働き方のリアル 独立・開業 転職・キャリア

ケアマネの残業は平均月4時間?——統計と体感が違う理由と、独立して残業が消えた僕の話

※本記事にはアフィリエイト広告(プロモーション)が含まれています。

「今日も記録が終わらなかった」

「朝30分早く来て、休憩も削っているのに、タイムカード上の残業はゼロ」

もしあなたがそんな働き方をしているなら、先に結論を言います。それはあなたの能力や段取りの問題ではありません。職場の構造と、やり方の問題です。

なぜ言い切れるのか。証拠は僕自身だからです。

僕は主任ケアマネで、居宅介護支援事業所を立ち上げて独立3年目になります。雇われていた頃は、出勤を30分早めたり、休憩を30分削ったり、細切れで週3時間前後の「タイムカードに乗らない残業」をしていました。それが独立してからは、ほぼ定時相当。日に1〜2時間の余白すらあります。

同じ人間です。ケアマネとしての能力が急に上がったわけではありません。変わったのは「やり方を自分で決められるようになった」こと、それだけです。

この記事では、ケアマネの残業の実態データと、残業が発生する構造、そして僕が独立後に実際にやっている記録のやり方(AI活用を含む)まで、全部話します。

ケアマネの残業は平均何時間?——統計と体感がズレる理由

まず、公的なデータから見ておきます。

厚生労働省の「令和6年賃金構造基本統計調査」によると、常勤のケアマネジャーの超過労働時間(残業)は月4時間です。また、介護労働安定センターの「令和6年度介護労働実態調査」では、介護従事者全体の1週間の平均残業時間は1.7時間、半数以上(56.6%)が「残業なし」と回答しています。

……この数字、あなたの体感と合っていますか?

僕は合っていませんでした。雇われ時代の僕の残業は、タイムカード上はほぼゼロ。でも実際は、出勤を30分早めて、休憩を30分削って、体感で週3時間前後は余分に働いていました。統計に映っているのは「申請された残業」だけで、こういう細切れの時間はどこにもカウントされません。

これを裏付けるデータもあります。全国労働組合総連合の「介護労働実態調査 報告書」(2018年10月〜2019年1月実施)では、残業の要因は情報収集・記録が約70%と断トツの1位。さらに、始業前の時間外労働が「ない」と回答した人は3割以下——つまり7割以上が、始業前から働いているという結果です。調査はやや前のもので、労働組合のある事業所の介護職全体を対象にしたデータですが、「記録が残業の主因」という構図は、いまの現場でもそのまま通じるはずです。

「残業は月4時間」という統計と、「朝早く来て記録を片付けている」という現場。この2つのあいだにあるのが、タイムカードに乗らない「見えない残業」です。あなたが疲れているのに、数字の上では残業していないことになっている——まずここに気づくことが、この記事のスタート地点です。

残業が発生する構造——「あなたが遅い」のではない2つの理由

では、なぜケアマネの残業は記録に集中するのか。僕の雇われ時代の経験から、構造を2つに分解します。

理由① 日中が電話と割り込みで潰れ、記録が夕方以降に押し出される

ケアマネの日中は、自分でコントロールできない時間の連続です。利用者さんやご家族からの電話、事業所からの問い合わせ、急なサービス調整。ひとつひとつは数分でも、そのたびに作業が中断されます。

結果、どうなるか。集中力が必要な記録業務が、電話が鳴らなくなる夕方以降に押し出されるんです。「記録は残業でやるもの」になっている職場、多いんじゃないでしょうか。これは個人の段取りの問題ではなく、割り込みを前提にした業務設計の問題です。

理由② 記録のやり方が「職場のルール」で固定されていて、個人では変えられない

もうひとつが、こちらです。手書きの帳票、紙のファイリング、FAXでのやり取り。「うちは昔からこのやり方だから」で固定された運用は、一人のケアマネがどれだけ工夫しても変えられません。

僕自身、雇われ時代に今のようなツールの使い方はできませんでした。紙・手書き・FAXが前提の運用だったからです。効率の悪さに気づいていても、やり方の決定権が自分にない——これが雇われケアマネの残業が消えない、いちばん根本の構造です。

そしてもうひとつ。「何をどう書けばいいか」を誰も教えてくれない

構造の話に加えて、駆け出しの頃の僕自身の話もしておきます。

ケアマネになりたての頃、ケアプランの書き方も、支援経過の書き方も、正直よくわかっていませんでした。とりあえず書く。あとで見直すと、自分でも当時の状況を思い出せないような記録になっている。アセスメントとケアプランと支援経過の整合性を確認するのに、ものすごく時間がかかりました。

記録に時間がかかるのは、書くスピードの問題だけではありません。「何を、どの粒度で書けば、あとで使える記録になるのか」——この基準を持てるまでに何年もかかる。ここも、残業を生む見えない構造のひとつです。

【実体験】独立したら残業が消えた——何が変わったのか

冒頭で書いたとおり、僕の残業は独立してから消えました。ほぼ定時相当で、日に1〜2時間の余白すらあります。担当は約60人。決してヒマだから残業がないわけではありません。

変わったのは、たったひとつ。やり方を自分で決められるようになったことです。具体的に何をしているか、全部見せます。

① 記録は「あとでまとめて」をやめた——その場で終わらせる

訪問先での気づきはスマホのボイスメモに吹き込む。ノートパソコンを持ち歩いて、書ける記録はその場で済ませる。「事務所に戻ってから記録」という往復をやめただけで、夕方に記録が山積みになる状態がなくなりました。

雇われ時代の「日中は割り込みで潰れ、記録は夕方から」という構造(理由①)を、記録の発生場所と処理場所を一致させることで断ち切った形です。

② 書類は紙で保存しない——Googleドライブに集約

書類はスキャンしてGoogleドライブにデータ保存。紙のファイルを探す時間がゼロになり、利用者さんの情報に訪問先からでもアクセスできます。

③ FAXも外で送受信——eFaxの活用

介護業界はまだまだFAX文化です。でも、FAXのために事務所に戻る必要はありません。僕はeFax(インターネットFAX)を使っていて、出先でも受信確認と送信ができます。

このeFaxがいちばん活きるのが、利用者さんの急な入院のときです。入院の一報を受けたその日のうちに、出先から連携シートを作って病院へ送る——その段取りは、こちらの記事で全部話しています。

利用者が入院したらケアマネは何をする?連携シートを「当日30分」で送る僕の段取りを全部話します

実例:訪問先で保険者証を撮影→その場で関係事業所に共有

この組み合わせが一番効いた実例をひとつ。

訪問先で介護保険被保険者証などをスマホで撮影し、その場でGoogleドライブに格納。関係事業所には、その場でメール等で共有します。

これ、紙とFAXの運用だと「事務所に戻る→コピーを取る→FAXを送る→原本をファイリングする」という4工程です。それが訪問先で完結する。1件あたりは十数分の短縮でも、月に何十件と積み重なれば、これだけで残業数時間分が消えます。

ここまでは、AIすら使っていない「ただのICT」です。特別な投資もいりません。でも雇われ時代の僕には、これができませんでした。紙・手書き・FAX前提の職場ルールを、一人の従業員が変えることはできなかったからです。

こうした「その場で終わらせる」やり方は、毎月のモニタリングにそのまま応用できます。訪問の帰り際に翌月の日程を決めて、記録は当日中に仕上げる——約60人を毎月20日までに回している具体的な仕組みは、こちらの記事に全部まとめました。

ケアマネのモニタリングは毎月20日までに終わる|60人担当の僕が「日程調整を消す仕組み」を全部話します

2026年、ケアマネにはAIという武器がある

ここからが、僕がこの記事でいちばん伝えたい部分です。

記録・書類のやり方に関する情報は、少し検索すれば出てきます。でも、そのほとんどは数年前に書かれたもので、AIという武器が存在しない前提の話です。2026年のいま、ケアマネの記録業務はAIで大きく変わります。僕が実際にやっていることを紹介します。

僕がAIで短縮している3つの作業

① 支援経過・記録の作成:訪問時の会話をもとに、支援経過の文章をAIに下書きさせます。「定期モニタリングで訪問してきたから支援経過用の文書つくって」——プロンプトはこの程度でも、十分な下書きが返ってきます。

② ケアプラン原案・文書作成:アセスメント内容をもとにした原案の下書き、家族や事業所向けの文書作成もAIに任せています。駆け出しの頃、アセスメント・ケアプラン・支援経過の整合性チェックに何時間もかけていた僕からすると、あの頃の自分に教えてあげたいくらいです。
③ 会議の議事録・要約:担当者会議の内容の要約・議事録化。ここはAIがもっとも得意とする領域です。

【重要】安全にやるための3つの前提——ここを飛ばさないでください

ただし、利用者さんの情報をAIに扱わせる以上、守るべき前提があります。僕のやり方をベースに、これから始める方向けに安全側に整えた手順として紹介します。

前提① 入力内容を「AIの学習に使わせない」設定を必ず確認する

ChatGPTやGeminiなどのAIには、入力内容をAIの学習(モデル改善)に使うかどうかの設定があります。僕は学習に使われない設定にしています。この設定をしないまま業務情報を入力するのは、データがどこで再利用されるかわからない状態です。設定画面の「データコントロール」や「プライバシー」の項目で、必ず最初に確認してください。

前提② 実名などの個人情報は入れない——イニシャル化してから渡す

録音をテキスト化したら、AIに渡す前に個人情報を確認します。ここで便利なのがショートカットキーのCommand+F(Windowsは Ctrl+F)。テキスト内の言葉を検索できるので、利用者さんの名前・ご家族の名前・病院名などを探し出して、Aさん・Bさん・C病院のようにイニシャルに置き換えてから貼り付けます。

前提③ 契約時の個人情報使用同意書に「AI活用」を入れておく

僕は録音の導入時、利用者さん数名に確認を取りましたが、抵抗を示す方はほとんどいませんでした。これから始める方は、契約時の個人情報使用同意書に「業務効率化のためAIを活用しています」という一文を入れて説明しておくのがおすすめです。後から説明するより、最初に伝えておくほうがお互い安心です。

もうひとつのコツ:AIに「ケアマネの前提知識」を読み込ませておく

介護保険の解釈やケアマネの運用事項をあらかじめAIに読み込ませておくと、返ってくる文章の精度が段違いに上がります。何も知らない新人に頼むか、制度を理解した相棒に頼むかの違いです。

ケアマネが忙しい時期はいつ?——月初・月末に残業が偏る理由

残業の話とセットで、「忙しい時期」の話もしておきます。ケアマネの忙しさは1ヶ月の中で波があり、残業もこの波に合わせて偏るからです。

月初:実績確認と給付管理

月が明けると、前月分のサービス利用実績の確認と給付管理業務が待っています。各事業所から届く実績を突き合わせ、国保連への請求につなげる——ここは締め切りが明確にある業務なので、集中して時間を取られます。僕の雇われ時代の残業も、記録と並んでこの請求業務が主な発生源でした。

月末:モニタリング訪問の追い込みと提供票の準備

月末は、その月のモニタリング訪問を終わらせる追い込みと、翌月分の提供票の作成・送付が重なります。訪問予定が後ろにずれ込んでいると、月末の数日間に訪問と書類が団子状態になります。

波を小さくするコツ:予定を「前月中」に固めてしまう

この波への対策として僕がやっているのが、前月中に翌月の訪問予定を確定させてしまうことです。訪問時に利用者さん宅のカレンダーに次回予定を書き込んで写真を撮る。LINEが使える方にはLINEでアナウンスする。それができない方には、毎月1〜10日のあいだに連絡して日時を固める。

訪問予定が未確定のままだと、心理的にずっと焦りが残ります。先に予定を固めてしまえば、月末に訪問が団子になることもなく、気持ちの面でもラクです。

ちなみに、この「前倒しで固める」発想を担当者会議にまで広げたのが、僕の会議運用です。認定更新の会議を1ヶ月前の「予告」から設計して、当日は15〜30分で終わらせる。そのやり方は、こちらの記事で全部話しています。

サービス担当者会議は15〜30分で終わる|数百回回してきた僕が「全員揃えない・会議の外で決める」運用を全部話します

残業を減らす3つの選択肢——どこから変えるかはあなたが決めていい

ここまでの話を整理します。残業の正体は、あなたの能力ではなく「職場の構造」と「やり方」でした。だとすれば、打ち手は3つです。

選択肢① 今の職場で、変えられる範囲を変える

ボイスメモでのメモ、その場記録、AIでの下書き(個人情報を入れない範囲で)——職場のルールに触れない範囲でも、できることはあります。まずはここから試す価値はあります。

ただし、正直に言います。紙・手書き・FAXが前提の職場ルールそのものは、一人の従業員には変えられません。僕自身、雇われ時代にそれができなかったから、この記事を書いています。個人の工夫でカバーできるのは、構造の問題の一部だけです。

選択肢② 構造がまともな職場に移る

記録が残業前提になっていない職場、ICTの導入が進んでいる職場は、実際にあります。「どの職場で働くか」は、あなたの段取り術より何倍も残業時間を左右します。

今の職場の構造に限界を感じているなら、転職サイトに登録して求人を眺めてみるだけでも、「自分の職場のやり方が当たり前ではない」ことがわかります。動くかどうかは、それから決めればいい。

※以下はアフィリエイト広告(プロモーション)を含みます。

選択肢③ やり方を自分で決める側になる——独立という選択

そして、僕が選んだのがこれです。独立すれば、記録のやり方も、ツールの選定も、訪問予定の組み方も、全部自分で決められます。僕の残業が消えたのは、突き詰めればこれが理由です。

もちろん、独立は誰にでも勧められる選択ではありません。手続き・お金・利用者確保、考えることは山ほどあります。興味がある方は、僕の実体験をまとめた独立ガイドを読んでみてください。

ケアマネが独立するために必要なこと【完全ガイド】|居宅介護支援事業所を立ち上げた僕の実体験

まとめ:残業の正体がわかれば、打ち手は選べる

最後に、この記事の要点をまとめます。

統計上、ケアマネの残業は「月4時間」。でも現場には、出勤前・休憩中・タイムカードの外側で働く「見えない残業」があります。その正体は、あなたの能力不足ではなく、割り込み前提の業務設計と、個人では変えられない職場ルールという構造の問題でした。

僕は雇われ時代、その構造を変えられませんでした。独立して、やり方を自分で決められるようになってはじめて、残業が消えました。ICTとAIという武器は、もうそろっています。あとは「それを使えるやり方を、誰が決めるか」だけの話です。

今の職場でできることから始めるか。構造がまともな職場に移るか。やり方を自分で決める側になるか。どれを選んでもいい。ただ、「自分の段取りが悪いんだ」と自分を責めるのだけは、今日でやめてください。

あなたの働き方を選ぶ権利は、あなたにあります^^

この記事と合わせて読むと、理解が深まる記事はこちらです。

ケアマネの担当件数、何件が限界?60人担当している僕が「きつさの正体」を話します

ケアマネを辞めたい?僕が辞めたかったのは「ケアマネ」ではなく「職場」だった

転職サイトを使わずに転職した僕が、それでも登録を勧める理由【2026年版】

-働き方のリアル, 独立・開業, 転職・キャリア