働き方のリアル

ケアマネの退院対応の流れ|カンファに出ない退院は珍しくない【独立3年目の実録】

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「退院前カンファレンスには必ず参加しましょう」

ケアマネの退院対応を調べると、どの解説記事にもこう書いてあります。でも、独立して3年目、要介護35件前後(要支援を含めると約60人)を一人で担当している僕の現場では、そもそもカンファレンスが開かれない退院もあります。

この記事では、建前の解説ではなく、退院の連絡が来てから在宅サービスが再開するまでに僕が実際にやっていることを、順番どおりに全部話します。カンファがなくても退院支援は成立します。むしろ、カンファがない前提でどう段取りを組むかが、退院対応の実力だと思っています。

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退院はこの2パターンしかない

10年以上ケアマネをやってきて、退院対応は結局この2つに分かれると思っています。

①退院日固定型|病院が決めた日に、サービスを合わせる

「◯日に退院します」と日付が先に決まっているパターンです。治療が終わった、病床の都合がある、本人が強く希望している。理由はさまざまですが、日付は動きません。ケアマネの仕事は、その日までに福祉用具・訪問系・通所系の再開をすべて間に合わせることです。

②受け入れ調整型|態勢を整えてから、日を決める

「退院できる状態になったので、受け入れの調整をお願いします」と、日付をこちらに委ねられるパターンです。家族の受け入れ態勢とサービスの準備を先に固めて、そこから逆算して退院日を決めます。日程の主導権がこちらにあるぶん、段取りの設計力がそのまま結果に出ます。

最初の連絡が来た時点で、どちらのパターンなのかをまず見極める。ここが退院対応の入口です。①なら締切から逆算、②なら態勢づくりから。動き方がまったく変わります。②型の具体的な日程調整のやり方は、後半でお話しします。

退院対応が楽かどうかは、入院初日に決まっている

退院の第一報は、僕の場合、病院から来るのと家族から来るのが半々くらいです。そしてどちらから来る場合も、「1週間後をめどに退院を考えています」と、リードタイムを1週間以上くれるケースがほとんどです。

これは運がいいわけではなくて、入院した初日に仕込んでいるからだと思っています。

僕は利用者さんの入院を知ったその日のうちに、連携シート(入院時情報提供書)を病院へ送っています。初日に「この人の担当ケアマネはここです」と病院に伝わっていれば、退院支援の担当者(MSW・相談員)は退院が見えた段階で真っ先にこちらへ連絡してくれます。逆に、ケアマネの顔が見えない入院は、退院間際の「明日退院です」につながりやすい。

つまり、退院対応の楽さは退院時ではなく入院初日に決まっています。入院当日の30分でなにをどう送っているかは、この記事に全部まとめました。

利用者が入院したらケアマネは何をする?連携シートを「当日30分」で送る僕の段取りを全部話します

退院前カンファレンスは、開かれない退院も普通にある

解説記事の世界では、退院前カンファレンスは開かれるのが当たり前で、ケアマネは参加するのが当たり前です。でも僕の実感では、カンファレンスが開かれないまま退院日が決まっていく退院も普通にあります。開かれたらほぼ出ます。ただ、いつも開かれるわけではない。

肌感で言うと、開かれやすいのは、在宅での生活が初めての方や、退院後の環境が大きく変わるケースです。関わる人も確認することも増えるので、一度みんなで顔を合わせる場が組まれやすい。逆に、状態が入院前とほぼ変わらないまま帰ってくる退院は、カンファなしで退院日だけが決まっていくことがほとんどです。

だからといって、情報が足りないまま退院を迎えるわけではありません。心身の状態や医療的な注意点——ケアプランでいえば2表を組み立てるための情報は、退院支援の担当者や病棟の看護師さんに個別に話を聞き、看護サマリーで補完すれば十分に集まります。そして1表に書く本人・家族の意向は、そもそも病院から聞くものではなく、本人と家族から直接聞くのがセオリーです。カンファがなくても、この2つのルートを押さえれば計画は立て直せます。

「カンファに呼ばれないのは自分が軽く見られているからでは」と不安になっている人がいたら、それは違うと言いたいです。開かれない退院は珍しくありません。大事なのはカンファの有無ではなく、同じ中身をどのルートで聞き取るかです。次で、その中身の話をします。

カンファでも電話でも、聞くことは同じ

カンファに出るときも、電話で聞くときも、僕が確認していることは変わりません。言葉にすると、「ゴールにつながるヒアリング」です。ゴールとは、退院後の生活を支える介護保険サービスの形のことです。

順番はこうです。

  1. 本人に聞く:退院したら、なにをしたいか。どう暮らしたいか
  2. 家族に聞く:そのために家族ができること・できないこと
  3. できないことを、サービスで補う

本人のしたい暮らしから出発して、家族の手が届かない部分を介護保険で埋める。聞く相手と場所が変わるだけで、この骨組みはどの退院でも同じです。

もうひとつ、カンファや病院訪問には電話にはない使い道があります。病院側が本人や家族の前では言えないことを、こっそり聞けることです。「ご本人には前向きに伝えていますが、実際の回復はここまでです」「ご家族は在宅でいけると言っていますが、病棟から見ると夜間が心配です」。この温度差こそ、プラン設計にいちばん効く情報です。

加算は(Ⅰ)イがほとんど。それで困っていない

退院・退所加算の区分は、情報提供の回数とカンファ参加の有無で決まります。

退院・退所加算の区分マトリクス。カンファ参加なしは情報提供1回で(Ⅰ)イ450単位、2回以上で(Ⅱ)イ600単位。カンファ参加ありは1回で(Ⅰ)ロ600単位、2回で(Ⅱ)ロ750単位、3回以上で(Ⅲ)900単位。3回以上でもカンファなしなら(Ⅲ)にはならない。筆者の算定はほぼ(Ⅰ)イ450単位。

そして僕の算定は、(Ⅰ)イ・450単位がほとんどです。理由はここまで読んだあなたならわかると思います。カンファが開かれないからです。開かれない以上、ロやⅢは狙いようがありません。450単位を確実に取って、情報の中身で勝負する。それで退院支援の質が下がったと感じたことはありません。

実務で押さえておきたい注意点だけ挙げておきます。

  • 面談は対面のほか、テレビ電話等(リアルタイムで顔が見える通信)の活用が認められています(令和3年度改定で恒久化)。音声のみの電話やサマリーの受領だけを面談として扱えるかは保険者で判断が分かれるので、算定前に確認してください
  • 加算は入院・入所期間につき1回。算定はサービスの利用開始月です
  • 情報提供として評価されるのは3回までで、(Ⅲ)を算定できるのは1回以上カンファに参加した場合だけです。カンファなしで3回聞いた場合は(Ⅱ)イの600単位になります
  • 初回加算とは併算定できません
  • 退院日の翌月末までにサービス提供が始まらないと算定できません

出典:厚生労働省「適用要件一覧 201 居宅介護支援費(2026年7月17日確認)/単位数はページ内検索:カンファレンスへの参加、初回加算との関係はページ内検索:初回加算を算定する場合

退院日の調整は「候補日3つ」で終わらせる

②受け入れ調整型のときの、僕の日程調整のやり方です。関わる事業所が5社(訪問介護・訪問看護・訪問診療・福祉用具・通所)というケースでも、このやり方で回っています。

手順は3つだけです。

  1. 基準は家族とケアマネ。まず家族の受け入れ可能日とケアマネの動ける日で候補を絞る
  2. 候補日を3つに絞って提示する
  3. 各事業所へLINE・FAX・メールで一斉に展開する。電話はしない

電話をしない理由は単純で、5社に電話をかけると、それだけで半日が消えるからです。文字で候補日3つを一斉に投げれば、各事業所は自分のタイミングで回答できて、やり取りはすべて記録に残ります。全員の◯が重なった日が退院日です。

気づいた人もいると思いますが、これは僕が毎月のモニタリングでやっている「予定をその場で固めて文字で残す」やり方の退院版です。日程調整を消す仕組みの全体像はこちらにまとめています。

ケアマネのモニタリングは毎月20日までに終わる|60人担当の僕が「日程調整を消す仕組み」を全部話します

前倒し退院で頭を下げるのも、ケアマネの仕事

退院日が急に前倒しになることがあります。そのとき調整がタイトになるのは、決まって訪問系(訪問介護・訪問看護・訪問診療)です。訪問枠は人の予定そのものなので、直前の変更はどうしても無理を頼むことになります。

それでも僕は、本人と家族の「早く帰りたい」を優先して、各事業所に頭を下げます。スケジュールの都合で本人の帰りたい気持ちを待たせるのは、順番が逆だと思っているからです。

実際にあったケースをひとつ。入院中のご本人の「家に帰りたい」が日に日に強くなり、当初の予定より退院日を早めることになりました。タイトだったのは訪問診療と訪問介護です。初回の訪問枠を組み直してもらう必要があり、それぞれに事情を話して頭を下げました。結果は、どちらも予定を調整してくれて、前倒しの退院日に間に合わせてくれました。無理を聞いてくれた事業所には、今でも感謝しています。

頭を下げるのは正直、気の重い仕事です。でも、家に帰った本人の顔と「ありがとう」で、だいたい報われます。ここは効率化できない部分で、効率化しなくていい部分だと思っています。

なお、退院を機に訪問看護を新しく入れるケースもあります。指示書の手配から緊急時の連絡ルールまで、訪問看護との連携の型はこちらに全部まとめました。

ケアマネと訪問看護の連携術|指示書の依頼から緊急時対応まで実文つきで解説

もうひとつ、在宅で最期を迎えるための退院もあります。数日で体制を組むことになりますが、そこでケアマネがやることは一本の記事にしました。

在宅看取り、ケアマネは何をする?|余命1週間の連絡から、お看取り後の終結まで

区分変更をかけるかどうかの線引き

退院時にもうひとつ判断が要るのが、区分変更申請です。入院で状態が変わって、今の要介護度ではサービス量が収まらない見込みのときに検討します。

実例をひとつ。要支援2の方が退院後にデイサービス週3回が必要になったケースです。要支援2の区分支給限度基準額では収まらない。アセスメントの感触では要介護1が見込める。そこで僕は、「申請しても、見込みどおりの結果が必ず出るとは限りません」を先に説明して、同意を得てから区分変更を申請しました。

この「必ず出るとは限らない」の一言を飛ばさないのが、僕の線引きです。実際、見込みどおりに出たこともあれば、見込みと違う結果になって、プランを組み直したこともあります。結果を約束しない。でも、必要な申請から逃げない。両方経験したうえで、この順番に落ち着きました。

なお、区分変更で要介護度が2区分以上変わると初回加算の対象になりますが、前の章で書いたとおり退院・退所加算とは併算定できません。どちらを算定するかまで含めて設計するのが、独立してからの僕の癖になりました。

まとめ|カンファがない前提で、段取りを組む

最後に、この記事の流れをまとめます。

  • 退院は①退院日固定型②受け入れ調整型の2パターン。最初の連絡で見極める
  • 退院対応が楽かどうかは、入院初日の連携シートで決まっている
  • カンファが開かれない退院は珍しくない。聞く中身さえ押さえれば支援は成立する
  • 聞く中身は「本人のしたいこと→家族のできる・できない→足りない部分をサービスで補う」
  • 加算は(Ⅰ)イ・450単位が中心。カンファがない現場のリアルな着地点
  • ②型の日程調整は候補日3つを文字で一斉展開。電話はしない
  • 前倒し退院で頭を下げるのも仕事のうち。ここは効率化しなくていい
  • 区分変更は「必ず出るとは限らない」の説明と同意をセットで

退院対応は、ケアマネの段取り力がいちばん出る場面です。ただ、どれだけ段取りを磨いても、一人あたりの担当件数が多すぎたり、退院のたびに残業が積み上がったりする職場では、仕組みでカバーしきれない消耗があります。段取りの問題なのか、環境の問題なのか。切り分けてみて後者だと感じたら、環境を変えるのもひとつの選択肢です。

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入院時の動き方はこちらの記事にまとめています。入退院はセットで読むと、流れが一本につながるはずです。

利用者が入院したらケアマネは何をする?連携シートを「当日30分」で送る僕の段取りを全部話します

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