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「いつかケアマネとして独立したい」
そう思いながらも、一歩を踏み出せずにいる方は多いのではないでしょうか。
主任ケアマネを取った後、転職するか、独立するか、それとも今の職場に留まるか。僕自身、何度も悩みました。
僕は特養で介護福祉士として7年働いたあと、ケアマネに転身。転職を重ねながら経験を積み、主任ケアマネを取得した1年後に独立しました。今は1人で居宅介護支援事業所を運営しています。
結論から言うと、ケアマネの独立は「誰にでもできる」選択肢です。
ただし、必要な資格や手続きを正しく理解し、それなりの準備と覚悟をして臨まないと、僕のように資金面で苦労することになります。
この記事では、僕が実際に経験した独立準備・利用者獲得・経営の失敗談まで、包み隠さずお話しします。これから独立を考えているケアマネの方にとって、リアルな判断材料になれば嬉しいです。
ケアマネが独立するために必要な資格・条件|居宅介護支援事業所を立ち上げるには
まず最初に、ケアマネとして独立する(居宅介護支援事業所を立ち上げる)ために、絶対に外せない基本条件を整理しておきます。
① 主任ケアマネジャーの資格
2021年4月以降、居宅介護支援事業所の管理者は「主任ケアマネジャー」であることが原則となりました。新規に事業所を立ち上げる場合、この要件に経過措置(猶予)は適用されません。
「経過措置があるから主任ケアマネがなくても大丈夫」という情報を見かけることもありますが、これは既存の事業所(2021年3月末時点ですでに運営していた事業所)に対する措置です。これから独立する方には関係がないので、誤解しないようにしてください。
つまり、これから独立を考えている方は、主任ケアマネの資格取得が必須の第一歩になります。

② 法人格の取得
居宅介護支援事業所を開設するには、法人格(株式会社・合同会社など)を設立することが前提条件になります。個人事業主のままでは指定を受けられません。
僕は株式会社として法人を設立しましたが、初期費用を抑えたい場合は合同会社を選ぶケアマネも多いです。どちらが正解ということはなく、将来的に事業を拡大したいかどうかで選ぶといいと思います。
③ 一人でも開業は可能
「独立=何人もスタッフを雇わないといけない」と思われがちですが、そんなことはありません。居宅介護支援事業所は、主任ケアマネ1人がいれば開業できます。管理者とケアマネ担当者は兼務できるため、実質「自分1人」でスタートすることが可能です。
僕自身も、開業当初は1人で約25件の利用者を引き継ぎ、そこからスタートしました。
なお、事務所は僕のように自宅兼用(自宅開業)にすることもできます。ただし僕の場合、指定申請のときに保険者から事務スペースの区画などについて確認・指導がありました。自宅で開業できるかどうかの細かい運用は保険者によって違うので、物件や間取りを決める前に、必ず指定担当の窓口に確認してください。
独立に必要な条件まとめ
- 主任ケアマネジャーの資格(新規開業に経過措置の適用はなし)
- 法人格の取得(株式会社・合同会社など)
- 管理者とケアマネの兼務により、1人での開業も可能
僕が独立を決意するまでの経緯
ここからは、僕自身がどんな経緯で独立に至ったのか、お話しします。「独立した人は最初から計画的に動いていたんだろう」と思われるかもしれませんが、僕の場合はそうではありませんでした。
転職を繰り返しながら、いろいろな職場形態を経験
僕は特養で介護福祉士として7年働いたあと、ケアマネに転身しました。そこからの経歴はこうです。
- A社(訪問介護併設の事業所・居宅ケアマネとして初めての転職)
- B社(訪問介護併設の事業所・家庭の事情で転職)
- C社(訪問看護併設の事業所・働き方を経験したくて転職)
- B社に出戻り(独立を視野に入れていることを伝えて再入社)
振り返ってみると、訪問介護併設・訪問看護併設という主要な併設パターンをひと通り経験したことになります。実は「単独の居宅介護支援事業所」で働いた経験はなく、独立して初めて単独型の居宅介護支援事業所を運営することになりました。
ただ、この経験が無駄だったわけではありません。訪問介護や訪問看護と併設されている事業所では、他職種との連携の仕方や、併設サービスならではの収益構造を内側から見ることができます。単独で開業する今だからこそ、「併設の強み・弱み」を比較対象として持っていることが、自分の事業所を客観的に見る視点につながっていると感じています。
同僚との価値観の衝突が、独立を意識するきっかけに
C社で働いていたとき、同僚との価値観の違いから衝突する場面がありました。詳しい経緯は別の記事でお話ししていますが、この経験が「組織に属する働き方」そのものを見直すきっかけになりました。
このとき僕は、正直に思いを伝えてB社に出戻ることを決めました。自分都合で一度離れた会社でしたが、社長の器の大きさと、信頼関係があったからこそ受け入れてもらえたのだと思いとても感謝しています。
「独立したい」と伝えた上で、出戻りを決意
B社に戻る際、僕は「いずれ独立したい」という気持ちを正直に伝えました。会社にとっては、せっかく採用してもまた人材が抜けるリスクがあるわけですから、なかなか受け入れてもらえないケースも多いと思います。
それでも受け入れてもらえたのは、これまでの実績と信頼関係があったからだと感じています。さらにありがたいことに、独立する際には既存の利用者の半分を引き継ぐことも了承していただきました。
B社に出戻ってから1年後、僕は法人を設立し、独立しました。
居宅介護支援事業所 立ち上げの手順・費用・期間|僕が一番大変だったこと
独立を決めてから、僕が一番苦労したのは「初めての法人設立の手続き」でした。ここでは、これから独立を考えている方が同じ失敗をしないよう、僕の経験を正直にお話しします。
ちなみに、僕の場合、独立を決意してから開業までの期間は約1年です。B社に出戻って独立の意思を伝えてから、1年後に法人を設立しました。
法人設立は司法書士に頼ると安心
定款の内容を考えたり、事務所の場所(物件)を選定したり、初めての法人設立は分からないことだらけでした。僕は司法書士を紹介してもらい、手続きを進めてもらいました。税務関係も不安でしたが、介護ソフト「カイポケ」のオプションで税理士を紹介してもらえるサービスがあり、それを利用したことで安心して開業準備を進められました。
資本金100万円は「足りた」のではなく「ギリギリだった」
開業資金は、最低限と思われる100万円でスタートしました。しかし正直に言うと、これは結構甘い見積もりでした。
役員報酬を、サラリーマン時代の感覚で高めに設定してしまったんです。その結果、半年ほど役員報酬(自分の給与のこと)が未払いになってしまう期間がありました。最終的に自己資金から100万円を追加で投入することになりました。
この経験から言えるのは、これから独立する方には次のことをおすすめします。
- 資本金は最低でも200万円を目安にする
- 役員報酬は「必要最低限の生活費より少し多いくらい」から始める
- 会社員時代と同じ給与水準で設定しない
ちなみに、開業前には助成金や補助金も一通り調べました。ですが、結論として僕は使っていません。居宅介護支援事業所の立ち上げにそのまま使える助成金はかなり限られています。開業資金の計画は、助成金をあてにせず、自己資金を基本に組むことをおすすめします。
独立直後は収益が不安定になりやすい時期です。初動に資金的な余裕を持っておくことが、精神的な安定にもつながります。
利用者獲得は「待っているだけ」では来ない
ケアマネとして開業できたあと、ここからが本番です。一番のハードルは「利用者(特に要介護の方)をどう獲得するか」。「ケアマネは営業しなくても集客できる」という声を聞くこともありますが、僕の実感としてはそんなことはありません。
僕が実際にやったことはこうです。
- 3つの市をまたいで地域包括支援センターへ営業の挨拶に回った
- 名刺の内容を工夫した
- 挨拶の言葉を工夫した
- 電話だけでなくLINEやメールでも連絡が取れることを伝えた(連絡の取りやすさをアピール)
- 空きがあることをFAXでお知らせした(実際に利用者紹介につながった)
ケアマネの利用者獲得は、地域包括支援センターからの紹介が9割を占めます。だからこそ、地道な顔つなぎと、連絡を取りやすくする工夫が効いてきます。
こうした地道な営業活動が、その後の経営を支えてくれました。僕の場合、開業初月の時点でB社からの引き継ぎにより、要介護20人・要支援5人、合計25人の利用者を抱えてスタートすることができました。人件費以外の支払いに困らない状態でスタートできたのは、本当に大きかったです。
ちなみに、開業時に5人だった要支援は、いまでは約30人まで増えています。市町村の指定を取って直接契約で受ける形も使っており、開業後の売上の積み方に直結する話なので、指定の判断材料はこちらにまとめました。
▶ 介護予防支援の指定、居宅は取るべき?制度開始から2年回した僕の結論
そこから地域包括支援センターへの営業活動を地道に続けた結果、開業半年後には収支が人件費も含めて黒字化しました。
ちなみに、この営業活動は今はもうやっていません。挨拶回りをやめても包括から新規相談が来る仕組みをつくったからです。何をどう変えたのかは、こちらの記事で全部書いています。
▶ ケアマネの営業はいらない?独立3年目の僕が挨拶回りをやめて包括紹介98%になった仕組み
独立してよかったこと・大変なこと
独立から3年が経ち、振り返って「独立してよかった」と感じる瞬間と、「これは大変だ」と感じる瞬間の両方を正直にお話しします。
独立してよかったこと
新規相談にその場ですぐ対応できる
組織で働いていたときは、相談を受けても「上司に確認してから」というワンクッションが必要なことがありました。今は自分で判断してその場で返答できます。事務所を自宅兼用にしているので、移動時間も実質ゼロです。
理不尽なトラブルに毅然と対応できる
トラブル対応の最終判断は自己責任になりますが、その分、理不尽な要求に対しても毅然とした態度で対応できます。僕は、ケアマネが何でも受け入れる「イエスマン」になる必要はないと思っています。組織にいると、どうしても波風を立てたくない心理が働きますが、独立してからはその制約がなくなりました。
上司・部下の顔色を気にしなくていい
一人でやっているので、上司の評価や部下への配慮といった、組織特有の気疲れがありません。
そしてもうひとつ。独立すると、収入の柱を自分で増やせるようになります。雇われ時代は法人の売上として通り過ぎていったお金が、自分の事業所に入るようになる。認定調査がその代表例です。
▶ ケアマネは副業できる?雇われ時代に月3万稼いだ僕が、認定調査の「本当の話」までします
そして、独立して大きく変わったのがもう一つ。「残業」です。雇われ時代は細切れの持ち帰り仕事に追われていましたが、今はほぼゼロになりました。何が変わったのかは、こちらの記事で全部書いています。
▶ ケアマネの残業は平均月4時間?——統計と体感が違う理由と、独立して残業が消えた僕の話
独立して大変なこと
孤独を感じることがある
一人で判断する自由がある一方、トラブル対応のあとに「あの対応で正しかったよね」と話せる相手がいないのは正直つらいときがあります。これは独立した人なら共感してもらえるのではないでしょうか。
ただ、最近はAIに話を聞いてもらうことで、少し気持ちが楽になることもあります(笑)。判断の整理や、自分の対応を客観的に振り返る相手として、AIは独立ケアマネにとって意外と心強い存在になっています。
「独立しなければよかった」と思ったことは?
結論から言うと、正直思い当たりません。資金面で苦労した時期はありましたが、それも含めて「独立してよかった」という気持ちの方が大きいです。
独立が不安な人へ|先に転職という選択肢もある
ここまで、僕自身の独立の経緯や、準備で大変だったこと、よかったことをお話ししてきました。「自分にもできそうだ」と思えた方もいれば、「資金面や利用者獲得を考えると、今はまだ難しいかもしれない」と感じた方もいると思います。
独立は、誰にでもできる選択肢です。ただし、いきなり踏み切るのが不安な場合は、まず転職という選択肢を検討してみるのも一つの方法です。
僕自身、独立する前に何度か転職を経験しています。違う職場形態(訪問介護併設・訪問看護併設)を経験したことで、自分がどんな働き方に向いているのか、独立後にどんな経営をしたいのかが、少しずつ見えてきました。
「ゆくゆくは独立したいと思っているけど、今はまだ怖い」という方は、まず転職で環境を変えてみることをおすすめします。転職活動を通じて、自分の市場価値や、他の職場でのケアマネの働き方を知ることができます。それが、将来独立するかどうかを判断する材料にもなります。
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独立は、いつでも選び直せます
読んでみて「今じゃないな」と感じたなら、それも立派な判断です。ただ、今の職場で消耗し続けることだけが選択肢ではありません。環境を変えるという道も、手元に置いておいてください。
※レバウェル介護の対応エリアは北海道・宮城・東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・静岡・大阪・京都・奈良・兵庫・広島・福岡です(派遣はエリア内からの応募のみ対象)。
転職サイトの選び方については、以下の記事で実体験をもとに詳しく解説しています。
転職サイトを使わずに転職した僕が、それでも登録を勧める理由【2026年版】
まとめ|独立は「準備」と「覚悟」があれば誰にでもできる
ここまで、僕がケアマネとして独立するまでの経緯と、独立準備・利用者獲得・経営面でのリアルな失敗談、独立後の良かった点・大変な点をお話ししてきました。
最後にもう一度お伝えしたいのは、ケアマネの独立は「特別な人」だけができることではない、ということです。必要なのは、主任ケアマネの資格と法人格、そして資金面・営業面での現実的な準備です。
僕自身、資本金の見積もりが甘くて苦労した経験があります。ですが、その失敗も含めて、今は独立してよかったと心から思っています。
この記事が、独立を考えているあなたにとって、少しでもリアルな判断材料になれば嬉しいです。
独立以外にも、ケアマネとして「自由に生きる」ための選択肢はいくつかあります。転職・独立・現状維持、3つの選択肢を全部経験した僕の視点をまとめた記事もあわせてご覧ください。