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「主任ケアマネの年収」で検索すると、300万円台と書いてあるサイトもあれば、600万円、700万円という数字を出しているサイトもあります。
正直、「結局いくらなの?」と思いませんでしたか。
僕は主任ケアマネジャーとして雇われで働いたあと、独立して居宅介護支援事業所を立ち上げました。つまり、雇われ時代の給与明細と、独立後の役員報酬、両方の「本物の数字」を持っています。
先に言ってしまうと、独立後の額面は雇われ時代より下がりました。
「え、独立したのに?」と思いますよね。でもこの記事を最後まで読むと、その数字の意味がまったく違って見えるはずです。
この記事では、ネットの年収情報がバラバラな理由をデータの出どころから整理したうえで、僕自身の実額を公開しながら、主任ケアマネが収入を上げる現実的な選択肢まで正直にお話しします。
主任ケアマネの年収相場|ネットの数字がバラバラな本当の理由
最初に、いちばん大事なことをお伝えします。
「主任ケアマネジャー」に限定した公的な給与統計は、存在しません。
だからネット上の年収情報は、サイトによって出どころが違い、数字もバラバラになるんです。主な「数字の出どころ」を整理すると、こうなります。
| 数字の出どころ | 主任ケアマネの年収 | 特徴 |
|---|---|---|
| 日本総研の調査研究報告書 (厚労省 老健事業) |
最多帯は300万〜350万円 (450万円以上は17.6%) |
主任ケアマネ本人への調査。 実態に近いが、数字は低めに出る |
| 厚労省「令和6年度 介護従事者処遇状況等調査」 |
ケアマネ全体で平均月給37万5,410円 (年収換算 約450万円) |
「主任」限定ではなく ケアマネ全体の平均 |
| 転職サイト・求人メディアの推定 | 450万〜600万円 (管理者兼務で700万円台も) |
求人票ベースの独自集計。 高めに出やすい |
出典:日本総合研究所「令和5年度 介護支援専門員の養成に関する調査研究事業 報告書」(p.98)/厚生労働省「令和6年度介護従事者処遇状況等調査結果の概要」
同じ「主任ケアマネの年収」でも、誰に・何を・何のために聞いたかで、これだけ差が出ます。
現場の実感としては、日本総研の調査(本人回答ベース)がいちばん実態に近いと僕は思っています。つまり、主任を取っただけでは、年収400万円の壁すら簡単には越えられないのが現実です。
ちなみに一般のケアマネと比べると、年収450万円以上の割合は主任が17.6%、主任ではないケアマネが6.2%。差はたしかにあるけれど、「主任=高収入」と言い切れるほどの差ではありません。
職場別の相場をざっくり比較
もうひとつ、数字がバラつく理由が「職場の違い」です。
| 職場 | 収入の傾向 |
|---|---|
| 居宅介護支援事業所(管理者) | 役職手当が上乗せされ、主任の中では高め。ただし事業所の規模と加算次第 |
| 地域包括支援センター | 自治体からの委託運営で給与テーブルが安定。福利厚生も手堅い傾向 |
| 施設(特養・老健など) | 介護職と兼務する場合は手当分で額面が上がることも。人手不足の施設では夜勤を頼まれるケースもあるが、多数派ではない |
同じ「主任ケアマネ」という肩書きでも、どこで働くかで年収は50万〜100万円単位で変わります。だから相場を一つの数字で語ること自体に、そもそも無理があるんです。
主任を取っても給料が上がりにくかった、構造的な理由
「主任を取ったのに、給料がほとんど変わらない」
もしあなたがそう感じているなら、それはあなたの職場だけの問題ではありません。制度の構造がそうなっていたんです。
介護職員の給料は、処遇改善加算という国の仕組みで10年以上かけて段階的に引き上げられてきました。ところが、居宅のケアマネはこの加算の対象外。介護職員の給料が伸びる一方でケアマネの伸びは限定的で、両者の給与差は年々縮まってきました。「介護福祉士からキャリアアップしたのに、給料はほとんど変わらない」という逆転現象すら起きています。
ちなみに、これから「介護福祉士からケアマネになったら、給料はどうなる?」という段階の方は、こちらの記事もどうぞ。僕自身の転身時の実感(ほぼ横ばいでした)も含めて、試験と仕事の違いまで正直に書いています。
▶ 介護福祉士とケアマネ、どっちが難しい?両方やった僕の答えは「試験は同じくらい、仕事は別物」
実際、先ほどの日本総研の調査でも、居宅で働くケアマネの勤務先への不満は「賃金・処遇」が52.0%でトップ。期待する給与水準は現状より約100万円上、という結果も出ています。主任ケアマネの手当相場は月5,000円〜30,000円程度と言われますが、指導・育成や困難事例対応という「主任の労力」に見合っているかというと、正直厳しいのが実感です。
正直に言うと、僕自身はケアマネの仕事を「大変だ」と感じたことがほとんどありません。こういう仕事だと腹積もりして入ったからです。
それでも、本音はあります。業務の内容と責任の重さに対して、報酬が低すぎる。そしてこれは、勤めていた会社のせいではありません。制度の設計そのものが、ケアマネの仕事を安く見積もっている──はっきり言えば、買い叩かれていると僕は思っています。
ただ、ケアマネの側にも反省点はあると思うんです。利用者さんを目の前にすると、本来の業務ではない頼まれごとを断りにくい。そして、ケアマネ業務の範囲を制度上きちんと把握していないから、「どこからが業務外か」の線引きをしっかり持てず、説明ができない。この2つが、結果的にケアマネの安売りに拍車をかけてきたんじゃないでしょうか。
2026年6月、ようやくケアマネも処遇改善の対象に。でも──
このケアマネの待遇に、最近ようやく変化がありました。2026年6月から、居宅介護支援にも処遇改善加算(加算率2.1%)が新設されたんです。試算では、ケアマネ1人あたり月7,000円〜10,000円程度の賃上げが見込まれています。

僕も居宅の経営者として、2026年6月分からこの加算を算定しています。
実際にいくら乗ったのか、レセプトで確認した実額はこちらで公開しています。
▶ ケアマネの処遇改善加算はいくら?一人居宅の僕は月8,929円|2.1%の計算をレセプトで確認した
ただ、ここで冷静になってほしいことが2つあります。
1つ目。月1万円弱で、主任を取った労力に見合うのか?という問題は残ります。
2つ目。この加算、あなたの給料に届くかどうかは職場(会社の方針)次第です。事業所が届出をして加算を取るかどうか。取った原資を誰にいくら配分するか。どちらも決めるのは会社であって、あなたではありません。
つまり2026年からの給料は、「どこで働くか」でこれまで以上に差がつくようになりました。加算を取り、きちんと配分する事業所で働くか。それとも自分が経営者になって、原資の使い道を自分で決めるか。この記事の後半は、その分岐の話です。
なお、この構造を見て「そもそも主任ケアマネを取る意味はあるのか?」と感じた方は、3年間持って働いた僕の結論をこちらでどうぞ。
【実額公開】雇われ主任ケアマネだった僕の給料
ここからは、僕自身の数字を出します。相場の話をさんざんしてきたので、次は「実物」を見てもらうのがいちばん早いと思うんです。
雇われ時代、ある月の給与明細がこれです(在籍していた会社が特定されないよう、時期などの情報は伏せています)。
| 支給 | |
|---|---|
| 基本給 | 280,000円 |
| 時間外手当(残業代) | 35,970円 |
| 通勤手当(非課税) | 6,950円 |
| 総支給額 | 322,920円 |
| 控除 | |
| 社会保険料(健康保険・厚生年金・雇用保険) | 47,010円 |
| 所得税・住民税 | 18,980円 |
| 手取り | 256,930円 |
総支給32万円、手取り約25.7万円。主任ケアマネを持っていて、この数字です。
単純に12倍すると額面の年収は約388万円。賞与を足しても、この記事の前半で見た日本総研調査の分布──「主任の最多帯は300万〜350万円」──と大きくは変わらない位置にいたことになります。
つまり僕の数字は、特別に恵まれてもいないし、特別にひどくもない。ごく標準的な「雇われ主任ケアマネの現実」だと思ってください。
で、この明細を今あらためて見ると、気づくことがあるんです。
総支給32万のうち、3.6万円は残業代。つまり「自分の時間を売って」上乗せした金額だということです。
誤解しないでほしいのですが、残業代そのものが悪いわけではありません。ただ、当時の僕はこう考えていました。
残業で収入を増やすということは、家に帰る時間──自分のプライベートな時間を削って、お金に換えているということです。
残業して給料が3万円増えても、その分だけ生活の満足度が下がるなら、差し引きでプラスになっていない。そして生活の満足度が上がらないまま働き続けて、仕事の満足度だけが上がることは、僕はないと思っています。
基本給を上げる交渉は難しい。手当は制度と職場次第となると、雇われケアマネが手っ取り早く収入を増やす方法は「担当利用者の人数を増やす」「時間を売り増す」しかない──この構造に気づいたことが、のちのち僕の働き方を変えるきっかけになりました。その話は記事の後半でします。
ちなみに、もし今の職場の給料が「相場より明らかに低い」と感じたなら、まず自分の市場価値を知るところからです。転職サイトに登録して求人の給与水準を眺めるだけでも、自分の数字を相対化できます。
独立後の役員報酬は20万円。「下がった」ように見える本当の理由
次に、独立後の数字です。先に言ったとおり、額面は下がりました。
現在の僕の役員報酬は月20万円。手取りにすると約14.5万円です。
「独立って儲からないんだな」と思いましたか? 実は、この数字にはカラクリがあります。雇われ時代と並べてみると、見え方が変わるはずです。
| 雇われ時代 | 独立後(現在) | |
|---|---|---|
| 額面 | 322,920円 (残業代3.6万円込み) |
200,000円 (残業という概念がない) |
| 手取り | 256,930円 | 145,500円 (社宅使用料1.5万円などの天引き後) |
| 家賃 | 手取りから全額自己負担 | 社宅扱いで自己負担は月15,000円のみ (残りは会社の経費) |
| 社会保険料 | 47,010円 | 28,030円 |
| 所得税・住民税 | 18,980円 | 11,240円 |
ポイントは家賃です。雇われ時代は、手取り25.7万円の中から家賃を払っていました。今は自宅が社宅扱いになっているので、僕個人の負担は月15,000円だけ。手取りの差の大部分は、この家賃の扱いの違いで埋まります。
さらに、役員報酬をあえて低く設定しているので、社会保険料も住民税も下がっています。個人の財布に入れる前のお金の流れを設計できる──これが経営者になるということの、意外と知られていない側面です。
つまり正確に言うと、こうなります。
額面は下がった。可処分(実際に使えるお金)はほぼ同等。そして労働時間は減った。
雇われ時代の32万円には、残業3.6万円分の「売った時間」が含まれていました。今の20万円に、売った時間は含まれていません。同じ生活水準を、より短い労働時間で維持できている──僕が「独立して時間単価が上がった」と言うのは、この意味です。
※ここで紹介した役員報酬や社宅の設計は、あくまで僕個人のケースです。同じことをすれば誰でも得になるわけではなく、法人の状況によって最適解は変わります。報酬設計は必ず税理士に相談してください。
雇われだと気づけない「認定調査費」の話
もうひとつ、独立して初めて実感した収入があります。要介護認定の認定調査費です。
独立すると、調査を受託した分の費用は全額、自分の法人の収入になります。僕の場合、月に5,000円〜20,000円ほど。
「え、雇われ時代も調査やってたけど?」と思った人。その調査費、あなたに還元されていましたか? 法人によっては個人にまったく還元されないこともあるし、還元されても全額ではない場合があります。あなたが行った調査の対価が、あなた以外のところに入っているかもしれない──雇われていると、こういうお金の流れは見えないんです。
この認定調査費については、独立後に単価を交渉して受託している実額と、雇われ時代にあえて調査をやらなかった理由まで、こちらの記事で詳しく書きました。
▶ ケアマネは副業できる?雇われ時代に月3万稼いだ僕が、認定調査の「本当の話」までします
独立ケアマネのリアル収支|35件持っても、手放しでは喜べない
「独立すれば売上が全部自分のものになる」──独立を考えたことがある人なら、一度はこの想像をしたはずです。実際に計算してみましょう。
居宅介護支援費(Ⅰ)ⅰの基本報酬は、要介護1・2で1,086単位。地域区分3級地なら1単位あたり11.05円なので、1件あたり約12,000円です(2026年6月からは、ここに処遇改善加算などが上乗せされます)。
※1単位あたりの単価は地域区分(1級地〜その他)により10.00円〜11.40円まで幅があります。この記事では代表的な水準として3級地(11.05円)で計算しています。
仮に要介護1・2の利用者さんを35件担当すると──
約12,000円 × 35件 = 月の売上 約42万円
「おお、42万!」と思うでしょうが落ち着いて、ここからが、経営者になって初めて見える景色です。この42万円は売上であって、給料ではありません。ここから事業の経費が出ていきます。
| 毎月出ていくお金(例) | 目安 |
|---|---|
| 事務所の家賃・水道光熱費 | 3万〜8万円 |
| 車両費(ガソリン・保険・車検の積立) | 2万〜4万円 |
| 通信費・介護ソフト・システム利用料 | 1.5万〜3万円 |
| 税理士費用(顧問料+決算料の月割り) | 3万〜4万円 |
| 社会保険料の会社負担分 | 約3万円 |
| 合計 | 約12万〜22万円 |
売上42万円から経費を引くと、残りは20万〜30万円。僕の役員報酬が20万円なのは、まさにこの計算の帰結です。前の章で見せた数字は、こうやって決まっています。
そして、独立を考えるケアマネがよく見落とすポイントを2つ挙げておきます。実際に経営してみて、「ここを知らずに立ち上げたら思わぬ出費と誤解しただろうな」と感じた部分です。
見落とし①:税理士費用。年末調整、決算処理、税務申告──雇われ時代は会社が全部やってくれていた事務に、お金がかかります。自分でやる選択肢もありますが、ケアマネ業務と並行するのは現実的ではありません。
見落とし②:社会保険料の会社負担分。雇われ時代、給与明細で見ていた社会保険料は「半分」です。残り半分は会社が払っていました。独立すると、その両方を自分の会社が払います。
さらに言うと、ケアマネ1人が担当できる件数には上限があります(現在は44件まで、ICT活用等の要件を満たせば49件まで減算なし)。つまり一人でやる限り、売上には構造的な天井があるんです。
なお、この天井の内側で売上をどう積むかには、設計の余地があります。僕は市町村の指定を取って、要支援の介護予防支援を直接契約で受けています。件数の積み方の実例として、あわせてどうぞ。
▶ 介護予防支援の指定、居宅は取るべき?制度開始から2年回した僕の結論
……ここまで読んで、「独立、思ったより夢がないな」と感じたかもしれません。でも僕は、この天井を知ったうえで独立して、後悔していません。なぜなら、独立の本当のメリットは売上の大きさではなく、時間の使い方を自分で設計できることだったからです。最後の章で、その話をします。
主任ケアマネが年収を上げる、現実的な3つの選択肢
ここまでの話を踏まえて、主任ケアマネが収入を上げる方法は、現実的には3つです。
選択肢①:加算と手当を「きちんと配る」職場に移る
同じ主任ケアマネでも、職場が変わるだけで年収が50万〜100万円変わることは、この記事の前半で見たとおりです。そして2026年6月からは、見極めの基準がひとつ増えました。処遇改善加算を算定し、ケアマネにきちんと配分する事業所かどうかです。
求人票や面接で確認すべきは、①特定事業所加算を取っているか、②主任手当の額、③処遇改善加算の配分方針。この3つを確認するだけで、「取った加算を職員に還元する経営かどうか」がかなり見えます。
選択肢②:管理者になる
居宅の管理者要件は原則、主任ケアマネです。つまりあなたの資格は、管理者ポストへの切符でもあります。役職手当の分だけ額面は確実に上がります。ただし、シフト調整・実地指導対応・経営数字への責任もセットです。「額は上がるが、責任と拘束も増える」──ここは正直にお伝えしておきます。
選択肢③:独立する──ただし「額」ではなく「時間単価」で考える
そして僕が選んだ道です。この記事で正直に見せたとおり、独立しても額面は劇的には増えません。売上には天井があるからです。
それでも僕が独立を選んで良かったと思うのは、時間の使い方を自分で設計できるから。残業という概念がなくなり、同じ生活水準をより短い労働時間で維持できるようになりました。額面の大小ではなく、1時間あたりの価値で考えると、独立は僕にとって明確に「上がった」選択でした。
独立に必要な要件・資金・手続きは、こちらの記事に全部まとめています。
時間ができると、収入の柱も増やせる
最後におまけをひとつ。独立して業務を効率化すると、時間が生まれます。僕はその時間で、ケアマネ業務以外の収入の柱も作れました。金額は本題から外れるので書きませんが、「ケアマネ+α」の働き方を選べる状態になること自体が、独立の隠れたメリットだと思っています。
まとめ:額面ではなく、時間単価で考える
最後に、この記事で伝えたかったことをひとつに絞ります。
給料は「額面」で比べず、「時間単価」で考えてください。
残業で増えた3万円は、あなたの時間を売った3万円です。額面が高くても拘束が長い職場と、額面はそこそこでも定時で帰れて加算をきちんと配分する職場──時間単価で見れば、答えが逆転することは珍しくありません。
主任ケアマネという資格は、転職でも、管理者でも、独立でも使える切符です。どの道を選ぶにしても、「自分の1時間をいくらで売るか」を自分で決められる働き方に近づくこと。それが、ケアマネのままで自由に生きる、ということだと僕は思っています。
主任を取った後のキャリアの選び方は、この記事で詳しく書いています。