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サービス担当者会議、正直ちょっと憂鬱じゃないですか。
日程調整が終わらない。家族が来られない。当日は沈黙が怖くて、必要以上にしゃべってしまう。終わったあとはどっと疲れる。
僕はケアマネ歴11年、独立して3年目の主任ケアマネです。担当者会議はこれまで数百回開いてきましたが、いまは1回15〜30分で終わることがほとんどです。
手を抜いているわけではありません。会議を「話し合う場」ではなく「決定する場」にする設計をしているだけです。
この記事では、「全員揃わなくていい」という考え方から、会議の外での準備、照会の制度上の正しい使い方まで、僕の実際の運用をぜんぶ話します。
担当者会議は「話し合う場」ではなく「決定する場」として重きを置く
まず結論から。担当者会議が長くなる最大の原因は、その場で考え始めるからです。
その場で全員の意見を聞いて、その場で調整して、その場で結論を出そうとする。だから1時間かかるし、まとまらないし、疲れます。
僕の会議が15〜30分で終わるのは、論点が事前にほぼ潰れていて、会議が「みんなで最終確認して決定する場」になっているからです。もちろん、内容が重いケースでは1時間かけることもあります。長さそのものが悪いのではなく、「決まらない時間」が長いのが問題なんです。
ちなみに僕の担当は要介護で35件前後(要支援も含めると約60人)、担当者会議は月1〜5件。開催の時期があらかじめ確実にわかるのは要介護認定の更新にともなう会議で、突発的なサービス変更の相談は予測できないタイミングで乗ってきます。この規模感を前提に読んでください。
そして僕は、この会議の予定を、毎月のモニタリング訪問(20日までに回し切ります)を先に固めた「空き」に入れています。60人の毎月をどう組み立てているかは、モニタリング専用の記事で全部話しています。
▶ ケアマネのモニタリングは毎月20日までに終わる|60人担当の僕が「日程調整を消す仕組み」を全部話します
全員揃わなくていい——「家族が来られない」への僕の答え
担当者会議で検索するケアマネの悩みで多いのが、「家族が仕事や遠方で参加できない。日程がいつまでも決まらない」だと思います。
先に制度の話をします。担当者会議は、運営基準上「サービス担当者」=各サービス事業所の担当者を招集して、専門的な見地からの意見を求める場です。家族はそもそも制度上の「担当者」ではありません。利用者や家族の参加は「基本としつつ」という位置づけで、家族が参加できなくても会議は成立しますし、減算もされません。
そのうえで、僕ははっきり言います。家族を無理やり参加させるための日程調整で、サービスの開始が遅れるほうがよほど本末転倒です。
だから僕の会議は、そもそも「揃わない」ということがほぼ起きません。必須の参加者を、本人・僕・サービスを利用する事業所に絞っているからです。家族の日程が合わないときの僕の実際の流れはこうです。
- 家族から希望や意向を先に聞き取る(電話など、家族が使いやすい手段で)
- 本人からも聞き取る
- サービス事業所に、内容をもろもろ事前確認しておく
- 会議は本人・僕・事業所で開催し、その場で決定する
- 家族には「このように決まりました」と報告する

家族への報告には、同意を得たうえでLINEも活用しています。たとえば福祉用具を実際に使っている様子の写真を(本人と家族の了解を得たものだけ)共有すると、離れて暮らす家族はすごく安心するんですよね。「参加できなかった=置いていかれた」にならない仕組みを、会議の外に作っておくイメージです。
※連絡手段は家族側の希望と同意が前提です。写真は必ず本人・家族の了解を得たものだけを共有し、個人情報を含むやりとりはあなたの事業所の運用ルールに沿ってください。
会議が短いのは、会議の外で1ヶ月かけて準備するから
種明かしをすると、僕の会議が15〜30分で終わるのは、会議の外で1ヶ月かけて準備しているからです。
要介護認定の更新にともなう担当者会議なら、1ヶ月前から準備を始めます。最初にやるのは、関係者への「予告」です。認定期間が来月で終わること、審査会のおおよその時期、そのあとに担当者会議を開きたいことを、先に文書で知らせておきます。実際に送っている文面がこれです。
【僕の「予告」文面(認定更新の例)】
「来月で要介護1の認定期間が終了します。来月10日ごろに審査会が開催されることを確認しました。そのため、15日以降でサービス担当者会議を開催したいと思います。まずはお知らせまで。後日、改めてご相談いたします。」
家族にも、このタイミングで「来月、担当者会議を開きます」と説明しておきます。予告が先に届いているだけで、そのあとの日程調整(審査会の頃に、本人・家族・事業所と行います)は驚くほどスムーズです。
そして各事業所への確認は、電話ではなくFAX・メール・事業所間の連絡ツールなど文書でやります。口頭だと、どうしてもニュアンスで伝えてしまって齟齬が生まれるからです。文書でしっかり説明してもらい、それを家族や関係事業所に共有しておく。
「時間がかかる確認のやり方だな」と思いましたか。そのとおり、時間はかかります。だから1ヶ月前から始めるんです。更新月はあらかじめわかっているので、準備の開始日から逆算して予定に組み込めます。このあたりの「予定を先に固める回し方」は、担当件数の記事で詳しく書いています。
▶ ケアマネの担当件数、何件が限界?60人担当している僕が「きつさの正体」を話します

そして、ここまで準備した会議は、始め方が変わります。僕の実際の冒頭トークがこれです。
【僕の会議の始め方(認定更新の例)】
「今回の要介護認定の更新で、同じ要介護1の結果が出ました。事前にご本人とご家族からお話を伺い、いままで通りの支援を希望されています。今日みなさんと細かくお話ししたいのは、目標についてです。ご本人にはもともと『また買い物へ行きたい』という目的がありました。この1年でデイサービスを利用して少しずつ歩けるようになり、自宅の周りを1周できるようになりました。次は2周できる、月に1回はスーパーへ買い物に行くなど、具体的な目標について今日はお話ししたいと思っていますが、いかがでしょうか?」
やっていることは2つだけです。結論(認定結果と継続希望)を最初に共有すること。話し合う論点を1つに絞って提示すること。参加者は最初の1分で「今日は何を話す会議か」がわかるので、そこから先の時間はまるごと中身の議論に使えます。
照会は「サボり」ではありません——制度上の正しい使い方と線引き
照会(書面で意見をもらって、会議への参加に代える方法)を使うことに、後ろめたさを感じているケアマネは多いと思います。僕は正直、よく使います。そして、これは制度上きちんと認められた選択肢です。
運営基準(指定居宅介護支援等の事業の人員及び運営に関する基準・第13条)は、担当者会議の開催を原則としつつ、「やむを得ない理由がある場合については、担当者に対する照会等により意見を求めることができる」と定めています。解釈通知が示す「やむを得ない理由」は、おおむね次の2つです。
- 開催の日程調整を行ったが、サービス担当者の事由により参加が得られなかった場合
- ケアプランの変更が、利用者の状態に大きな変化が見られないなどの軽微な変更である場合
ポイントは「日程調整を行ったが」の部分です。僕の線引きはこうです。一度は、全員が集まれる日程調整の努力をする。ただし「今週がダメだから翌週、翌週もダメだから再来週」と延ばし続ける調整はしない。調整を続けている間、止まっているのは利用者のサービスだからです。
ひとつだけ実務上の防御を。支援経過には「日程が合わなかったため照会とした」ではなく、「〇〇のサービス利用開始を遅らせないため」など、利用者の利益に沿った具体的な理由を書いてください。運営指導で見られるのは、開けなかった事実ではなく、そこに至るプロセスです。
ちなみに、照会を使う機会が特に多いのが、担当ケアマネが変わる引き継ぎの場面です。僕が実際に送っていた照会文書の実物(確認事項を2点だけに絞った文面)は、こちらの記事でそのまま再現しています。
▶ ケアマネの引き継ぎ手順|転職2ヶ月で35件引き継いだ僕が「書類より大切」と思うこと
なお、2021年度からはテレビ電話などを使ったオンライン開催も認められています(利用者や家族が参加する場合は、本人たちの同意が必要です)。日程が合わない問題への選択肢は、照会だけではありません(出典:厚生労働省「令和3年度介護報酬改定における改定事項について」(PDF))。資料が100ページ以上あるので、開いたらページ内検索(Windowsは「Ctrl+F」、Macは「command+F」、スマホはブラウザのメニューにある「ページ内検索」)で「テレビ電話」と入力すると、該当箇所へ一気に飛べます。
形骸化する会議があるのは、あなたのせいではなく制度のせいです
「この会議、開く意味あるのかな」と感じる会議、ありますよね。僕もあります。
たとえば、福祉用具の手すり1本だけを借りている人でも、認定更新のたびに担当者会議は必要です。これは運営基準に定められた国のルールです。また、現状維持が目標でデイサービスに通っている人も、ケアプランで定めた期間が終われば評価と見直しが必要で、目標を立て直すなら担当者会議を開くことになります。これは会議の中身が悪いのではなく、制度がそう設計されているからです。ここは仕方ない。自分を責めるところではありません。
正確に言うと、国も現実的な整理をひとつ示しています。課題も目標も変えず、単に目標期間を延長するだけなら「軽微な変更」として担当者会議を省略できる場合がある、というものです(出典:厚生労働省「居宅介護支援・介護予防支援・サービス担当者会議・介護支援専門員に係る項目及び項目に対する取扱い」(PDF))。
ただし、同じ目標のまま延長を繰り返すと「そもそも目標設定が現実に合っていないのでは」と運営指導で指摘されやすい。延長でしのぐのは、根本の解決ではありません。
だから僕は、最初から現実に合った期間で設計します。要介護の利用者の短期目標は、ほとんどの人で1年にしています。
理由は明確です。高齢の利用者は、数ヶ月で目標を達成できるような健康状態ではないことが多いし、期間の途中で体調を崩して入院することだってある。そもそも高齢なのだから、速攻で元気になることを前提にした短い目標期間は、現実の回復のスピードと合っていない——というのが僕の考えです。結果として、期間終了にともなう会議の回数も現実的なペースに収まります。
⚠️ 目標期間の設定に「何ヶ月にしなさい」という一律の決まりはありません(認定の有効期間を考慮して設定するのが基本です)。ただし、期間設定に対する運営指導での考え方は保険者によって違いがあります。取り入れる場合は、必ずあなたの保険者の考え方を確認してください。
期間が終わったとき、「目標を立て直すか、延長でいいか」を分ける材料は、結局その人のいまの状態です。つまり、見直しの起点は再アセスメント。「いつやるか」の判断基準は、こちらにまとめています。
▶ ケアマネのアセスメントは何を聞く?シート順に聞かない理由と「いつやるか」の判断基準【独立3年目の実録】
新人のころ、僕も会議が苦手でした
ここまで偉そうに書いてきましたが、僕も新人のころは担当者会議が苦手でした。
当時の事業所にはマニュアルもありました。それでも、仕切りを体系的に学んだわけではないから「これで正しいのか」とずっと不安だった。医療職に遠慮していたわけではないけれど、プレッシャーは感じていました。あのころはまだ自分のケアマネ観がなくて、看護師さんや先生に、根拠を持って意見を言えなかったからです。
でも、どの仕事でもそうだと思うんです。新人のころの「仕切り」は、誰だって不安で怖い。それは仕方ないことで、あなたが向いていないわけではありません。
僕がそこを抜けたのは、場数と、ケアマネ観ができたことでした。経験を重ねて「自分はこう考えるから、こう提案する」と根拠を持って話せるようになると、会議は怖い場ではなくなります。むしろ、自分の見立てを専門職に確かめてもらえる、いちばん効率のいい場になります。
会議の仕切りが不安な時期は、たいてい会議だけでなく、業務全体の流れもまだ霧の中だったりします。アセスメントから担当者会議、モニタリング、入退院対応までの一連の流れは、実務記事10本をつないだ1枚の地図にまとめてあるので、全体像から確かめたいときはこちらをどうぞ。
▶ 新人ケアマネの業務マニュアル|「何から覚える?」に実務記事10本の地図で答えます
最後にまとめます。
- 担当者会議は「話し合う場」ではなく「決定する場」として重きを置く。長引く原因はその場で考え始めること
- 家族は制度上の「担当者」ではない。全員揃うことより、サービスを止めないことを優先していい
- 会議が短いのは、会議の外で1ヶ月かけて準備するから。確認は文書で、齟齬をなくす
- 照会は制度上の正しい選択肢。ただし一度は調整の努力をして、理由は利用者の利益で記録する
- 形骸化する会議があるのは制度のせい。目標期間の設計で「開催のための開催」は減らせる
会議のやり方は、今日からあなたの工夫で変えられます。ただ、もし「会議そのもの」より、会議のたびに消耗する職場の空気や、準備の時間すら取れない担当件数のほうがしんどいのなら——それは会議の問題ではなく、職場の問題かもしれません。環境を変えるという選択肢も、頭の片隅に置いておいてください。
いまの職場のやり方に消耗しているなら、他の職場の話を聞いてみるのも一つです
転職するかどうかを決める前の情報収集だけでも使えます。
※レバウェル介護の対応エリアは北海道・宮城・東京・神奈川・埼玉・千葉・愛知・静岡・大阪・京都・奈良・兵庫・広島・福岡です(派遣はエリア内からの応募のみ対象)。
▶ ケアマネの残業は平均月4時間?——統計と体感が違う理由と、独立して残業が消えた僕の話
あなたの明日の会議が、少しでも軽くなりますように^^