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「介護福祉士は実務3年で取れたけど、ケアマネは何年働けばいいんだっけ?」
ケアマネになることを意識すると、途端に頭について回るのがこの疑問です。
僕は特養の介護職からスタートして、介護福祉士を取り、ケアマネになりました。今は独立して居宅介護支援事業所をやっています。この記事では、介護福祉士からケアマネになるルートを、制度の正確なところ(ここを間違えると受験計画が1年ずれます)と、僕自身が「5年のあいだにやっておいてよかった」と思うことの両方から解説します。
介護福祉士からケアマネへ。ルートは1本だけ
先に全体像です。介護福祉士からケアマネ(介護支援専門員)になる道は、遠回りも近道もなく、次の1本だけです。

- 介護福祉士として登録する(合格しただけでは始まりません。理由は次の章で)
- 介護福祉士の業務を5年以上かつ900日以上経験する
- ケアマネ試験(介護支援専門員実務研修受講試験)に合格する
- 実務研修(87時間+実習)を修了する
- 修了から3ヶ月以内に都道府県へ登録を申請する
- ケアマネ証(介護支援専門員証)の交付を受けて、勤務開始
試験に受かって終わり、ではないんです。試験のあとに研修と手続きのパートが続きます。しかもこの手続きには「3ヶ月以内」という期限つきの落とし穴もあります。
順番に見ていきます。まずは、いちばん質問が多い「何年働けばいいのか」から。
受験資格の正確な整理|5年900日は「介護福祉士の登録日」から数える
ケアマネ試験の受験資格は、介護福祉士などの法定資格に基づく業務に「通算5年以上、かつ900日以上」従事していることです。「5年」と「900日」の両方を満たす必要があります。
ここで、冒頭の「3年じゃないの?」という混同を解いておきます。
- 実務3年……介護福祉士試験を受けるための実務経験(実務経験ルート)
- 実務5年……ケアマネ試験を受けるための実務経験
似たような「実務経験○年」が2回出てくるので混ざりやすいのですが、別の制度の別のカウントです。そして、もうひとつ大事なのがこれです。
ケアマネの5年は、介護福祉士の「登録日」から数えます。
合格発表の日でも、現場で働き始めた日でもありません。介護福祉士は、試験に合格したあと登録の手続きをして、登録されてはじめて「介護福祉士」になります。つまり、合格後に登録手続きを後回しにしていた期間は、5年のカウントが始まっていません。「介護の仕事を通算で10年やっているのに、登録日起算だとまだ足りなかった」というケースは実際にあります。
ちなみに、実務経験は試験日の前日まで算入できるので、申し込みの時点で5年に少し足りなくても「見込み」で受験できる場合があります。900日の数え方(パート勤務のカウント、複数事業所の合算、証明書の取り方)まで含めた詳しい話は、こちらの記事にまとめています。
▶ ケアマネ試験の実務経験「5年900日」の数え方|現制度なら受験できなかった僕が証明書のリアルまで解説
出典:厚生労働省「介護支援専門員実務研修受講試験の実施について」の一部改正について(ページ内検索:900日)
なお、ケアマネ不足を背景に、国の検討会では「実務経験5年の短縮」を含めた受験資格の見直しが議論されています。ただし2026年7月時点で制度は変わっておらず、直近の試験も5年900日で実施されています。「そのうち3年になるかも」を当てにして計画を立てるのは、今はまだ危ないです。
コラム:僕は介護福祉士合格の翌年にケアマネに受かっています
「5年かかる」と書いてきましたが、実は僕自身は、2013年に介護福祉士に合格して、翌2014年にケアマネ試験に一発合格しています。登録日起算なら1年ちょっとしか経っていません。
タネを明かすと、当時は受験資格の仕組みが今と違いました。「資格に基づく業務」ではなく「介護等の業務」の従事年数でカウントできた時代で、介護福祉士やホームヘルパー2級といった資格があれば5年(無資格なら10年)で受験できました。2008年から特養で働いてきた僕は、介護福祉士を取った時点で、通算の年数がこの5年を超えていたんです。
このルートは現在は使えません。制度改正で、受験資格は法定資格に基づく業務経験に絞られました。だから今の介護福祉士のみなさんは、登録日から5年、が正解です。昔の合格体験談を読むときは、この前提の違いに気をつけてください。
試験に受かってから、働き始めるまで|研修・登録・ケアマネ証
試験合格はゴールではなく、中間地点です。ここから先の流れは受験勉強中にはあまり目に入らないところなので、先に知っておくと慌てません。
① 実務研修:87時間の講義・演習+実習
合格すると、都道府県が実施する「介護支援専門員実務研修」を受講します。内容は87時間の講義・演習と、居宅介護支援事業所などでの実習(原則3日間程度)。前期の講義→実習→後期の演習、という流れで数ヶ月がかりです。ケアプラン作成やアセスメントなど、ケアマネ業務の基礎をここで学びます。
日程・回数・受講料は都道府県ごとに違うので、合格後に届く案内で確認してください。働きながらの受講になる人がほとんどなので、職場との日程調整は早めに動くのがおすすめです。
出典:厚生労働省「介護支援専門員資質向上事業ガイドライン・研修記録シート等」
② 登録申請:修了から3ヶ月以内。ここが落とし穴
実務研修を修了したら、都道府県に介護支援専門員としての登録を申請します。期限は修了日から3ヶ月以内。これを過ぎると登録申請ができなくなります。合格と研修修了までがんばって、最後の書類提出で失効させるのはあまりにもったいないので、修了したらすぐ出す、と覚えておいてください。
③ ケアマネ証の交付:「登録」と「ケアマネ証」は別モノ
登録が済んだら、ケアマネ証(介護支援専門員証)の交付を申請します。ここで混同しやすいのが「登録」と「ケアマネ証」の関係です。
- 登録……都道府県の資格登録簿に載ること。一度登録されれば、自分で消除しない限り続きます
- ケアマネ証……実際にケアマネとして働くために必要な証明書。有効期間は5年で、更新研修を受けて更新していきます
ケアマネとして働くには、登録だけでは足りず、ケアマネ証の交付を受けている必要があります。また、登録だけしてケアマネ証の交付を受けないまま5年を過ぎると、再研修を受けないと交付申請ができなくなります。「すぐにはケアマネで働かないから」という人も、この5年のラインは頭に入れておいてください。
申請書類や手数料の細かい運用は都道府県ごとに違います。手続きの実際は、登録先の都道府県のページで確認してください(例:千葉県「介護支援専門員資格をお持ちの方へ」)。
5年を"待ち時間"にしない|ケアマネになった僕が「やっておいてよかった」と思う4つ
ここからがこの記事の本題です。手順の解説はどのサイトにも書いてありますが、「5年のあいだ何をして過ごすか」を、ケアマネになった側から逆算して書いた記事はほとんど見かけません。
前提としてひとつ、施設と在宅の違いの話をさせてください。施設は、サービスの枠に利用者さんが合わせて生活する場所です。一方、在宅は逆で、本人の生活にサービスを合わせていきます。1件1件の生活スタイルをアセスメントして、それを事業所に伝えるのがケアマネの責務です。つまりケアマネになるということは、「サービスの中で働く側」から「生活に合わせてサービスを組む側」へ、立ち位置が反転するということなんです。
この反転を5年かけて少しずつ準備できた人と、試験勉強だけして飛び込んだ人とでは、デビュー後のしんどさがかなり違います。僕がやっておいてよかったと思うのは、次の4つです。
① 自分の職場を「説明できる」ようになっておく
今働いている施設や事業所の、1日の流れ。どんな利用者さんが多いか。どんな職種がいて、それぞれ何をしているか。これを、業界の外の人にも伝わる言葉で説明できるようにしておいてください。
なぜかというと、ケアマネになった瞬間、あなたは事業所を「選んで、説明する側」に回るからです。利用者さんやご家族に「このデイサービスはこういう場所ですよ」と説明するのがケアマネの日常です。そのとき、自分の職場ひとつ説明できなかった人に、よその事業所の説明はできません。逆に、自分の職場を解像度高く語れる人は、他の事業所を見る目もすでに持っています。
② 現場経験は、相談対応の「自信」になる
介護福祉士としての現場経験は、ケアマネになってから思わぬ形で効いてきます。それは知識ではなく、ご家族の不安に即答できる自信としてです。
たとえば僕は特養で認知症の方をずっと見てきました。ケアマネになって、ご家族から「夫がデイサービスで迷惑をかけないか心配で……」と相談されたとき、こう答えられます。「大丈夫です。デイの職員さんはプロですから、声掛けを工夫して落ち着かせてくれます」。
この一言が迷いなく出るのは、自分がその「プロの側」で働いてきたからです。介護現場での日々は、ケアマネの相談援助の土台に全部つながっています。今の仕事は5年の"消化試合"ではなく、そのまま蓄積になっています。
③ 在宅の「におい」を知っておく(余裕があれば登録ヘルパー)
施設で働いていると、在宅の暮らしを見る機会がほとんどありません。でもケアマネの仕事の中心は在宅です。玄関を上がった瞬間の生活感、台所の様子、ご家族の距離感。ああいう「におい」は、行った人にしかわかりません。
余裕があれば、訪問介護に登録ヘルパーとして登録して、週1回でも在宅の現場に入ってみるのはかなりおすすめです。収入を増やしながら、在宅の暮らしを自分の目で見られる。施設職員が在宅を知る手段としては、これ以上の近道はありません。(職場の副業規定は先に確認してください)
④ 専門誌を読む|「実践→座学」の順だと定着する
4つ目は地味ですが、介護の専門誌を読む習慣です。僕は「おはよう21」や「ケアマネジャー」といった月刊誌を読んできました。
おすすめの理由は、順番にあります。学生の勉強は「座学→実践」ですが、働きながらの勉強は「実践→座学」の順にできる。現場で「あの対応でよかったのかな」と引っかかったことが、誌面の特集で理論として整理される。この順番だと、知識が経験に張りついて剥がれません。試験勉強が始まる前から専門誌に触れていた人は、テキストの文章を読むスピードも違ってきます。
ケアマネになる価値はあるか|合わなくても、行き先は広い
最後に、「そこまでしてケアマネになる価値はあるのか」という話をします。
正直に言うと、ケアマネになってから他の職種へ移っていった人を、僕は実際に知っています。サ責になった人、ヘルパーに戻った人、地域包括に移った人。ケアマネという仕事には向き不向きがあって、やってみて初めてわかる部分は確かにあります。
でも、だからこそ伝えたいのは、ケアマネのノウハウはどの介護サービスにも通じるということです。制度を横断して見る力、多職種と調整する力、生活全体をアセスメントする視点。これらは、サ責をやるにもヘルパーをやるにも確実に効いてきます。仮に「合わなかった」としても、5年の準備とケアマネ経験が無駄になることはありません。行き先はむしろ広がります。
「介護福祉士とケアマネ、仕事としてどう違うのか」を先に知っておきたい人は、両方やった僕の比較記事をどうぞ。
▶ 介護福祉士とケアマネ、どっちが難しい?両方やった僕の答えは「試験は同じくらい、仕事は別物」
まとめ|5年は待ち時間ではなく、準備期間
介護福祉士からケアマネになる道のりを、もう一度短くまとめます。
- ルートは1本だけ。介護福祉士の登録日から5年かつ900日の実務経験→試験→実務研修→3ヶ月以内に登録→ケアマネ証の交付
- 「介護福祉士の3年」と「ケアマネの5年」は別の制度のカウント。混同注意
- 登録は一生モノ、ケアマネ証は5年更新。働くにはケアマネ証が必要
- 5年のあいだにできる準備は4つ。職場を説明できるようになる/現場経験を自信に変える/在宅のにおいを知る/専門誌を読む
5年は長く見えます。でも、この記事の4つをやりながら過ごす5年は、ただ待つ5年とはまったく別物です。デビューした日のあなたが「準備しておいてよかった」と思えるように、今日の現場から始めてみてください。
肝心の試験勉強のやり方は、こちらに全部書きました。半年前スタート・1日1〜2時間・教材2冊だけの実録です。
▶ ケアマネ試験の勉強法|過去問と一問一答だけで一発合格したやり方【1ヶ月前からでも間に合う?】
ケアマネになったあとの最初のひと月がどんな感じかは、こちらでリアルに書いています。デビュー後の景色を先に見ておきたい人はどうぞ。
▶ 新人ケアマネが「何もわからない」のは当たり前|着信音に怯えていた僕が教える最初のひと月の型
ケアマネを目指す5年間、どこで働くかも準備のうちです。
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