再アセスメントの判断基準)」まで、僕の運用をそのまま話します。
アセスメントのルールはこれだけ——23項目・居宅での面接【2026年版】
最初に、ルールの確認だけしておきます。ケアマネとして必ず押さえておかなくてはいけません。
アセスメント(課題分析)について、運営基準が求めていることは、突き詰めると2つです。
ひとつ。ケアプランの作成にあたっては、利用者の心身の状況や置かれている環境を踏まえて、解決すべき課題を把握すること(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準 第13条第6号)。
ふたつ。その課題分析は、利用者の居宅を訪問し、利用者と家族に面接して行うこと(同 第13条第7号)。
▶ 出典:指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)|厚生労働省 法令等データベース(ページ内検索:面接して行わなければ)
そして、把握すべき内容の標準として国が示しているのが「課題分析標準項目」です。2023年(令和5年)10月の改正で中身が現代の実務に合わせて見直され、現在は基本情報9項目+課題分析14項目の計23項目になっています。
▶ 出典:「介護サービス計画書の様式及び課題分析標準項目の提示について」の一部改正について(介護保険最新情報Vol.1178・令和5年10月16日・厚生労働省老健局)(ページ内検索:課題分析標準項目)
23項目の一覧解説は、この記事ではやりません。原文を1回読むほうが正確ですし、この記事で話したいのは項目の暗記ではなく「どう聞いて、どう記載していくか」だからです。
ここで覚えておいてほしいのは1点だけ。ルールが求めているのは「居宅で、面接で、課題を把握すること」であって、「シートの順番どおりに質問すること」ではない、ということです。
ゼロから聞かない——包括のインテークが最初の切り口
僕のアセスメントは、訪問する前から始まっています。
新規の依頼は、だいたい地域包括支援センター経由で来ます。そのとき僕は、包括が受けたインテーク(最初の相談)の内容を必ず聞きます。誰が、いつ、何に困って相談してきたのか。ここに、そのケースの入口が全部詰まっているからです。
たとえば「退院を機に娘さんが相談してきた」なら、話の切り口は退院後の生活と娘さんの介護力です。「近所の人が心配して包括に連絡した」なら、独居の生活実態と本人の認識から入ります。
つまり、仮説を持って訪問する。初回訪問の場で「今日は何にお困りですか」とゼロから聞き始めるのと、「包括さんから、退院後の生活がご心配と伺っています」と入るのとでは、最初の5分の空気がまるで違います。相手は「この人は分かって来てくれた」と感じますし、こちらは確認から入れるので話が速い。
新人の頃の僕は、何の情報も持たずに訪問して、その場でゼロから聞き出そうとしていました。いま思えば、聞けなかったのは当たり前です。いまは訪問する前に、最初に何の話をするかが決まっています。
シートの順番には聞かない——生活の話から始めて、23項目は「聞くためのヒント集」
訪問先で、僕はアセスメントシートを開きません。世間話の延長で、生活の話から入ります。
地域包括支援センターからの情報を切り口に、朝は何時に起きるのか。ごはんは誰が作るのか。夜のトイレはどうしているのか。困りごとと暮らしぶりを、本人と家族が話しやすい順番で、自由に聞いていきます。
質問リストを上から読み上げるアセスメントは、こちらとしては仕事をした形になります。でも相手からすると形式的な聞き取りにしか見えず、信頼関係ができる前の相手に、本音は話しにくいものです。それに、生活は項目ごとに切り分けられていません。「夜のトイレ」の話には、排泄とADLと睡眠と住環境と家族の介護負担が全部入っています。生活の順番で聞くほうが、困りごとの実態を把握するために実は合理的なんです。
では23項目は何のためにあるのか。誤解しないでほしいのですが、「埋めなくていい」という話ではありません。ケアプランを作るために国が設けた項目ですから、最終的には全部確認します。ただ、上から順に質問して埋めるものではない、というのが僕の位置づけです。
僕にとって23項目は、質問の台本ではなく、「聞くためのヒント集」です。生活の話を自由に聞きながら、頭の片隅で「いまの話はあの項目だな」と紐づけていく。事務所に戻ってから聞き取った内容を項目に落とし込んで、空欄が残っていれば、それが次回の宿題です。
正直に言うと、シートなしでアセスメントしろと言われたら僕は困ります。「自分でヒアリングシートを作れ」と言われても、作れる自信がありません(笑)。23項目は、それくらいよくできたリストです。だからこそ、台本として読み上げるのではなく、ヒントとして使い倒すのがいちばん良い付き合い方だと思っています。
生活の実態を把握しながらアセスメントを取ると、地域包括支援センターからの情報より多くのことを確認できます。地域包括支援センターへ訪問をして相談をする本人や家族は、顕在ニーズしか相談しないことがほとんどです。ケアマネは自宅を訪問して、本人が実際に生活する環境にいながらアセスメントをします。だから、本人がまだ困りごとと自覚していないこと——潜在ニーズまで見えてきます。
「アセスメントをちゃんとやらないと運営基準減算になる」という怖さでシートを埋めるのではなく、生活の実態を聞いて、困っていることを落とし込む道具として使います。
もうひとつ、新人の頃の僕が苦手だった「お金と家族関係」について。
まずお金。いまの僕は、収入や予算をほとんど聞きません。順番が逆なんです。アセスメントをある程度した後に、その人に必要と思うサービスを提案します。回数、時間、サービスの中身。そのうえで、1ヶ月の概算を伝えます。「この内容だと、月々だいたいこのくらいです」。ここで返ってくる反応が、そのまま答えです。無理のない金額なら話はそのまま進みますし、負担が大きそうな様子なら、回数や内容を一緒に調整すればいい。経済状況を聞き出さなくても、必要なことは分かります。
次に家族関係。こちらは逆に、わりとストレートに聞きます。ただし切り口は困りごとです。たとえば「買い物に行けなくなってきた」という話が出たら、「どなたが助けてくれているんですか?」と聞く。家族の名前が出てくれば、その人をきっかけに家族の話を広げていきます。友人やご近所の名前が出てきたら、「ご家族は何か手伝ってくれていますか?」と聞く。困りごとを助けてくれる人を尋ねているだけなので、聞かれる側も自然に答えられます。
新人の頃は、「ご収入は」「ご家族の仲は」と正面から聞くものだと思い込んでいたから、聞けなかった。お金は提案への反応で分かる。家族は困りごとを軸に聞けば自然に出てくる。聞く度胸の問題ではなく、順番の問題だったんです。
所要時間は30分から1時間——PCを持ち込んでその場で介護ソフトに入れる
僕のアセスメントは、ケースによりますが30分から1時間です。
これは契約の日の「2時間」の中に入っています。重要事項説明と契約でおよそ1時間、そこからアセスメントまで一気にやって、全体で2時間。契約の日に何をどの順番で話しているかは、こちらの記事で全部書きました。
▶ ケアマネの契約で何を説明する?必ず口頭で話す5項目と「2時間」の中身【独立3年目の実録】
そして、ここが僕の運用の核なんですが、PCを持ち込んで、聞きながらその場で介護ソフトに直接入れます。
手書きメモ→事務所で清書、という二度手間をやりません。面接が終わった時点で、アセスメント記録はほぼ完成しています。事務所に戻ってやるのは、空欄項目の確認と整えだけ。
「利用者さんの前でPCを打つのは失礼では」と思う人もいるかもしれません。僕は最初に「お話を伺いながら、記録をその場で作らせてくださいね。聞き間違いがあったらその場で直せますので」と一言添えます。むしろ、目の前で記録が作られていくことは、相手にとって「ちゃんと聞いてもらえている」の見える化でもあります。
この「その場で終わらせる」やり方は、アセスメントに限った話ではありません。モニタリングも記録も、僕は持ち帰らないことを基本にしています。
再アセスメントは「ケアプランを変えるか」で決める——入院してすぐは間違い
さて、検索でこの記事にたどり着いた人が本当に知りたいのは、たぶんここです。「再アセスメントって、いつやるの?」
僕の判断基準は一文で言えます。ケアプランを変えるなら、やる。変えないなら、やらない。
根拠もシンプルです。運営基準上、ケアプランを変更する場合は、作成時の一連のプロセス(課題分析からサービス担当者会議、交付まで)を改めて踏むことになっています(第13条第16号による第3号〜第12号の準用)。つまり再アセスメントは「プラン変更のプロセスの一部」であって、単独で発生するイベントではないんです。
逆に、曜日の一時的な変更のような「軽微な変更」であれば、この一連の業務は必要ありません。何が軽微にあたるかは国が例を示していますが、あくまで例示で、最終的な判断は保険者によって差があります。迷うケースは事前に担当行政へ確認してください。
▶ 出典:居宅介護支援・介護予防支援・サービス担当者会議・介護支援専門員に係る項目及び項目に対する取扱い(厚生労働省)(ページ内検索:一連の業務を行う必要性)
もうひとつ、覚えておいてほしいことがあります。「プランを変えるなら、やる」と聞くと、再アセスメントがたまにしか来ない特別なイベントに思えるかもしれません。実際は逆です。短期目標にもサービスの期間にも、必ず終わりの日付があります。期間が満了すれば、延長するにしても内容を見直すにしても、プランのどこかに手を入れることになる。要介護認定の更新が来れば、認定有効期間に合わせてプランを作り直します。単なる期間延長なら軽微な変更として扱える場合もありますが、「延長でいい」と判断するためには、結局その人の状態を見ることになります。つまり、プランを大きく変えないケースでも、再アセスメントは必然的に、定期的に巡ってくるんです。だから「いつやるか」で悩み続ける必要はありません。巡ってきたときに、型どおりやるだけです。
この基準で、現場のよくある場面を仕分けしていきます。
モニタリングでサービス追加の相談が出たとき——二度手間にしない
いちばん面倒に感じるのがこれだと思います。月1回のモニタリング訪問で「手すりを借りたい」と相談が出た。プランを変えるからアセスメントが要る。じゃあ、また日を改めて訪問し直すのか?
僕はしません。変更につながる内容がモニタリング中に出ているなら、その訪問・面接を課題分析として位置づけて記録し、そのままプラン変更のプロセスを進めます。居宅を訪問して、本人と家族に面接して、状態と課題を把握した——アセスメントに求められる中身は、その場ですでに満たされているからです。
これは手抜きではありません。国自身が、ケアマネジメントの一連のプロセスについて「必ずしも順序に固執するものではない」として、サービス担当者会議とモニタリングを同時に行う例まで示しています(上と同じ厚労省資料。ページ内検索:順序に固執)。大事なのは訪問の名目ではなく、課題把握が行われ、それが記録で分かることです。だから僕は、モニタリング記録とは別に、アセスメントとして把握した内容をきちんと課題分析の記録に落とします。ここを曖昧にすると運営指導で説明できなくなるので、記録の位置づけだけは丁寧に。
実例をひとつ。あるモニタリング訪問で、「玄関の段差の上り下りが大変になってきた」という話が出ました。僕はその場でスマホを出して、玄関の上がり框に付ける手すりの写真を見せながら説明します。「1週間お試しで使えますよ」と伝えて、その日は終了。後日、ご家族からLINE WORKSで「使ってみたい」と連絡が来ました。この訪問の面接を課題分析として記録に位置づけて、そのままプラン変更のプロセスへ。連絡から数日〜1週間で、手すりは玄関に付いています。日を改めて、アセスメントのためだけの訪問をしていたら、この速さは出ません。
そもそも僕のモニタリングは、日程調整から仕組み化しています。その全体はこちらで話しました。
▶ ケアマネのモニタリングは毎月20日までに終わる|60人担当の僕が「日程調整を消す仕組み」を全部話します
入院してすぐのアセスメントは間違い
利用者さんが入院した。すぐ再アセスメントだ——これ、真面目な人ほどやりがちですが、僕はやりません。
理由は判断基準に戻れば明らかです。入院した時点では、ケアプランを変えるかどうか、まだ何も決まっていないからです。在宅サービスは止まり、この先どうなるかは治療の経過次第。この段階で課題分析をしても、退院時には状態が変わっていて、やり直しになります。
入院直後にケアマネがやるべきことは、アセスメントではなく病院との情報連携です。僕は連携シートを当日30分で送ります。その段取りはこちら。
▶ 利用者が入院したらケアマネは何をする?連携シートを「当日30分」で送る僕の段取りを全部話します
アセスメントの出番は、退院が見えて、在宅のプランを作り直すときです。退院対応の流れの実際はこちらで書きました。
▶ ケアマネの退院対応の流れ|カンファに出ない退院は珍しくない【独立3年目の実録】
認定更新と区分変更——「プランを作り直すか」で見る
認定更新のとき。運営基準は、更新認定や区分変更の認定を受けた場合、サービス担当者会議でプラン変更の必要性について意見を求めることを定めています(第13条第15号)。新しい認定有効期間に合わせてプランを作り直すのが通常なので、認定更新時は、サービスの中身が変わらなくてもアセスメントをやります。状態の再確認をして「継続でいい」と判断した根拠を残すこと自体が、課題分析の仕事だからです。
区分変更のとき。これはケースバイケースです。区分変更を申請するということは、状態が変わってサービスを見直す局面がほとんどなので、実務的にはアセスメントとセットになります。ただし、申請のタイミングや暫定プランの扱いはケースごとに細かい判断が入るので、「区分変更=機械的にこう」とは言い切りません。ここでも軸は同じです。プランを変えるなら、アセスメントをする。
その手前にある「そもそも区分変更を出すか出さないか」の判断と、申請から結果までの段取りは、こちらの1本で扱っています。
▶ 区分変更、出す?出さない?ケアマネの判断基準|「申請するか」と「プランを動かすか」は別の話
もうひとつ、まっさらなアセスメントをゼロからやる場面の代表が、他事業所からの引き継ぎです。引き継ぎで来た利用者さんは、制度上あなたの事業所にとって「新規」。受ける側の2ヶ月の手順から書類チェックの順番まで、こちらの1本にまとめました。
▶ ケアマネの引き継ぎ手順|転職2ヶ月で35件引き継いだ僕が「書類より大切」と思うこと
まとめ:型があれば、アセスメントは怖くない
僕のアセスメントの型を、最後にまとめます。
・ルールは「居宅で・面接で・課題を把握」。シート順の質問は求められていない
・訪問前に包括のインテークを聞き、仮説を持って行く
・生活の話から実態を確認、23項目は「聞くためのヒント集」として使う
・お金は提案への反応で分かる。家族関係は困りごとを軸に聞く
・PCを持ち込み、その場で介護ソフトに入れて持ち帰らない。30分から1時間
・再アセスメントは「ケアプランを変えるか」で決める。入院してすぐはやらない

新人の頃の僕は、何を聞けばいいか分からず、聞きにくいことを聞けずにいました。いま思えば、足りなかったのは度胸ではなく型です。型は作れます。場数は、型があれば怖くなくなります。
一方で、もしあなたの職場が、アセスメントの持ち帰り清書が当たり前だったり、1件1件に型を作る余裕すらない担当量だったりするなら、それはあなたの努力の問題ではなく、環境の問題かもしれません。働く場所を変えるという選択肢も、静かに持っておいていいと思います。
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転職サイトとの付き合い方は、実際に転職を経験した僕の考えをこちらにまとめています。
▶ 転職サイトを使わずに転職した僕が、それでも登録を勧める理由【2026年版】
最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^