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ケアマネの引き継ぎ手順|転職2ヶ月で35件引き継いだ僕が「書類より大切」と思うこと

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ケアマネの引き継ぎ、何から手をつければいいか迷っていませんか。

僕は転職した直後の2ヶ月で、35件をまとめて引き継いだことがあります。別の事業所を退職したケアマネの担当分が約15件、同じ時期に社内で退職が出て、その担当分が20件。入って早々、机の上に35人分のファイルが積まれた状態からのスタートでした。

そして引き継ぎが落ち着いた直後に、実地指導(当時の呼称で、現在は「運営指導」といいます)が入りました。結果は、指摘ゼロ。

ただ、先に言っておくと、書類が大事じゃないという話ではありません。書類はもちろん大事です。ただ、前任の情報をそのまま書き写して書類を揃えても、自分のケースとして説明できる書類にはなりません。引き継ぎで本当に大切なのは、その一歩手前にあります。

この記事では、独立3年目・ケアマネ歴11年の僕が、受ける側の2ヶ月の手順、実際に送っていた照会文書、35件を点検したときのチェックの順番、渡す側になったときの「2ヶ月前ルール」、引き継ぎ資料がほとんど来ないときの動き方、そして次の担当者に伝わる支援経過の書き方まで、引き継ぎの全部を実録で話します。

引き継ぎで一番大切なのは、書類ではありません

結論から言います。引き継ぎで一番大切なのは、前任者の書類を受け取ることではなく、あなた自身がまっさらな状態でアセスメントをやり直すことです。

前任者のアセスメントやケアプランは、あくまで補足資料です。参考にはします。でも、それをなぞって「引き継ぎ完了」にしてしまうと、前任者の見立てをそのまま相続することになります。前任者が見落としていたことも、関係がこじれていた原因も、一緒に相続してしまう。

実は、制度もそういう設計になっています。事業所を変更した利用者を担当するとき、初回加算(300単位)が算定できますよね。この加算の趣旨は「新たにアセスメントを行うことへの評価」です。そして算定要件の「新規」とは、契約の有無に関わらず、過去2月以上その事業所で居宅介護支援を提供していない場合を指します。つまり制度上、引き継ぎで来た利用者は「新規」であり、ゼロからアセスメントをやり直すのが前提なんです。前任の書類の続きを介護ソフトに転記して、書類を作成することが仕事ではありません。

▶ 出典:厚生労働省「居宅介護支援・介護予防支援の加算・減算適用要件等一覧(Q&A集約)」(ページ内検索:過去二月以上)

アセスメントで実際に何をどう聞いているかは、こちらの1本にまとめています。

ケアマネのアセスメントは何を聞く?シート順に聞かない理由と「いつやるか」の判断基準【独立3年目の実録】

もうひとつ、書類より先に確認してほしいことがあります。「なぜこの人は引き継がれてくるのか」です。

前任者の退職なのか、事業所の閉鎖なのか、転居なのか、それとも前の担当者への不満やクレームなのか。理由によって、最初の訪問でやるべきことがまるで変わります。退職や閉鎖なら、利用者側に不満はないので関係づくりが普通に始められます。でもクレーム由来なら、同じことを繰り返さないコミュニケーションを最初に作る必要があります(これは後半で詳しく話します)。

書類の枚数を数える前に、まっさらなアセスメントと、引き継ぎ理由の見立て。この2つが本体です。

制度の側の裏付けも、もう一本あります。運営基準(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準)の第13条第7号は、アセスメントは利用者の居宅を訪問し、利用者とその家族に面接して行わなければならないと定めています。前任の資料で代わりにしていい、という規定はどこにもありません。初回加算の趣旨と、まったく同じ方向を向いています。

▶ 出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」(ページ内検索:家族に面接して)

ただし、ここまでの話は事業所が変わる引き継ぎの話です。同じ事業所の中での担当変更は、性質が違います。病院にたとえるなら、事業所をまたぐ引き継ぎは転院で、検査からやり直すのが筋。事業所内の担当変更は、同じ科で主治医が代わるようなもので、カルテ——契約とこれまでの記録——は続いています。だから僕は、事業所内の担当変更ならアセスメントはやり直さず、モニタリングから引き継いで問題ないと考えています。もちろん、担当が代わることをご本人・ご家族にきちんと説明することと、ケアプランの担当者名を変えることは必要です。

【受ける側】他事業所からの引き継ぎ、2ヶ月の手順

ここからは、僕が実際に回していた手順です。他事業所からの引き継ぎは、だいたい2ヶ月かけてこの流れで進めていました。

先に、時間の感覚を置いておきます。僕の実測で、引き継ぎは1件あたり4〜6時間かかります。内訳は、相談の連絡と調整で30分、訪問してのアセスメントに1時間、サービス事業所や包括への連絡に30分、書類の作成に1時間、署名をもらって交付・送付するまでに1時間。積み上げてざっと4時間——これは担当者会議が組めず照会に代えたときの数字なので、会議を開催すればもう1〜2時間乗ります。受ける側・渡す側の両方向で通算50件ほど回してきた体感として、1日に何件も進むものではありません。35件に2ヶ月かかるのは、そういう計算です。

他事業所からケアマネ業務を引き継ぐときの2ヶ月の手順。相談連絡から日程調整、前任同行での契約、担当者会議の調整、交付を経て担当開始までの6ステップの流れ

① 相談の連絡が入る

前任の事業所、地域包括支援センター、あるいはご本人・ご家族から、「担当をお願いできないか」という連絡が入ります。ここで最初に確認するのが、さっき話した「なぜ引き継ぐのか」です。

② 日程調整と、事前情報のやりとり

前任の事業所から、アセスメント・ケアプラン・利用票などの情報をもらいます。繰り返しますが、これは答え合わせ用の補足資料です。読み込みすぎて先入観を固めないこと。サービス事業所がどこか、給付管理を止めないために何がいつ動いているか、という実務情報として使います。

③ 前任者に同行してもらい、契約

初回訪問は、できるだけ前任のケアマネに同行してもらいます。利用者さんからすると、知らない人がいきなり来るのと、信頼していた人が「この人に引き継ぎます」と連れてくるのとでは、スタートラインが全然違います。この場で重要事項説明と契約、そしてまっさらなアセスメントを行います。

契約の日に僕が実際に話している中身は、この記事に全部書きました。

ケアマネの契約で何を説明する?必ず口頭で話す5項目と「2時間」の中身【独立3年目の実録】

④ サービス担当者会議を、開催前提で調整する

担当ケアマネが変わるということは、ケアプランを新しく作るということです。だから、サービス担当者会議は開催する前提で動きます。

日程調整のコツは、ご本人・ご家族の都合を先に固めてしまうことです。会議の主役はご本人なので、まず「この日のこの時間、ご自宅で」を確定させる。そのうえで各サービス事業所に案内を送り、どうしても都合がつかない事業所には照会で意見をもらいます。運営基準の解釈通知でも、やむを得ない理由がある場合には担当者への照会等により意見を求めることができるとされています。

▶ 出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準について(解釈通知)」(ページ内検索:やむを得ない理由)

そのとき僕が実際に送っていた照会文書が、これです。実名の部分だけ伏せてありますが、文面はそのまま使えます。

▼ケアマネ事業所変更

お世話になっております。

○月○日より【○○ケアプランセンターの○○】が担当させていただくこととなります。どうぞよろしくお願いいたします。

大変恐縮ではありますが、ご本人様、ご家族様の都合に合わせ、下記の日程で担当者会議を開催したく存じます。

○月○日(○) 10:00 ご自宅にて

日程の調整が難しい場合は、ご面倒をおかけしますが下記の2点についてコメントを頂けると幸いです。

1、サービス内容

2、現状の様子・ご意見

また、サービス提供中に、様子を見させていただくお願いをするかもしれません。その際はご迷惑とならないよう先にご連絡を差し上げます。

お忙しいところ恐れ入ります。よろしくお願いいたします。

ポイントは、照会でお願いする確認事項を「サービス内容」と「現状の様子・ご意見」の2点だけに絞っていることです。ネットで拾える照会様式は項目がびっしり並んだものが多いですが、項目が多いほど相手の負担が増えて、返ってくるコメントは薄くなります。2点に絞ると、かえって中身のある返事が来ます。

担当者会議そのものの回し方(全員揃えない・会議の外で決める運用)は、こちらで話しています。

サービス担当者会議は15〜30分で終わる|数百回回してきた僕が「全員揃えない・会議の外で決める」運用を全部話します

⑤ 署名・交付・提供票の発行

会議と照会の結果をケアプランに反映して、ご本人の同意・署名をもらい、本人と各事業所に交付します。利用票・提供票を発行して、給付管理の切り替えを完了させます。

⑥ 担当開始・モニタリングへ

ここからは通常の月次サイクルです。引き継ぎ直後の1〜2ヶ月は、前任者との比較で見られている時期なので、約束したことを約束した通りにやる。それだけで信頼は積み上がっていきます。

なお、担当開始後の月次サイクルの回し方——ひと月の型からアセスメント・担当者会議・モニタリング、入退院などのイレギュラー対応まで——は、実務記事10本をつないだ業務全体の地図に1本でまとめてあります。引き継ぎ直後で「次に何をすればいいか」がまだ見えないときは、こちらを手元に置いてください。

新人ケアマネの業務マニュアル|「何から覚える?」に実務記事10本の地図で答えます

【受ける側】35件を点検したときのチェック手順——実地指導で指摘ゼロだった見方

冒頭の話に戻ります。35件を引き継いだ直後に実地指導(現在の運営指導)が入って、指摘ゼロだった。その理由は、引き継ぎの段階で「指導で見られる順番」で書類を点検していたからです。

僕のチェックの順番は、こうです。

引き継いだケアマネ書類のチェック手順。日付の整合確認、アセスメントとケアプランの整合、照会と個別計画書の確認の3ステップ

最初にやるのは、日付の整合確認です。契約日・アセスメント日・ケアプラン交付日(利用票・提供票含む)・モニタリング日。この4つの日付が、支援経過の記録と一致しているか。中身を読む前に、まず日付だけを縦に確認していきます。書類が存在していても、日付が支援経過とズレていたら記録として成立しません。逆に、日付が通っていれば骨格は守れています。既存書類の有無と日付から入るのが、一番効率的だというのが僕の持論です。

日付が通ったら、次はアセスメントからケアプランが作れているか。アセスメントに書かれている課題と、プランの目標・サービスがつながっているかを見ます。

最後に、担当者会議に参加していない事業所の照会と、各事業所の個別計画書が揃っているか。

この順番で35件を見ていったとき、実際にあった不備がこれです。

  • ケアプランそのものがない
  • 支援経過と書類の日付の整合が取れていない
  • 支援経過に変更の根拠の記載がないのに、ケアプランが変更されている
  • アセスメントはあるのに、支援経過にその記録がない
  • 担当者会議に参加していない事業所の照会がない
  • 各サービス事業所の個別計画書がない

実はこのリスト、自治体が公表している運営指導の指摘事例とほぼ一致します。たとえば京都市が公開している居宅介護支援の指摘事例を見ると、同じ構造の指摘が並んでいます。つまり、引き継ぎ時の点検を「指導で見られる順番」でやっておけば、そのまま運営指導対策になるということです。

▶ 出典:京都市「運営指導における主な指摘事例(居宅介護支援・介護予防支援)」

ここでもうひとつ大事なのが、見つかった不備は必ず管理者や代表に報告することです。書類の不備は、運営指導で見つかれば介護報酬の返還につながることがあります。つまり、引き継ぎ時点で不備を確認して報告するのは、法人にとってリスク管理そのものなんです。担当者レベルで抱え込まず、「この期間のこの書類がありません」と事実を報告しておく。法人として対応を判断できますし、あなた自身の記録がいつから始まるのかも明確になります。

【受ける側】引き継ぎ資料がほとんど来ない——それでも慌てない

ここまで手順を話してきましたが、実際の引き継ぎは、丁寧な申し送りが揃って始まるほうが珍しいです。

たとえば要支援の方の引き継ぎは、地域包括支援センター経由で書類がFAXや郵送で届くだけ、というのが僕の周りでは通常の形です。要介護でも似たことはあります。サ高住にお住まいの方を数人まとめて引き継いだときは、前任のケアマネとは電話で概要を聞いただけでした。細かいところは、併設の訪問介護のサービス提供責任者から教えてもらいました。それで困ったかというと、正直、困りませんでした。欲しい情報は、基本情報と、どういう経緯で相談が始まったのかというインテークくらい。あとは自分のアセスメントで埋まります。

制度の最低ラインを知っておくと、さらに気持ちが楽になります。運営基準の第15条では、利用者が他の事業所の利用を希望する場合、事業者は直近のケアプランとその実施状況に関する書類を、利用者に交付しなければならないとされています。裏を返すと、制度上の義務はそこまでです。前任の事業所から後任へ資料一式を申し送る義務は、どこにも書かれていません。「資料が来ない」のは前任が特別に不親切だからではなく、制度がそもそもそういう設計だからです。来ないことを前提に段取りを組んでおけば、慌てずに済みます。

▶ 出典:厚生労働省「指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第38号)」(ページ内検索:実施状況に関する書類)

【渡す側】退職を決めたら「2ヶ月前ルール」

今度は逆の立場、あなたが引き継ぎを渡す側になったときの話です。転職や退職を決めたケアマネの、最後の仕事が引き継ぎです。

なお、渡す理由は自分の退職や転職だけではありません。利用者側から担当変更を希望されて渡すこともあります。その場合は段取りの前に、申し出をどう知り、どこで引き際を判断するか、という話が先に来ます。そちらは別の記事にまとめました。

ケアマネの担当変更、申し出は直接来ない|包括から電話が来たときの動き方と、引き留めない理由

僕がやっていたのは、シンプルな「2ヶ月前ルール」です。

退職の2ヶ月前のモニタリング訪問で、担当を離れることをご本人・ご家族に直接説明する。そして翌月の訪問に、後任のケアマネを同行させる。

これだけです。でも、この順番には理由があります。2ヶ月前に本人の口から聞いていれば、利用者さんには気持ちの準備期間ができます。そして翌月、「先月お話しした、次の担当です」と顔をつないでから離れる。受ける側のパートで「前任者に同行してもらう」と書いたのは、渡す側から見ればこれです。両側の手順は、鏡合わせになっています。

ひとつ注意点があります。要支援の担当で、その月のモニタリングが電話予定になっている場合です。退職の説明を電話で済ませるのは、僕はなしだと思っています。事情を説明して、その月は訪問に切り替えていました。担当が変わるという話は、顔を見て伝えることです。

ちなみに僕自身は、独立して事業所を立ち上げるとき、前の職場と合意のうえで、担当の7割にあたる25人(要介護20人・要支援5人)を引き継いで開業しました。残りの3割は、1ヶ月目のモニタリングで退職と独立の事情を説明し、2ヶ月目の最終モニタリングに前の職場の後任ケアマネと同行して、お渡ししています。やったことは、この章の「2ヶ月前ルール」そのままです。これは前の職場の代表との関係があってできたことなので、誰にでも再現できるとは言いません。ただ、円満な引き継ぎが去る側のキャリアの資産になるのは確かです。そのときの話はこちらにまとめています。

ケアマネが独立するために必要なこと【完全ガイド】|居宅介護支援事業所を立ち上げた僕の実体験

【渡す側】「口頭でしか伝えられない」をなくす——次の担当者に伝わる支援経過の書き方

渡す側の引き継ぎの質は、同行の段取りと、もうひとつ、それまでの支援経過に何を残してきたかで決まります。

引き継ぎの場でよくあるのが、「この方のご家族は、ちょっと難しい方で……」と、書類にないことを口頭で補足する場面です。気持ちは分かります。支援経過には書けない、と感じる情報があること自体は僕も否定しません。ただ、口頭でしか伝わらない情報のほとんどは、書けない情報ではなく、書き方が見つかっていない情報です。

コツは、印象ではなく、観察した事実に翻訳することです。たとえば「お怒りだった」と一行書くのではなく、「大声ではなく、静かに怒っていた」「その日を境に、訪問時に同席されなくなった」のように、見たことをそのまま書く。一行に質感が乗るだけで、次の担当者は身構えるポイントが分かります。

もう一段難しいのが、ご家族の発言の扱いです。たとえば「保険料を払っているんだから、使わないと損でしょう」という発言。そのまま書き写すと、記録の開示があったときに、その方の人物評として一人歩きしかねません。僕なら「サービス利用の考え方についてご自身のお考えをお持ちで、制度の説明を複数回行っている」のように、観察した事実と、自分がとった対応だけを残します。支援経過は、ご本人・ご家族から開示を求められうる文書です。人物評ではなく事実と対応を書いておけば、開示にも引き継ぎにも耐える記録になります。

なお、クレームやトラブルの場面は別です。そこでは相手の発言を、できるだけ正確にそのまま記録します。守るための記録と、次の担当者へ伝えるための記録は、書き分けるものです。

逆に、唯一書かなくていいものがあります。ケアマネ自身の感情です。業務の範囲を超えて動いたのに感謝されなかった——そういう気持ちは誰にでもありますが、引き継ぎ書類に載せる情報ではありません。事実は翻訳して残す。感情は残さない。これが、後任が読める支援経過の条件だと思っています。

クレームが理由の担当変更を受けるとき——最初の一手で決まります

引き継ぎの中で一番神経を使うのが、前の担当者へのクレームが理由の変更です。ここで何もせずに担当を始めると、高い確率で同じことが繰り返されます。次にクレームを言われるのは、あなたです。

僕がやっていたのは、この3つです。

① 変更した理由を、ご本人・ご家族に直接確認する。前任側からの又聞きではなく、本人の言葉で聞きます。自分が同じことで迷惑をかけないためです。「前の方とのことで、私が気をつけたほうがいいことを教えてください」と聞けば、たいてい話してくれます。

② 行き違いを防ぐ対応を、具体的に提示する。たとえば「連絡が繋がらなかった」がクレームの発端なら、こちらも訪問中で電話に出られないことがあり得ると先に説明したうえで、「LINEに用件を入れておいてください」「留守番電話に用件を残してください、折り返します」という運用を最初に決めてしまいます。気をつけます、という精神論ではなく、仕組みで再発を防ぎます。

③ 難しそうな気配のある方には、重要事項説明の時点で線を引く。契約時の重要事項説明で、ケアマネにできること・できないことをしっかり説明しておきます。線引きはトラブルが起きてから引くものではなく、契約の日に先に引いておくものです。この考え方は、カスハラ対応の記事で詳しく話しています。

ケアマネのカスハラ、どこから我慢しなくていい?カッターを突きつけられた僕が「線引きと報告」の話をします

引き継ぎのよくある質問

Q. 前任者から引き継ぎ資料がほとんどもらえません。どうすれば?

A. 致命傷ではありません。ここまで読んでくれたあなたなら分かるとおり、引き継ぎの本体は前任の書類ではなく、あなたのまっさらなアセスメントだからです。基本情報は、ご本人・ご家族、サービス事業所、地域包括支援センターから集め直せます。むしろ先入観なしで始められると考えて、丁寧にアセスメントをやり直してください。

Q. 引き継ぎのためだけに担当者会議を開く必要はありますか?

A. 僕は開催する前提で動いていました。事業所の変更は、新しい事業所として契約からアセスメント、ケアプラン作成までの一連のプロセスを踏むということです。そこには担当者会議も含まれます。ご本人・ご家族の都合を先に固めて開催を調整し、どうしても参加できない事業所には照会で意見をもらう。この記事の手順どおりです。

Q. 引き継ぎで受けた利用者さんに、初回加算は算定できますか?

A. 要件を満たせば算定できます。「新規」とは、契約の有無に関わらず、過去2月以上その事業所で居宅介護支援を提供しておらず、算定もされていない場合を指します。他事業所からの引き継ぎであれば、あなたの事業所にとっては新規です。新たにアセスメントを行うことへの評価という加算の趣旨そのものなので、まっさらなアセスメントとセットで、堂々と算定してください。

まとめ:引き継ぎは、書類の相続ではありません

最後にこの記事の要点をまとめます。

  • 引き継ぎの本体は、前任の書類ではなく、まっさらなアセスメントと「なぜ引き継ぐのか」の見立て
  • 受ける側は2ヶ月:相談→事前情報→前任同行で契約→担会は開催前提で調整(不参加事業所へ照会)→交付→担当開始
  • 照会の確認事項は「サービス内容」「現状の様子・ご意見」の2点に絞る
  • 書類点検は日付の整合から。契約日・アセス日・交付日・モニタリング日⇔支援経過の順で見れば、そのまま運営指導対策になる
  • 引き継ぎ資料が来ないのは制度の設計どおり(義務は利用者への書類交付まで)。来ない前提で段取りを組む
  • 渡す側は「2ヶ月前ルール」:2ヶ月前のモニタリングで説明、翌月に後任同行
  • 支援経過は、印象や人物評ではなく観察した事実と対応に翻訳して残す。ケアマネの感情だけは残さない
  • クレーム由来の変更は、理由の直接確認・行き違い防止の仕組み・重説での線引きを最初にやる

引き継ぎは、前の誰かの仕事を相続する作業ではなく、あなたと利用者さんの関係をゼロから始める仕事です。もらった情報は話を始めるヒントやきっかけづくり、本体はアセスメント。この順番さえ間違えなければ、35件が一気に来ても怖くありません。

そして、この記事を「渡す側」の視点で読んでいたあなたへ。退職や転職を考え始めているなら、引き継ぎの段取りと同じくらい、次の職場選びも準備で決まります。僕は転職も独立も経験しましたが、どちらも「決めてから動く」より「動きながら情報を集める」ほうが、ずっと楽でした。

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最後まで読んでいただき、ありがとうございました^^

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