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駆け出しのケアマネの頃、1つの道具に2つの役割があって、とても重宝したものがありました。中央法規出版の「ケアマネジャー手帳」という、手帳型のカレンダーです。予定を書く欄と、介護保険の制度や加算の単位数をすぐ調べられる資料のページが、1冊に入っていました。
いまは、この手帳を使っていません。予定はGoogleカレンダーに移り、制度は検索すればすぐ出るからです。ただ、それは「手帳が要らない」という意味ではなく、2つの役割のどちらも、いまの僕には別の道具で足りている、というだけの話です。
この記事を書いている僕は、独立4年目の主任ケアマネです。ケアマネ歴は11年で、紙の手帳を使っていた時期と、Googleカレンダーだけで管理ができている時期の両方があります。駆け出しの頃は手帳の後ろについていた制度の資料ページに助けられ、いまは予定をGoogleカレンダーだけで管理しています。手帳が必要かどうかは、いま自分が何年目かで答えが変わります。そういう話を書きます。後半では訪問カバンの中身も、どの場面で使う道具かをセットで紹介しています。
この記事でわかること
- 手帳が「必要か」の答えを、自分で出すための分け方
- 駆け出しの頃に本当に役立ったのは、手帳ではなく「便利帳」
- 紙の手帳をやめた4つの理由と、Googleカレンダーの運用
- 訪問カバンはリュック一択の理由と、中身の使いどころ
手帳が必要かは、何年目かで答えが変わる
中央法規の手帳には、2つのものが入っています。ひとつは月間・週間のスケジュール。もうひとつは、介護保険の制度や加算の単位数をまとめた資料のページです。
この2つは、使う場面がまったく違います。スケジュールは毎日開きます。資料のページは、加算の要件を確認したいときや、制度の名前が出てきて意味を思い出せないときに開きます。開く頻度も、開く理由も別です。
だから「手帳は必要か」を1つの質問として考えると、答えが出ません。分けて考えると、こうなります。
- 予定を管理する道具として必要か→僕の答えは、紙でなくてもいい。5年以上前からGoogleカレンダーだけで管理・把握しています
- 制度の資料として必要か→駆け出しの頃は、これがあって助かった。今は「GoogleのAIモード」で当たりをつけて、最後は通知で確認しています
つまり答えは「いま自分が何年目で、どちらの役割を求めているか」で変わります。新人のときに便利なツールと、10年の経験を積んでから便利になるツールは、当然ながら異なります。
ここから先は、この2つの役割を順番に書きます。先に「資料のページ」のほうから。駆け出しの頃の話です。
駆け出しの頃に役立ったのは、手帳よりも「便利帳」
冒頭で触れた中央法規出版の「ケアマネジャー手帳」の話を、もう少し説明します。
この手帳に助けられたのは、書き込みやすい予定表だけではありません。後ろについていた、介護保険制度の資料ページです。訪問介護やケアマネの加算の単位数と、その簡単な要件が載っていて、利用者宅や事業所で「この加算、何単位だったっけ?」となったときにすぐ調べられました。当時はスマホで検索するより、手帳のその数ページをめくるほうが早かったんです。
この記事を書くにあたって現行の商品ページを確認したところ、いまの版にも取り外しできる別冊の「便利帳」がついていて、目次は介護保険制度・介護報酬算定・関連する制度・多職種連携の資料・介護報酬の概要でした。制度改正があったときは出版社のサイトで追補が出るとも書かれています。僕が当時使っていた「加算の単位と要件がすぐ引ける」中身は、いまもあるみたいです。
ひとつ補足すると、雇われていた頃、この手帳は会社が支給してくれていました。年に1回のことですが、とてもありがたかったです。手帳を毎年用意してくれる職場かどうかは、転職活動の面談で聞いてみると、職場の雰囲気を知る材料のひとつになるかもしれません。
では、スケジュールのほうはどうだったのか。こちらは紙をやめました。
紙の手帳をやめた理由は4つ
中央法規の手帳は、数年使ってやめました。制度のことがある程度わかるようになり、資料のページを開かなくなったからです。持ち物を減らしたくて、スケジュールだけの手帳に切り替えました。そこから一番長く使ったのが無印良品の手帳です。1日のマスが大きく、大きな文字で書けて、ポストイットを貼る余白があり、備考欄をメモ代わりに使えました。手帳としては、不満はほとんどありませんでした。
それでもやめたのは、手帳が悪かったからではなく、ケアマネの予定の動き方と紙の性質が合わなかったからです。理由は4つあります。
①プライベートで持ち歩けない
手帳には利用者の名前と訪問日時が書いてあります。休みの日にカバンへ入れて出かける気にはなれず、結果として仕事の予定は職場か家でしか見られませんでした。
②二重線で消すと、書く場所がなくなる
ケアマネの予定は変わります。利用者の体調、家族の都合、事業所側の事情。訪問日を1回動かすたびに二重線を引くと、その日のマスの空白が消えていきます。月の後半になると、どこに何を書いたのか自分でもわからなくなるページもありました。
③鉛筆でないと直せない
②の対策として鉛筆で書くと、今度は消しやすさが裏目に出ます。消しゴムで隣の予定まで消える。色を付けるときは結局ボールペンになる。ボールペンで書けば消せない、鉛筆で書けば消えすぎる。どちらを選んでも落ち着きませんでした。
④手元にないと、変更をその場で反映できない
これが一番大きい理由です。うっかり手帳を事務所に忘れてしまうと、もう予定を立てることができません。その場ではメモに書き、事務所に戻って手帳に写す。その間に別の電話で日程が動く。気がつくと、手帳とメモのどちらが本当の予定なのか分からなくなっていました。
「紙に書く」という漠然とした安心感はありますが、持ち歩いていないと「予定を管理する道具」としての役割を果たせなくなります。ここで電子に切り替える判断をしました。
いまはGoogleカレンダーだけで把握・管理している
紙をやめたあと、Yahoo!カレンダー、LINE WORKS、と試して、最終的にGoogleカレンダーに落ち着きました。切り替えた正確な年は覚えていませんが、5年以上は経っています。
紙の4つの不満は、電子にした時点でほぼ消えました。スマホとパソコンで同じ予定が見られる。スマホをなくしてもロックがかかっていれば中身は見られない。日程が動いたらドラッグで移すだけで、二重線も消しゴムも要らない。「たぶんこの日」という仮の予定を、メモのように入れておける。予定を管理する道具としては、紙の上位互換だと思っています。
ただ、電子にしただけではうまく扱えませんでした。Googleカレンダーでも問題なく扱えるようになったのは、記載のルールを決めてからです。僕のルールはこうです。
色は2つだけ
青が仕事、緑がプライベート。この2色しか使いません。色を増やすと、色の意味を思い出す時間が増えるからです。
予定名は「名前だけ」を基本にして、例外にラベルをつける
- 利用者の名前だけ→モニタリング訪問(一番多いので、何もつけない)
- 名前の後に「TEL」をつける→電話でのモニタリング
- 名前の後に「新規」「担会」→新規相談、サービス担当者会議
- 「【認定調査】」→認定調査の委託を受けているため(既存の利用者と見分けるため、目立つ記号で分ける)
月間ビューで画面を見たとき、ラベルのついていない予定は全部モニタリング訪問だと一目で分かります。
事務仕事は時間を入れずに登録して、目立たせる
提供票の送付のような事務仕事は、時間を入れずに登録しています。時間を入れないと、その日の一番上に帯で表示されるので、訪問の予定の中に埋もれません。僕が登録しているのは提供票の送付くらいですが、国保連への実績の送付のように、月に一度の締め切りがある事務は同じ形で予定を入れます。
毎月の訪問は「繰り返し」でうっかり忘れを防止
モニタリング訪問のように毎月同じ利用者に行く予定は、「毎月 第3水曜日」のような繰り返しで一度入れておけば、翌月以降も自動で並びます。60件を毎月手で入れ直す必要がありません。日程が動いた月は、その月の予定だけをドラッグで動かせば、翌月はまた元の位置に戻ります。紙の手帳では、そもそもできなかった使い方です。
見るのは週間ではなく月間
ケアマネの予定は月単位で動きます。今月の訪問があと何件残っているか、来月の頭に何が入っているか。この2つを見るには、週間ビューでは狭すぎます。

注意点も2つ書いておきます。ひとつは、職場のパソコンで自分のカレンダーを開くなら、プライベートの予定は入れないか、別のカレンダーに分けること。PCを共有していると、他の人にスケジュールが筒抜けになります。もうひとつは、最初のハードルが操作性だということ。ドラッグで予定を動かす、色を変える、時間を入れずに登録する。慣れるまでの1〜2ヶ月は、紙のほうが早い、ストレスがないと感じます。でも僕はそこを越えてから、もう紙の手帳に戻れなくなりました。
ちなみに、予定を「入れる」前の段階、つまり利用者や事業所と日程を「決める」ほうの型は、別の記事に全部書いています。カレンダーに入れるのは決まった後の話なので、決め方が定まっていないと、どんなツールを使っても予定は動き続けます。
▶ ケアマネのモニタリングは毎月20日までに終わる|60人担当の僕が「日程調整を消す仕組み」を全部話します
時間を入れずに登録している事務のうち、給付管理は雇われ時代に4〜5時間かかっていました。いまは2時間です。ただ、きつかったのは時間の長さより、電話で中断されて、再開したときにどこまでやったかを思い出すことでした。この「思考の分断」の話と、2時間まで縮めた分担はこちらに書いています。
▶ ケアマネの残業は平均月4時間?——統計と体感が違う理由と、独立して残業が消えた僕の話
訪問バッグはリュック一択
手帳の話から少し広げます。「ケアマネ 持ち物」「ケアマネ バッグ」で検索する人は、たぶん同じ場面で困っています。訪問に何を持っていけばいいのか、何に入れて持っていけばいいのか。
カバンの種類でいうと、僕はリュックしか使いません。理由は4つです。
- 両手が空く。玄関で靴を脱ぐ、荷物を受け取る、とっさに利用者の歩行介助をする。訪問先では両手がふさがっていると困る場面のほうが多いです
- たくさん入る。ノートパソコン、バインダー、書類、水筒。トートだと肩に食い込む重さが、背負うと平気になります
- チャックで閉まるので、中を覗かれない。利用者の書類が入っているカバンを、開いた口のまま置くことがなくなります
- 床に置かなくて済む。正直、床に物を置きたくない利用者宅はあります。リュックなら前に抱えたまま座れば、床に触れさせずに用事を済ませられます
4つ目は、書きにくい理由ですが、現場の人なら分かると思います。ショルダーやトートを床に置く前に一瞬ためらう、あの感じを消してくれるのがリュックです。
訪問カバンの中身は、「どの場面で使うか」で決まっている
次にリュックの中身を紹介します。ただし品目の一覧だけでは意味がないので、それぞれを「訪問のどの場面で使う道具か」と具体的に書きます。手頃に購入できる、100円ショップで揃うものがほとんどです。

筆箱に入れているもの
- 4色ボールペン(黒・赤・青とシャーペンが1本になったもの)。書類に書く、利用者に署名してもらう、赤で訂正を入れる。シャーペンでメモをする。ペンを数本持ち歩くより、1本で済ませる事ができます
- 少し太い黒のマジック。用途は1つだけで、利用者宅のカレンダーに次回の訪問日時を書き込むためです。訪問の最後に「来月は◯日の◯時に来ます」と言いながら、その場で大きく書く。本人が見える場所に残るので、再確認してもらう時にカレンダーを確認してもらえます
- 蛍光ペン。契約のときに使います。重要事項説明書の大事な箇所に線を引きながら説明すると、相手の目がそこに止まります。読み上げるだけの説明にならないための道具です
- 自分の認印。100円のもので十分です。書類の訂正印、受領印。持っていない日に限って必要になります
- 小さいハサミ。看護サマリーや診療情報の封筒を、その場で開けるためです。手で破ると中の書類まで破れます
- ポストイット2種類。1つは細いインデックス用で、書類の署名箇所などに貼ります。もう1つは家族宛にひと言残せる大きさのもの。留守のときや、同居家族が仕事で不在のときに「◯日に伺いました。次回は◯日です」と書いて置いてきます
その他の持ち物
- バインダー。板が硬すぎないものを選んでいます。理由は、利用者が認印を押すときの台にするからです。硬い板だと印影がかすれます。あわせて紙を2〜3枚挟めるファイルの機能がついたものにしておくと、利用票を渡すだけの日はこれ1枚で済みます
- ノートパソコン。訪問先で支援経過を打つ、提供票を確認する、担当者会議の記録を取る。
- タオルと水筒。夏の訪問は、車を降りて玄関までの間に汗をかきます。玄関先で拭いてから上がる。水分は訪問と訪問の間の車内で
駆け出しの頃は、このカバンに手帳が入っていました。予定を書く用ではなく、便利帳を引く用としてです。いまは入っていません。予定はスマホの中にあり、加算の要件は調べればすぐ出るからです。
蛍光ペンを使う契約の場面については、口頭で必ず話す5項目と、2時間の中身をこちらに書いています。
▶ ケアマネの契約で何を説明する?必ず口頭で話す5項目と「2時間」の中身【独立3年目の実録】
それでも紙がいい人は、紙のままでいい
ここまで読むと「紙をやめろ」という記事に見えるかもしれませんが、そうではありません。
パソコンやスマホの操作が苦手な人は、紙のほうがストレスが少ないでしょう。慣れないツールを使って仕事のパフォーマンスが落ちるなら、慣れた手帳に書いたほうが仕事が捗ります。それに、理由をうまく言えないけれど紙がいい、という人もいます。手で書くと覚える、めくると月の流れが見える。そういう感覚は、人それぞれの好みです。
僕が言いたいのは「紙をやめろ」ではありません。予定の管理は、僕には電子のほうが紙より使いやすかった。駆け出しの頃は、手帳についていた制度の資料に助けられた。同じように手帳で迷っている人の参考になればと思って書きました。いま自分が困っているのが「予定を落とすこと」なのか「制度をすぐ引けないこと」なのかで、必要な道具は変わります。
まとめ:手帳が必要かは、何年目かで答えが変わる
- 手帳には、スケジュールと制度の資料ページの2つが入っている。自分がいまどちらを必要としているかで、手帳が要るかどうかは変わる
- 駆け出しの頃に役立ったのはスケジュールより、加算の単位と要件がすぐ引ける便利帳のページ。会社が支給してくれたのはありがたかった
- 紙の予定管理をやめた理由は4つ。プライベートで持ち歩けない、二重線で空白が消える、鉛筆でないと直せない、手元にないと変更をその場で反映できない
- いまはGoogleカレンダーだけ。色は2つ、予定名は名前だけを基本にラベルで例外を分ける、事務は時間を入れずに登録、見るのは月間
- 訪問バッグはリュック一択。両手が空く、入る、覗かれない、床に置かなくて済む
- カバンの中身は「どの場面で使うか」で決まる。マジックは次回訪問日の書き込み、バインダーは押印の台、蛍光ペンは契約の説明
- 紙がいい人は紙のままでいい。手帳が要るかは、いま何年目かで答えが変わる
手帳選びに時間を使うより、予定をどこに置いて、何をカバンに入れるかを一度決めてしまうほうが、翌月からの訪問が軽くなります。この記事がその一度の材料になれば十分です。