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「管理者、やってくれないかな」。
ある日そう打診されて、「そもそも要件は?」「主任じゃないけど大丈夫?」と検索して、この記事にたどり着いた人が多いと思います。
僕はケアマネ3年目のとき、主任ケアマネの資格なしで居宅介護支援事業所の管理者になりました。いま「2027年3月末」と言われている経過措置の、当事者だった側です。
この記事では、管理者要件のいまの状態を厚労省の一次資料で整理したうえで、主任なしで管理者になった実例、期限をどう考えていたか、そして「良い打診・悪い打診」の見分け方まで話します。
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管理者要件の現在地:原則は主任ケアマネ、経過措置は2027年3月末まで
まず制度の整理からいきます。
居宅介護支援事業所の管理者要件は、平成30年度(2018年度)の介護報酬改定で「主任介護支援専門員」に変更されました。それまでは介護支援専門員であれば管理者になれたので、これは大きな変更です。
ただ、いきなり全事業所に適用すると管理者が立てられなくなる事業所が続出するため、経過措置が設けられました。当初の期限は令和3年(2021年)3月31日。その後、令和2年6月5日の省令改正で、次の形に整理されています。
- 令和3年4月1日以降に新しく管理者になる人は、どの事業所でも原則、主任介護支援専門員であること
- 令和3年3月31日時点で、主任でない人が管理者だった事業所は、その人が管理者を続ける限り、令和9年(2027年)3月31日まで猶予
- 主任の確保が著しく困難である等やむを得ない理由があり、保険者が認めた場合は、主任でないケアマネを管理者にできる例外あり(詳細は保険者への確認が必要です)
つまり「2027年3月末」という期限は、主任なしで管理者を続けてきた人に残された猶予の期限、という意味です。
そして今、この管理者要件そのものの見直しが議論されています。令和7年12月22日の第132回社会保障審議会介護保険部会では、居宅介護支援事業所の管理者要件について「引き続き介護給付費分科会で検討」という整理が示されました。
注意したいのは、見直しが「決まった」わけではないということです。検討のテーブルに正式に載った、という段階。緩和されるのか、期限どおり適用されるのか、現時点で断言できる人はいません。

出典:第132回社会保障審議会介護保険部会 資料(厚生労働省・令和7年12月22日)
出典:介護保険最新情報Vol.843(令和2年6月5日・厚生労働省老健局振興課)(ページ内検索:経過措置)
実録:ケアマネ3年目、主任なしで管理者になった
ここからは実体験です。
僕が管理者になったのは、ケアマネ3年目のとき。きっかけは、前任の管理者の急病でした。引き継ぎはありませんでした。
当時の事業所にはケアマネが4人いて、代表が全員の仕事ぶりを見たうえで、僕に打診が来ました。
返事は、ほぼ即決です。理由はシンプルで、給料を上げたかったから。この業界は、役職につくしか給料を大きく上げる道がない——当時の僕はそう認識していましたし、この認識はいまもそれほど変わっていません。
翌月には就任。関係各所へ管理者変更のFAXを流し、役所への届出は代表がやってくれました。管理者の交代そのものは、手続きとしてはそれくらいのものです。
経過措置のプレッシャーは、正直なかった
「主任じゃないのに管理者になって、経過措置の不安はなかったの?」と聞かれそうですが、正直、ありませんでした。
理由は、「当時この制度をこのまま実施するのは無謀だから、措置期間は延びるだろう」と読んでいたからです。主任ケアマネの数が現場に足りていない感覚からすると、期限どおりの適用は現実的に見えませんでした。
そして実際、令和2年に延長が起きました。楽観が当たった形です。
ただ、これを読んでいるあなたに「だから今回も延びますよ」と言うつもりはありません。今回は、当時と局面が違うからです。
- 期限(2027年3月末)まで、残り1年を切っている
- 管理者要件の見直しが、介護給付費分科会の正式な検討テーマになっている
前回は、期限が来る前に省令改正で延ばした、という形でした。今回は延びるのか、要件ごと見直されるのか、それとも期限どおりなのか。検討中である以上、「どうせ延びる」前提で何もしないのは、当時の僕の楽観とは条件の違う賭けになります。
ちなみに僕自身は、管理者就任の約2年後、主任研修の受講要件を満たした年に主任を取りました。ただしこれは管理者を続けるためではなく、独立が目的でした。この話は最後の章でします。
管理者の仕事で重きを置いたこと:運営指導への備え
「管理者って、実際なにをするの?大変?」もよく聞かれる質問です。
先に言うと、当時の事業所では部下の管理のようなことは求められておらず、「これは大変だった」と記憶に残っているものはありません。
その代わり、僕が管理者として重きを置いたのは、運営指導(当時の呼び方では実地指導)への備え——つまり、返還を出さないことでした。具体的にはこうです。
- ケアプラン・アセスメント・モニタリングの日付と、支援経過の記録が矛盾していないかの整合確認
- 支援経過の文言を事業所内で統一する
- 定期的に「ファイルを見直そう」とアナウンスする
- 事前に説明したうえで実施する、抜き打ちのファイルチェック
地味な仕事です。でも、居宅の管理者の仕事の芯はここだと、独立して自分が管理者になったいまでも思っています。書類の整合が崩れたまま運営指導を迎えると、返還という形で事業所に跳ね返ってくるからです。
なお、フル担当を持ちながら管理者をやる「兼務のきつさ」は、それだけで1本書いているので、そちらに譲ります。
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給料は上がったのか
上がりました。それは確かです。
ただ、正直に書くと、管理者就任でいくら上がったのか、実額の記録が残っていません。なので、ここで「管理者手当は◯円でした」とは書きません。
代わりに出せる実額はあります。管理者時代の給与明細で、総支給は32万円でした。この明細の中身と、「主任ケアマネの年収」の数字が調査によってバラバラな理由は、別記事で開示しています。
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「役職につくしか、給料を大きく上げる道がない」という業界の構造は、打診を受けるかどうかを考えるときの材料として、いまも無視できないと思っています。
良い打診・悪い打診の見分け方
ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。
雇われ時代に管理者をしていた時、だれに仕事を任せるかを判断する側も経験しました。そのうえでの管理者観を先に書きます。
「主任を取ったら管理者コース」という慣習は、良くないと思っています。本来は順番が逆で、管理者の仕事がまずあって、それをこなせる人がいるから打診する。それだけのはずです。
だから、僕が打診する側に立つなら、こう決めています。
- 根拠なく打診しない(「なぜあなたなのか」を説明できる状態で打診する)
- やりたくない人にやらせない
- うまい話を並べて、その場しのぎの返事を取らない
- やりたい気持ち半分・不安半分の人には、サポートを約束したうえで打診する
逆に、これまで見聞きしてきた悪い打診の典型はこれです。
「やっていた人がいなくなって、誰もやる人がいないから、仕方なくあなたに」という型。
2027年3月末が近づくにつれ、この型の打診は増えるはずです。主任がいないと新しい管理者を立てられない以上、「主任資格を持っているから」という理由だけで、仕事の中身の説明もサポートの約束もないまま打診が飛んでくる。
あなたに来た打診は、どちらでしょうか。
あなたの仕事ぶりを見たうえでの打診なら、受ける価値を検討していいと思います。頭数合わせの打診なら、断っていい。そして、断ったことで居づらくなるような職場なら、職場ごと替える選択肢まで含めて考えていい、というのが僕の考えです。
いまの職場の打診や待遇が妥当なのか、外の相場を知ってから判断したい人は、転職エージェントに情報だけ聞いてみるのもひとつの方法です。登録は無料で、すぐ転職しない前提の相談でも使えます。
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主任を取るなら、管理者要件は独立の切符にもなる
最後に、「主任を取ってまで管理者をやる意味があるのか」と考えている人へ、僕の結論を書きます。
僕が主任研修を受けたのは、管理者を続けるためではなく、独立するためでした。自分で居宅を立ち上げるなら、管理者は自分。管理者要件が主任である以上、主任は独立の必要条件になります。
つまり管理者要件は、「職場のために管理者をやらされる資格要件」として見ると重いですが、「自分の事業所を持つための切符」として見ると、意味が変わってきます。
制度は検討中で、期限は2027年3月末。この状況で確かなのは、制度がどう転んでも困らない側に立っておくことです。打診を受けるにしても断るにしても、主任を取るにしても取らないにしても、「職場の都合」ではなく「自分の設計」で決める。管理者要件は、そのための材料のひとつだと思っています。
主任の要件(専任5年の数え方)と、実際に3年間取って働いた結論は、それぞれ別記事に書いています。
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