実務・ノウハウ系

ケアプランデータ連携システムは入れるべき?導入したのに使っていない理由と「使う条件」

ケアプランデータ連携システム、うちの事業所には入っています。導入の手続きも自分でやりました。かかった時間は1〜2時間です。

そして、使っていません。

導入したのに使っていない。矛盾して見えますが、僕の中では筋が通っています。この記事では、一人で居宅介護支援事業所をやっているケアマネの実物ベースで、仕組み・導入手順・使っていない理由3つ・書類やり取りの実数、そして「こうなったら使う」と決めている条件まで話します。

公式の案内やベンダーの紹介記事は「入れるとこう便利になります」までは教えてくれます。この記事が扱うのは、その先の「入れた後、実際の業務に載るのか」です。

※この記事は2026年8月時点の情報です。制度・キャンペーンの最新情報は文末の公式ページでご確認ください。

ケアプランデータ連携システムとは|「相手も導入していること」が前提の仕組み

ケアプランデータ連携システムは、居宅介護支援事業所とサービス事業所の間でやり取りするケアプランや提供票・実績のデータを、オンラインで送受信するための仕組みです。国民健康保険中央会が構築・運用しています。

従来のFAX・郵送・手入力を減らすのが目的で、対応する介護ソフトからデータを吐き出し、専用のクライアントアプリを通じて相手に送る形になります。クライアントアプリというのは、このシステム専用にパソコンへインストールして使う送受信ソフトのことです。介護ソフトとは別に、もうひとつソフトを入れると考えてください。

ここで、導入を考えるうえで一番大事な構造を先に押さえておきます。

このシステムは、送る側と受け取る側の双方が導入していないと成立しません。

メールのように「相手のアドレスさえ知っていれば届く」ものではなく、専用の私書箱を互いに持ち合うイメージです。自分の事業所だけが箱を設置しても、相手が箱を持っていなければ、そのやり取りは今までどおりFAXか郵送のままです。

ケアプランデータ連携システムの仕組み図。双方が導入している場合はケアプラン・提供票・実績をデータで送受信できるが、相手が導入していない場合はやり取りは今までどおりFAX・郵送のまま

だから、地域やつながりのある事業所の中でどれだけ導入が進んでいるかが、このシステムの価値をそのまま決めます。この構造が、後半で話す「導入したのに使っていない」理由の土台になります。

出典:ケアプランデータ連携システム|国民健康保険中央会

導入の実録|かかったのは1〜2時間。つまずきやすいポイントは3つ

導入の手続き自体は、難しくありませんでした。僕がやったときの流れはこうです。

  • パソコンの動作環境を確認する
  • ヘルプデスクサポートサイトから専用のクライアントアプリをインストールする
  • 電子証明書をパソコンに入れる
  • 利用申請をする

ここまでで1〜2時間。書類を書いて郵送して数週間待つ、といった類の手続きではなく、パソコンの前で完結します。

ログインに使うのは、国保連への請求で使っている電子請求受付システムのユーザーID(KJから始まる14桁)とパスワードです。IDは「電子請求登録結果に関するお知らせ」という書類に載っています。伝送請求をしている事業所なら、探せば必ず手元にあるはずです。仮パスワードの場合は初回ログイン後に変更します。

つまずきやすいポイントは3つありました。

①Windows専用。Macでは動かない

クライアントアプリの動作環境はWindows10または11です。Macには対応していません。普段の業務をMacで回している事業所は、このシステムのためにWindows機を用意することになります。僕がまさにこれで、この話は次の章につながります。

②パソコンの日付表示は「西暦」にしておく

和暦設定のままでは使えません。公式の導入マニュアルに「和暦設定での使用はできないため西暦設定に変更ください」と明記されている仕様です。地味なポイントなので、導入前にタスクバーの日付設定を確認しておくと確実です。

③送受信したデータは、アプリを入れたそのパソコンにしか残らない

クライアントアプリは複数のパソコンに入れること自体はできます。ただ、受信したデータはそのパソコンの中にしか保存されず、別のパソコンからは見られません。端末ごとにデータが分かれて管理が難しくなるため、実質的に1台での運用が前提です。

だから、どのパソコンをこのシステムの窓口にするかを、インストールの前に決めておく必要があります。

料金:年額21,000円→いまは1年間無料

ライセンス料は年額21,000円ですが、2026年8月時点ではフリーパスキャンペーン中で、令和7年6月1日から令和8年5月31日までの間に利用申請すれば1年間無料になります。新規・利用中・再開のいずれも対象で、期間中は利用申請をすると自動で適用されます。つまり、いま試すこと自体にお金はかかりません。

それでも使っていない理由は3つ

導入まで済ませたうえで、僕は日常業務でこのシステムを使っていません。理由は3つです。

理由①:相手の事業所も導入していないと、そもそも成立しない

最初の章で話した構造そのものです。やり取りしたい相手が導入していなければ、その相手とのやり取りは1件も削減できません。

相手の導入状況は、WAM NETの「ケアプランデータ連携システム利用状況」ページで、地図や一覧から確認できます。ここは調べれば分かります。

ただ、一覧に載っていることと、日常的に使っていることは別です。何しろ、導入したのに使っていない僕の事業所も、利用事業所としてあの一覧に実際に載っていますから。この記事を書くにあたって確認しました。いざやり取りをデータに切り替えるには、結局その事業所と「今月からこれでやりましょう」と個別に合意する段取りが要ります。一覧を眺めるだけでは、FAXは1枚も減りません。

理由②:うちはMac運用。システムはWindows専用

僕の事業所の業務はMacで回っています。システムのためにWindows機を立ち上げると、日々のやり取りのたびに2台のパソコンを行き来することになります。書類仕事を減らすためのシステムで、操作する機械が1台増える。一人事業所にとって、これは小さくない負担です。

理由③:いまの流れで、もう回っている

うちの実務は、介護ソフト(カイポケ)の連携機能とメール・FAXの組み合わせで完結しています。ここに連携システムを挟むと、ソフトからデータを吐き出して、クライアントアプリで送り、相手側は取り込む、という工程が新しく増えます。

そして新しいツールには、必ずトラブルの日が来ます。送れない、開けない、エラーの意味が分からない。一人事業所では、そのとき代わりに対応してくれる人がいません。回っている流れを崩してまで乗り換える理由が、いまの導入状況では見つからない。それが正直なところです。

書類やり取りの実数|FAX5割・メール3割・LINE/カイポケ連携2割

判断の土台になっている、うちの事業所の実数を公開します。サービス事業所との書類のやり取りは、おおよそこの割合です。

  • FAX:5割
  • メール:3割
  • LINE・カイポケ連携:2割

注目してほしいのはFAXの5割です。連携システムが置き換えを狙っているのは、主にこの部分です。逆に言うと、メールとソフト連携の5割は、すでにデータでやり取りできています。

やり取りの手段は、相手の事業所ごとにほぼ固定しています。FAXの事業所は毎月FAXで、メールの事業所は毎月メールで。つまり連携システムに移行できるかどうかは、うちの判断ではなく、このFAX5割の事業所側の導入次第ということになります。

じゃあ、なぜ導入したのか|きっかけは処遇改善加算

使わないのに導入した理由。これははっきりしていて、処遇改善加算です。

2026年6月から、居宅介護支援事業所も処遇改善加算の対象になりました。その要件のひとつが生産性向上の取組で、居宅の場合は「ケアプランデータ連携システムを利用している、または実績報告書の提出までに利用する」ことが求められます。求められているのは、導入ではなく利用です。

僕が届出で選んだのは「利用している」ではなく「利用を誓約する」の側でした。つまり、導入して終わりではなく、これから使う約束をしている状態です。だから無料期間が終わるまでに、一度は使ってみるつもりでいます。正直、それで日々のやり取りが変わるとは考えにくいのですが、約束は約束です。

加算の中身と実額は、別の記事でレセプトの実物ベースで公開しています。

▶ ケアマネの処遇改善加算はいくら?一人居宅の僕は月8,929円|2.1%の計算をレセプトで確認した

「使う条件」は決めてあります

使っていないとはいえ、一生使わないと決めているわけではありません。僕の中の基準はこうです。

FAXでやり取りしている5割の事業所のうち、半分が導入したら、移行を検討する。

前の章の実数から導いた基準です。FAX5割の半分が置き換わるなら、確認コストと2台運用の負担を払っても釣り合いが取れてきます。感覚ではなく、自分の事業所の数字で線を引いておくと、「そろそろ入れるべきか」と毎回悩まずに済みます。

出典:令和8年度介護報酬改定について|厚生労働省

まとめ:入れるべきか。判断材料は3つ

最後に、これから検討する方向けに、判断材料を3つに整理します。

1つ目、いまは無料で試せる期間だということ。フリーパスキャンペーン中(令和8年5月31日まで)は年額21,000円がかかりません。導入して様子を見る、という選び方が金銭的なリスクなしでできます。

2つ目、処遇改善加算の要件に関わること。加算をどの区分で取るかによって、このシステムの導入・利用が要件に入ってきます。「業務改善のツール」としてだけでなく、「加算の要件」として見る必要があります。

3つ目、担当件数の上限にも関わること。令和6年度改定で、ケアプランデータ連携システム等の活用と事務職員の配置を条件に、ケアマネ1人あたりの担当件数を49件まで受けられる仕組みができています。件数を増やす方針の事業所にとっては、実利に直結します。担当件数の実際はこちらで話しています。

▶ ケアマネの担当件数、何件が限界?60人担当している僕が「きつさの正体」を話します

そして、判断の前提としてもう一度。このシステムの価値は、自分の事業所ではなく、やり取りする相手側の導入状況で決まります。まず自分の事業所の書類やり取りの内訳を数えて、FAXでやり取りしている相手をWAM NETの利用状況ページで調べてみてください。相手の導入が進んでいるなら入れる価値は高い。うちのように既存の流れで回っているなら、急ぐ必要はありません。

なお、このシステムは2026年後半に「介護情報基盤」への統合が予定されています。仕組みの入れ物自体がこれから変わっていく時期なので、導入判断は最新情報とあわせて見てください。この記事も、動きがあれば更新します。

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