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ケアマネの営業はいらない?独立3年目の僕が挨拶回りをやめて包括紹介98%になった仕組み

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「新規の利用者を増やすには、営業をがんばらないといけない…」

独立を考えているケアマネさんなら、一度はそう思ったことがあるはずです。僕もそうでした。

こんにちは、つなぐです。独立して3年目、一人で居宅介護支援事業所をやっている主任ケアマネです。

開業直後、僕は地域包括支援センターや病院を10件以上まわって挨拶をしました。正直に言うと、営業は下手でした。名刺を渡して「事務所を開設したのでご挨拶に伺いました」と言うだけ。気の利いたトークもチラシもありません。

それから3年たった今、僕は営業と呼べる活動をほとんどしていません。それでも新規の相談は途切れず、多いときはひと月で5件の新規をいただくことがあります。

なぜ営業をやめても新規が来るのか。答えは「営業をがんばる」のではなく「包括から選ばれる構造」を作ったからです。

この記事では、僕が開業時にやった挨拶回りの実態(と失敗)、包括がケアマネを選ぶ本当の基準、そして営業の代わりに今もやっている仕組みを、そのまま公開します。

開業直後、僕がやった営業の全記録

まず、僕が開業直後にやったことを正直に書きます。

まわったのは、地域包括支援センター、病院の医療連携室、訪問診療のクリニックなど、合わせて10件以上。持参したのは名刺だけです。

言えたのはこれだけでした。

「〇〇(事務所の場所)にケアマネ事務所を開設したので、ご挨拶に伺わせていただきました」

以上です。パンフレットもチラシもなし。事業所の強みをアピールするトークもなし。当時の僕は営業が上手ではなく、むしろ下手で、ありきたりなことしか言えませんでした。

「営業のコツ」を検索して出てくるような、気の利いたやり方は何ひとつできていません。それでも結果的に、開業から1ヶ月以内に包括から新規の相談が来ました。

つまり、営業トークの上手さは新規獲得の決め手ではなかったということです。では何が決め手だったのか。それを説明する前に、先に「うまくいかなかったルート」の話をさせてください。

病院・訪問診療への挨拶が新規につながらない理由

10件以上まわった挨拶回りのうち、振り返って「新規につながった」と言えるのは地域包括支援センターだけでした。病院の医療連携室や訪問診療のクリニックからの紹介は、ゼロです。

これは僕の営業が下手だったから、ではありません。構造的な理由があります。

「どんなケアマネか分からない人」に患者は紹介できない

医療機関の立場で考えてみてください。名刺を1枚持って挨拶に来ただけの、実績も評判も分からないケアマネに、自分の患者さんを紹介できるでしょうか。できないですよね。紹介した先で何かあれば、紹介した側の責任問題になります。

だから医療機関は、よほどの繋がりがない限り、個別のケアマネには紹介しません。それなら、地域のケアマネ事業所を網羅している地域包括支援センターに相談する方が確実です。

つまり、医療機関に営業をかけても、相談は結局包括に集約されるのです。だったら最初から包括との関係に集中した方がいい。これが僕の結論でした。

ただし「完全な無駄」ではなかった

誤解のないように付け加えると、医療機関への挨拶回りがまったくの無駄だったとは思っていません。

挨拶に行くと、院内の雰囲気や受付の方の応対が分かります。顔もつながります。ケアマネの仕事は医療機関とのやり取りが日常的に発生するので、この「一度行ったことがある」は後の業務にいい形でつながることがあります。

新規獲得のための営業としては機能しない。でも、地域資源の下見としては意味がある。挨拶回りはそう位置づけるのが正確だと思います。

地域包括支援センターがケアマネを選ぶ本当の基準

僕の新規相談は、ルートを振り返るとほぼすべて──体感で98%──が地域包括支援センター経由です。だとすれば、勝負のポイントはひとつ。「包括が誰にケースを振るか」の判断基準を知り、そこに合わせることです。

建前:包括は特定の事業所を推薦できない

まず前提として、地域包括支援センターは公正中立が原則で、特定の事業所だけを推薦することはできない建付けになっています。利用者や家族には地域の居宅介護支援事業所のリストを提示し、選んでもらうのが公式なやり方です。

でも現実には、利用者さんや家族が「リストを見て自分で選べる」ケースは多くありません。「どこがいいか分かりません、お任せします」となったとき、包括の担当者は状況に合いそうな事業所を提案します。ここに、選ばれるかどうかの分かれ目があります。

実際の判断材料は4つ

包括の担当者が事業所を提案するとき、見ているのはだいたいこのあたりです。

① 利用者宅からの距離。近い事業所は緊急時にすぐ動けるし、地域の事情にも詳しい。まず立地で絞られます。

② 受け入れの空きがあるか。ケアマネ1人あたりの担当件数には上限があるので、満杯の事業所には振れません。ここは後で詳しく話しますが、この記事でいちばん大事なポイントです。

③ ケアマネ本人の属性と肌感。男性か女性か、落ち着いた雰囲気か、ハキハキしたタイプか。利用者さんとの相性を、包括の担当者は肌感覚で見ています。ぶっちゃけた話、この「肌感」で選ばれることは否定できません。だからこそ顔と名前を覚えてもらうことに意味があります。

④ 利用者・家族の状況とのマッチング。医療依存度が高いケースや対応の難しいケースなら特定事業所加算を取っている体制の厚い事業所へ。「大手の名前」に安心感を求める家族なら大手法人の系列へ。包括はケースの中身に合わせて振り分けています。

新規立ち上げの居宅に残された勝ち筋は2つだけ

この4つを、開業したばかりの一人ケアマネの立場で眺めてみてください。

④の加算もブランドも、立ち上げ直後には持っていません。①の立地は開業時に決まっていて、後から動かせません。

残るのは、②「空きがあることを知ってもらう」③「顔と名前を覚えてもらう」の2つだけです。

逆に言えば、この2つは新規事業所でも今日から作れます。僕が営業の代わりにやっている仕組みは、すべてこの2点に集中したものです。

営業の代わりにやっている仕組み①:月次実績報告に「受け入れ可能数」を書く

ここからが本題です。僕が挨拶回りの代わりに、開業からずっと続けていることはひとつだけ。毎月、地域包括支援センターに実績報告を出すとき、頭紙(かがみ)に「今、何人受け入れられるか」を明記することです。

要支援の利用者さんを包括から受けている居宅なら、毎月の実績報告はもともと発生する事務作業です。つまり追加の営業活動ではなく、どうせ毎月送る書類を、選ばれるための媒体に変えているだけです。

実物の頭紙をそのまま公開します

僕が毎月使っている頭紙は、こういう構成です。

○月分 実績のご報告

令和○年○月○日

○○地域包括支援センター
担当者様

いつもお世話になっております。

表題の通り、○月分の実績を下記の通りお知らせいたしますので、ご査収のほどお願い致します。

・○○様 ○月分 新規 初回加算
・○○様 ○月分 継続
・○○様 ○月分 ○月分月遅れ新規

また、現在、当事業所の利用者の受け入れ態勢は下記のとおりです。

要介護 ○名
要支援 ○名

要支援の方も遠慮なくご相談ください。

今月もどうぞよろしくお願い致します。

特別なことは何も書いていません。でも、この1枚に「選ばれる仕掛け」が3つ入っています。

ひとつ補足です。実績報告の様式や提出ルールは、地域包括支援センターごとに異なります。指定の様式がある場合は、そちらに従ってください。その場合でも、送付状や余白に「受け入れ可能数」の一文を添えることはできます。大事なのは様式ではなく、この一文が毎月届くことです。詳しくは各包括の担当者に確認してみてください。

仕掛け① 受け入れ可能数を「要介護○名・要支援○名」と分けて書く

前の章で書いたとおり、包括がケースを振るとき最初に確認するのは「空きがあるか」です。ふつう、包括はそれを電話で聞くしかありません。「今、受けられますか?」と。

その確認の手間を、こちらから先に消してあげるのです。毎月「要介護あと○名、要支援あと○名いけます」と書面で届いていれば、包括の担当者はケースが発生した瞬間に「あそこは空いてる」と思い出せます。電話1本の手間が消えるだけで、相談のハードルは目に見えて下がります。

仕掛け② 「要支援の方も遠慮なくご相談ください」の一文

包括が抱えるケースの多くは要支援です。そして要支援は、単価が低いので受けたがらない居宅が多い。つまり包括がいちばん困っているのは「要支援の引き受け先」なんです。ここに手を挙げる一文の効果は、次の章でじっくり話します。

仕掛け③ 毎月、名前と存在を思い出してもらう

実績報告は毎月必ず行う業務です。つまり月1回、僕の事業所の名前が包括の担当者の目に入る。挨拶回りは1回きりですが、これは12ヶ月続く接触です。営業をかけるのではなく、事務書類に乗せて「思い出される状態」を維持する。地味ですが、これが効果的なんです。

渡し方は包括によって使い分ける

僕は手渡しとFAXを包括ごとに使い分けています。手渡しできる包括には持参して、そのついでに担当者と一言二言、顔を見て話す。このとき大事にしているのは、特定の担当者だけでなく、その包括の職員全員と名刺交換しておくことです。

ケースをどの職員が担当するかは分かりません。誰が窓口になっても「ああ、つなぐさんね」と顔が浮かぶ状態にしておく。挨拶回りが1回の点だとしたら、これは毎月の面で関係を作るやり方です。

仕組み②:「要支援もウェルカム」を言い続ける

頭紙の最後に入れている「要支援の方も遠慮なくご相談ください」の一文。これは僕が開業当初から意図的に設計した方針です。

なぜ要支援は嫌がられるのか

正直な話をします。要支援の報酬は要介護の半分以下です。それなのに、契約、アセスメント、ケアプラン作成、担当者会議、給付管理──やる工程は要介護とほぼ同じ。単価が低いのに手間は変わらないので、担当件数が埋まってくると「要支援は受けたくない」となる居宅が多いのが現実です。

包括の立場で見ると、これは深刻な問題です。包括が抱えるケースの多くは要支援なのに、引き受け先がない。つまり包括がいちばん困っているのは、要介護ではなく要支援の行き先なんです。

だから、そこに手を挙げる

みんなが受けたがらないものを引き受ける事業所は、包括から見れば「困ったときに頼れる存在」です。要介護の新規は放っておいても取り合いになりますが、要支援ウェルカムのポジションはがら空きです。

しかも要支援の利用者さんは、いずれ状態が変われば要介護になります。そのとき担当を引き継ぐのは、要支援のときから関わってきたケアマネです。僕は要支援を「単価の低い仕事」ではなく「将来の要介護の見込み客」と捉えています。この考え方と収支の詳しい計算は、担当件数の記事で書いたのでそちらをどうぞ。

ケアマネの担当件数、何件が限界?60人担当している僕が「きつさの正体」を話します

本当の分岐点は「件数が増えた後も言い続けられるか」

開業直後に「要支援もやります」と言うのは簡単です。件数が少なくて、選べる立場にないからです。

本当に差がつくのは、担当が埋まってきた後です。忙しくなると、単価の低い要支援から切りたくなる。ここで「やっぱり要支援は…」と言い出した瞬間、包括からの信頼はリセットされます。都合のいいときだけ手を挙げる事業所だと分かるからです。

僕は今も、実績報告のたびに「要支援の方も遠慮なくご相談ください」と書き続けています。この一貫性こそが、3年かけて積み上がる信用です。営業トークは一度きりですが、言い続けた実績は裏切りません。

なお、要支援の受け方そのものにも、続きの話があります。僕は居宅として「介護予防支援の指定」を取り、要支援の一部を包括からの委託ではなく直接契約で回しています。指定を取るべきかどうか、2年運用した僕の結論はこちらにまとめました。

介護予防支援の指定、居宅は取るべき?制度開始から2年回した僕の結論

結果:開業1ヶ月以内に、引き継ぎ以外の新規が来た

この仕組みの結果を、時系列で書きます。

僕は前職から合意のもと利用者さんを引き継いで開業したので、ゼロスタートではありません。ただ、引き継ぎは「過去の貯金」であって、事業所が続くかどうかは「新規が来る流れ」を作れるかで決まります。

その最初の新規相談は、開業から1ヶ月以内に包括から来ました。挨拶回りをして、最初の実績報告を出した直後のタイミングです。

以来3年、営業らしい営業をしないまま、新規の相談は途切れていません。多いときはひと月で5件。ルートの98%は包括です。

やったことの再現手順まとめ

ここまでの話を、開業する人がそのまま使える手順に整理します。

手順① 開業直後の挨拶回りは「包括を最優先」で行く。営業トークは要りません。名刺を持って、顔を見せて、その包括の職員全員と名刺交換する。医療機関は新規獲得目的ではなく、地域資源の下見として回る。

手順② 毎月の実績報告に「受け入れ可能数」を書く。要介護○名・要支援○名と分けて明記する。手渡しできる包括には持参して、顔を見せるついでにする。様式が指定されている包括では、送付状や余白に一文添える。

手順③ 「要支援もウェルカム」を明記し、件数が増えても言い続ける。包括がいちばん困っているのは要支援の行き先。ここに一貫して手を挙げ続けることが、3年モノの信用になる。

お金は1円もかかりません。チラシもパンフレットも作っていません。必要なのは、毎月の事務作業に3行足すことと、それを続ける一貫性だけです。

まとめ:営業をがんばるな、選ばれる構造を作れ

最後にこの記事の結論をまとめます。

ケアマネの新規獲得に、営業トークやチラシは要りません。新規相談の入り口は包括に集約されているので、やるべきことは「包括が選びやすい状態」を作ることだけです。

具体的には、毎月の実績報告に受け入れ可能数を書く。要支援ウェルカムを明記して、件数が増えても言い続ける。包括の職員全員と顔をつないでおく。この3つです。どれも今月の実績報告から始められます。

これから独立を考えている方は、開業手続きの全体像をまとめた完全ガイドもあわせてどうぞ。集客の不安は、この記事の仕組みで潰せます。

ケアマネが独立するために必要なこと【完全ガイド】|居宅介護支援事業所を立ち上げた僕の実体験

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